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第3章 煙る雨 7

 2025年11月3日

 以下の修正を行いました。

 クリーガー商家→アールワース商家

 アドルフ→ルドルフ

 加えて細かい修正も行いました。

 エレノアとの会食は色々と有意義だったがその反面、気疲れも多いものだった。

 それに、お財布にも優しくなかった。

 エレノアが頑固に主張した為にあたしの奢りではなく割り勘になったが、それでも尚かなり高くついてしまった。

 ヘスラ火山の一件の報酬のおかげで最近は懐も暖かくなっていたのだが、今夜の会食の会計後に財布の中身を確認した所、かなり薄ら寒い事になっていた。

 まあ、これまでも一連の事件調査で結構自腹を切って金をバラまいたりしていた事もあり目減りしている事は分かってはいたのだが、今夜の高級店での食事はあたしの常識を覆すレベルの浪費だった。

 ただエレノアの様子を見るに、彼女は別にあたしに意地悪してあの高級店を選んだ訳ではなく、彼女にとっては単にあの水準の店が当たり前のレベルだっただけなのだろう。

 標準のレベルの感覚が異なる相手に安易に奢るなどと申し出ると痛い目に遭うという得難い教訓を得た後に、あたしは帰路についた。

 まあ、あの高級店の食事は値段に違わず本当に美味しかったが、雰囲気に呑まれてしまったせいで最後まで緊張感が抜けず、本当の意味で味を堪能出来なかったのは我ながら貧乏性だと思う。

 それもあって、通い慣れたメリッサの店にでも寄って軽く口直しでもしようかと一瞬考えたが、心も身体も重く、それも億劫に感じらた。

 結局何よりもベッドが恋しい気持ちに負け、あたしは真っ直ぐ定宿のトネリコ亭に向かう。

 小雨が降り続いている事もあり、トネリコ亭への帰路はやたらと長く感じられた。

 ようやくトネリコ亭の玄関の上で頼りなく瞬く魔法の常夜灯を目にした時、あたしは思わず安堵の息を漏らす。

 玄関の扉を押し開けると、今夜も夜の当直らしいサマンサの長男、リックがカウンターの向こうから驚いたようにあたしを見た。

 「どうかした、リック?」

 あたしが不思議そうに尋ねると、自分の大袈裟なリアクションを時間差で自覚した様子のリックは、照れ隠しの為か不器用に咳払いをする。

 それからリックは、思春期男子特有の不器用な笑みを浮かべつつ、視線をあたしの背後に向けた。

 リックの視線を追って、あたしは振り向く。

 トネリコ亭の玄関の中には、ロビーという程立派なものではないがちょっとした客用の待機スペースがあり、玄関の外からは死角になる位置にギリギリ3人座れる位の大きさのソファーが置いてある。

 そのソファーに、マントを着込んだマヤが座っていた。

 彼女に会うのはヘスラ火山から帰還したあの夜以来、ほぼ2週間ぶりだ。

 マヤは、羽織っているマントこそ地味な色合いのものだったが、下品にならないギリギリのラインの派手目のメイクといい、スカーフに加えて大き目の簪も加えた複雑に編み込まれた髪型といい、相変わらずのお洒落さんだった。

 外は相変わらず小雨が降り続けていたが、マヤのマントがほぼ乾いている事からして、かなりの時間ここで待っていたのかもしれない。

 それとも、馬車で乗り付けて来た為に殆ど濡れなかっただけなのだろうか?

