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テンセイシャの舞台裏 ─幽霊令嬢と死霊使い─  作者: 葉月猫斗


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エピローグ

 転生者が起こした数カ月に及ぶ騒動はこうして幕を閉じた。大体は穏やかな日常が戻って来たが、残念ながら全てとはいかなかった。

 

 学校を騒がせていた男性陣はあんな風に女性に狂っていた過去は恥でしかなく、今後もそうなったらどうしようと自分自身に怯える生活を送っている。

 もしかしたら生涯独身を貫くことを検討したり、卒業後は女性と一切関わらない環境に身を置くか、あるいは再び道を踏み外した際に備えて自分を止めてくれる誰かを任命するかもしれない。


 一方女性陣は彼等と違って前途洋々な日々を送っていた。次の縁談も順調らしく、彼女達を取り巻く雰囲気は明るい。

 特にエリザベスは学校を卒業したらメルツァリオへの留学を検討しているそうで、今から下準備をしておこうと忙しくしている。家督も継いで外交官を目指す予定だと周囲に語っていた際の彼女の瞳は活き活きと輝いていた。


 そしてアマーリエは今日も寮の自分の部屋で目を覚ました。

 

 この部屋に帰って来た直後はそれはもう片付けが大変だった。

 衝動買いしたのか、ヤケに高そうな置物や何やらが無造作に置かれていている所為で部屋全体がゴテゴテしている上に、彼等から貢がれた物はクローゼットに押し込みっぱなしで整理すらできていなかった。


 床には物が散乱していないのが救いか、寮のメイドにも私物には勝手に触らないよう命令していたらしい。 

 それら全てをリンブルクの者達が出していくとブティックが開けそうで圧巻だった。

 

 持っておいた方が良い物以外は全て売り払い、そうして得た金銭はテンセイシャからの慰謝料として被害を受けた人達へと支払われていった。

 アマーリエにも幾らか支払われたが、それでも持っているのが怖くなる金額だった。盗まれる心配をするよりかはと、領地運営の足しにするよう一筆を添えて、殆どを実家に送金している。


 そのお陰で片付けが終わる頃には部屋は見違えるようにスッキリとし、心なしか広くなったように思えていた。

 最後に引き出しの中などに追いやられていた実家から持って来た私物を飾ると、やっと自分の部屋ができ上がった。部屋も取り戻せたと実感した時はそれはもう感無量だった。


 いつものように制服に着替えると、食堂で寮の子達と挨拶をしながら朝食を摂る。最近寮でも話をする子ができるようになった。

 

 身体を取り戻してからの日々を噛み締める反面、リンブルクでの賑やかな朝が少し恋しいと思うのは我儘だろうか。穏やかで楽しくて、自分も彼等の一員になれたような気がするあの空気を。


 寮から学校へと向かう道も今ではすっかりと馴染みの光景となった。その途中での、家から通学している生徒が通う道との合流地点に見覚えのある背中を見つけた。


 だからこれくらいは許してほしいと思いながら、今日も彼女の許へと駆け寄る。


 後ろからの足音に気付いたのか、彼女は振り向くと自分が追いつくのを待ってくれていた。

 そんな彼女へと今日も自分はいつもの挨拶をするのだ。

 

「おはようございます!お姉様!」

「おはよう、アマーリエ」

ここまで読んでいただきありがとうございます!

また次の長編の構想が出来上がるまで短編投稿をしていく予定です。


短編出来ました!⇒ https://ncode.syosetu.com/n9754jx/

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