 もし、馬車で来たとしたならマヤは未だアールワース商家と深い関わりを持っているのかもしれない。

 マヤとの関係は一夜限りでも仕方がないと覚悟はしていたのだが、あの夜、ルドルフらしき老人と共に去っていく馬車を見送った光景を思い出して胸がチクリとした。

 マヤの乾いたマントを眺めつつ疲れた頭で詮無い事をボンヤリ考えてからふと顔を上げると、マヤと目が合った。

 目が合った瞬間、マヤはあたしに向けてニッコリと笑いかけてきた。

 相変わらず胡散臭く、同時に魅力的な微笑みは、あたしには自然なものか作り笑いか判断がつかなかった。

 「え〜と、ゾラさんにお客さんです。」

 その時、明らかに遅すぎるタイミングでリックが発言する。

 その、明らかに外しまくったタイミングのリックの発言に、マヤが元々細い目を更に細めてクスリと笑った。

 あたしに向けた笑みより明らかに自然なその笑みは、あたしを妙に苛立たせた。

 それでもあたしは一呼吸置いていくらか冷静さを取り戻すと、営業スマイルを浮かべ、いつもより高めのトーンの声でマヤに話しかける。

 「久しぶりね。今日はどうしたの?」

 明るい声で話しかけたのに、視界の隅のリックの顔が何故か引きつったような気がした。

 「ちょっとお話があって。あなたの部屋に上げてくれないかしら?」

 そう言われてちょっと嬉しくなってしまう辺り、あたしもかなりチョロいと思う。

 ただ、この女に会ってから掌の上で転がされている感じがずっとしていたので、素直に彼女の要求を受け入れるのは少し癪な気がした。

 「ここじゃあ、話せない用件?」

 作り笑顔を浮かべつつ無意味にゴネるあたしに対して、マヤは鷹揚な笑みを返してきた。

 「う~ん、出来ればゾラの部屋に通して欲しいな。」

 一見、困ったようにも聞こえる口調だが、その表情を見るに、あたしが断るとは微塵も思っていないような気がした。

 「……なら、仕方ないわね。」

 あたしは渋々といった表情を装おうとしたが、唇の端が僅かに吊り上がるのを自分でも抑えられなかった。

 リックにチップを渡し、ノエルとジーヴァを預かってくれるようお願いすると、ノエルが念話で抗議してきた。

 (この女が胡散臭いのは、ゾラにだって分かっているだろうに。)

 まあ、声を出さずに念話で抗議してきたのは彼にも最低限の気遣いはあるという事だろう。

 ここ最近、彼に迷惑をかける機会が増えているような気もするし、ちょっと後ろめたい気持ちもあったが、それでもあたしは半ば強引に拝み倒すようにして彼を言いくるめようとする。

 (あたしも彼女に訊きたい事もあるし、あんたに迷惑はかけないから。)

 あたしがノエルに念話でそう伝えると、半ば呆れた様子ではあったが意外とすぐにノエルは折れてくれた。

 そのノエルと、彼よりは控え目だったがやはり不満の意志を伝えてきたジーヴァを残し、あたしは自分の部屋に向かう。

 後に付いてくるマヤは、何やら細長い袋を肩に担いでいた。

 形からして袋の中身は剣のような気がする。

 相変わらず軋むドアを開け、魔法の灯りで室内を照らしてからあたしはマヤを招き入れた。

 「散らかってるけど、ゴメンね。」

 「今更気にしないわ。突然来たのはこっちだし。」

 マヤはおかしそうにクスクス笑うと、全く遠慮する様子もなく当然のように部屋の中に入り、傍らに細長い布袋を立て掛けると、マントを脱いでマント掛けに掛ける。

 マントの下はパッと見ワンピースに見える長衣だったが、深く入ったスリットの奥にはちゃんとズボンも履いていて、ヒラヒラとした見た目とは裏腹に動き易そうな服だった。

 服もメイクと同様、下品にならない程度の派手な色使いの物を選んでいる辺り、彼女のセンスはやっぱり良いと感心してしまう。

 マヤは立て掛けた細長い布袋を再び手に取ると、全く遠慮というものを感じさせない堂々とした動きで部屋の奥に行き、当然のようにベッドに腰を下ろす。

 まあ、ベッド以外に座れる所といえば椅子が一脚あるだけなのだが、そちらには目もくれずベッドに座るのがマヤらしい。

 あたしは扉を閉めて頼り無い錠を下ろすと、壁際に追いやられている椅子にマントを脱がずに浅く腰を下ろした。

 そして、手の動きを悟られないように両手はマントの中に入れたままにする。

 そんなあたしを見て、マヤはクスリと笑った。

 「どうかした?」

 ちょっと小馬鹿にしたような笑みに、あたしはムッとしつつ尋ねる。

 「いやあ、信用されてないなあって。」

 マヤの口調は、自分が信用されていない事を嘆くというより、あたしの過剰な用心深さを嘲笑っているように感じられた。

 実際、あたしの行動は殆ど無意識で行っている習慣のようなものだったが、だからといってダリルやヨハンナ相手にこんな行動は取らないだろう。

 恐らくナギに対してだってもっとリラックスした態度を取るはずだ。

 だがマヤは、何となく信用出来ないにもかかわらず、どうしようもなく魅力的に感じてしまう為か、つい警戒心が先行してしまう。

 要するにマヤに骨抜きにされるのを恐れているのだろう。 

 そんな内心までマヤに見透かされたように感じたあたしはつい、大人気なく尖った口調で言い返してしまう。

 「悪いけど、冒険者としての職業病みたいなものだから気にしないで。それより用件は何?」

 「せっかちなのね?」

 あたしの尖った口調を全く意に介した様子もなく、マヤは言葉の意味を誤解させるような艶めかしい笑みを浮かべると、抱えていた細長い布袋をあたしに差し出す。

 「これは?」

 あたしはマントの中に両腕を入れたまま、差し出されたそれを受け取ろうともせずにマヤに尋ねた。

 「あげる。」

 マヤはニッコリと笑うと、子供に安物のお菓子でもあげるような軽い口調で言う。

 少し迷ったが、あたしはマントから左手を出し、その布袋を掴む。

 それを握った瞬間、その中から伝わる覚えのある魔力によって、あたしは布袋の中身が解ってしまった。

 布袋の中に入っていたのは、鞘が全くの別物になり、柄巻きも新しく変えられていたが、間違いなくヘスラ火山の破壊された祠で発見したあの魔剣トールだった。

 軽く柄を握ってみたが、柄巻きが新しくなっていてもやっぱり妙に手に馴染む気がする。

 あの時も感じたが、物理的な形状ではなく剣に込められた魔力の相性があたしと合うのだろう。

 それからふと、先程のマヤの言葉を思い出し、訝しげに彼女を見る。

 「さっき、あげるって言った?」

 聴き間違いの可能性が全く無いくらい、先程のマヤの言葉はハッキリと聴こえていたのだが、それでも訊き返さずにはいられなかった。

 「言ったわよ。ゾラにその剣をあげる。」

 マヤは再びニッコリと笑うと、相変わらずの軽い口調で繰り返した。

 あたしは一瞬だけ呆気に取られたが、すぐに我に返り、思わず苦笑を浮かべた。

 「いや、あり得ないから。」

 そう言いつつ、あたしはマヤに剣を返そうと差し出したが、マヤは両手を上げてあからさまな受け取り拒否のポーズを取る。

 そして、飽きたオモチャを別の子に押し付ける子供のような口調で言う。

 「いらない。それは、もうゾラにあげた物だから。」

 そう言うと、マヤは悪戯っ子のように笑う。

 マヤが時々見せる小悪魔的な所作に一々ドキッとしてしまう自分に苛立ちながらも、あたしは一度ゆっくりと深呼吸をして心を鎮めてから、ハッキリとした口調を心掛けつつ言う。

 「理由も無しにこんな物受け取れる訳ないでしょう?」

 この魔剣を手に入れる為に、マヤはかなりの散財をし、自ら危険も犯した。

 しかも、その散財の原資はあのアールワース商家のルドルフからの借金らしい事も匂わせている。

 何よりヘスラ火山でこの魔剣の守護者であるウィンドドラゴンのテンペストを戦いになった時、あたしや『キルスティンズ・ガーディアンズ』の面々を危険に晒してまでこの魔剣に執着していた。

 それなのにあれだけ執着していた魔剣を、今になって全く未練も感じさせずにあたしに押し付けようとする感性がさっぱり理解出来ない。

 あたしの顔が引き攣ったのを見て、マヤは楽しそうに笑みを浮かべた。

 「まあ、抜いてみて。」

 相変わらずのからかうような口調にムッとしつつ、あたしは左手で柄を握ると鞘から剣を抜く。

 剣を抜いてすぐ気づいたのは、折れていた先端部が繋ぎ合わされている事だ。

 しかし、かなり薄暗い照明の元でもその繋目はハッキリと判るくらい、出来の悪い仕事ぶりだった。

 あたしは右手の義肢に剣を持ち替え、左手の指先でその接合部に触ろうとする。

 「触るならそっとね。すぐ取れるから。」

 マヤから思いがけず注意が飛んできた事であたしは一瞬動きを止めたが、彼女を一瞥してから彼女の注意に従ってソッと接合部に触れる。

 金属については詳しくはないが、接合に使わたのは本来武器には使用されないであろうハンダのような柔らかい金属だということだけは素人のあたしにも分った。

 「実戦は勿論、ちょっと素振りしただけでも曲がったり取れたりするから気をつけてね。」

 何故か楽し気に言うマヤをもう一度胡散臭そうに一瞥してから、あたしは剣を鞘に戻した。

 それからあたしはこの剣をどう扱うべきか少し迷い、結局膝の上に置くと、マヤに尋ねた。

 「どうしてこんな事を?」 

 「折れた先端部と別々に持つよりはいいでしょう?」

 「でも、どっちにしても武器としては役立たずよね?」

 「今はね。」

 マヤの遠回しな言い方に、あたしはまた少し苛つく。

 「分かるように言って。」

 「その剣は少しづつ再生しているのよ。」

 そう言えば、半月前にヨハンナに会った時にそういう話をされた気もする。

 あたしは再び、鞘から少しだけ剣を抜いてみる。

 テンペストとの戦いが終わった後、この剣はほとんど魔力を失ったように感じたが、その時に比べても特に変わった様には感じない。

 「本当に?」

 再び剣を鞘に戻しつつ、あたしは疑わし気に尋ねる。

 「専門家に調べさせたから間違いないわ。少しづつ魔力も回復しているし、この魔剣に自己修復能力があるのもほぼ間違い無いみたいね。」

 「専門家ねぇ。」

 あたしの口元に、思わず皮肉めいた笑みが浮かんでしまう。

 マヤに専門家とやらを雇うコネもカネもあるとは思えない。

 マヤの話が本当なら、おそらくパトロンのコネとカネで雇っているのだろう。

 やはりアールワース商家のルドルフとの関係は未だ続いているようだ。

 「ただ、解析に時間がかかったのは、その自己修復のペースがひどくゆっくりだからよ。自己修復が完了するには百年単位の時間がかかるだろうって。」

 「やっぱり役立たずじゃない。」

 あたしは苦笑して再度剣をマヤに返そうとしたが、マヤは右手を上げてそれを制した。

 「ただし、持ち主がそれを身近に置いていれば、その時間は飛躍的に短くなるらしいわ。」

 「持ち主?」

 「あなたよ、ゾラ。」

 そう言って、マヤは微笑む。

 突拍子もない言葉に、あたしは思わず失笑してしまう。

 「待って、どうしてそうなるの?」

 「本当に分からないの?ヘスラ火山でその剣はあなたを助けてくれたじゃない。それは、あなたがこの魔剣に持ち主と認められたからよ。」

 一方のマヤは逆に、失笑したあたしの態度を理解出来ないと言わんばかりに、呆れたような口調で説明してくれる。

 あたしは、マヤから最初に魔剣を渡された時の事を思い出してみる。

 持った時にやけに手に馴染む感覚はあったが、それだけだ。

 では、テンペストを呪いから開放する為に魔剣の力を使おうとした時はどうだったか?

 テンペストの記憶に触れた事で、魔剣の名前がトールという事、その名を呼ぶ事でドラゴンテイマーの力を底上げしてくれる事が分かって実行したのだが、もしかしてあの時、意図しないままに魔剣と契約してしまい、持ち主認定されてしまったのだろうか?

 持ち主を選ぶような魔剣について、バードに伝わる伝承ではいくつか知ってはいるが、具体的な契約の方法についてはあたしも疎い。

 ギルド長のソニアを始め、それっぽい魔剣持ちの有名人の存在は知っているが、彼らはソニアを筆頭に皆高レベルの凄腕揃いで、あたしとは縁遠い人々であり、同様に持ち手を選ぶような強力な魔剣も縁遠い存在だと思っていたので、契約のやり方など調べた事も無かった。

 似たような契約で、ノエルとの使い魔契約やジーヴァとの相棒契約などはあるが、どちらも魔法陣を描いたり特定の魔道具を揃えたりといった結構面倒な準備の後、1時間以上かかる儀式魔法を行って契約したものだ。

 そういう経験があるので、たったあれだけで魔剣との契約が完了したとはとても思えない。

 「まあ、あなたの言う事が正しいとして……。」

 「意外と疑り深いのね。」

 あたしの前置きを、マヤが苦笑しつつ遮る。

 こう見えてマヤが話の腰を折ることはあまり無かったので少し驚いたが、珍しいからといって話の腰を折られ事による不快感が消え去る訳でもない。

 思いの外あたしが憮然とした表情だったのか、マヤは苦笑したまま軽く頭を下げる。

 「悪かったわ。続けて。」

 「……あなたの言う事が正しいとして、魔剣が完全に直っても、あなた達に返さなくても良いって事なの?」

 「そうよ。」

 あたしの念押しに、あっさりと答えるマヤ。

 「……それはちょっと、信じられない。」

 「あら、どうして?」

 あたしの言葉に、再びマヤはさも意外、といった表情を浮かべる。

 相変わらず芝居ががっており、何処まで本気かは分からなかったが。

 「百歩譲ってあんた自身がそれで良いとしても、あんたのパトロンが良しとするとは思えない。」

 「パトロン?ああ、アールワース商家のお爺ちゃんの事?」

 「この前のヘスラ火山遠征の費用だって、アールワース商家から出たんでしょう?」

 「そこは、心配しなくていいわ。」

 マヤはあたしの懸念が的外れであるかのように笑う。

 「どうして?ああいう商人達って、基本利益が得られない事には投資なんてしないでしょう?」

 「そうね。でもあたし、あのお爺ちゃんにはちょっとした貸しがあるから。」

 「貸し?大金を無尽蔵に出してくれるような?」

 「そこまでの貸しじゃないわ。そもそも、今回の遠征への出資だって、あの人にとってはほんの端金よ。」

 そう断言されると、あたしとしてはそれ以上突っ込むのは難しくなる。

 ただ一応、釘だけは刺して置きたかった。

 「あたしから見ると、あんた随分危ない橋を渡っているように見えるのだけど。」

 「そうかな?」

 マヤは、不思議そうに首を傾げた。

 その表情は、とぼけているというより本当にそういう自覚がないようにあたしには感じられた。

 「ああいう連中に返せないような借りを作ると、一生食い物にされるわよ。」

 マヤの鈍い反応に苛立ちつつ言うと、マヤは今度はハッキリとからかうような微笑を浮かべた。

 「あら、心配してくれるのね?」

 その小馬鹿にしたような言い方にあたしは更に苛立ち、つい吐き捨てるように言ってしまった。

 「あんたがどうなろうと構わないけど、あたしを巻き込む様な事は止めてよね。」

 「それは申し訳ない事をしたわね。魔剣をあなたにあげる事、ルドルフのお爺ちゃんにもう話しちゃった。」

 「マジか。」

 あっけらかんとした口調で言い放たれたマヤの言葉に、あたしは思わず顔を歪めて口から呻き声を漏らした。

 ただまあ、アールワース商家がその気になればマヤが喋ろうと喋るまいと、魔剣があたしの手に渡った事くらい簡単に調べられるだろう。

 この魔剣そのものがアールワース商家の気を引くような代物ではなく、且つこの魔剣の入手に出資した金額がマヤの言うとおりアールワース商家が気に留めないくらいの端金なのであれば、あたしがアールワース商家から目をつけられる心配はないのだが、それ程都合の良すぎる状況ってあり得るのだろうか?

 特に、出資した金についてはどんな小額であろうと元を取ろうとするのが商人という生き物ではないのか?

 顔をしかめて呻き続けるあたしに、マヤはやはり軽い口調で言う。

 「大丈夫よ。ゾラに手出しをしないようにお爺ちゃんには釘を刺して置いたから。」

 「そりゃ、どうも。」

 あたしの返事は自然と投げやりな口調になっていた。

 まあマヤのキャラクターからして、本当にルドルフに対してそういう事を言った可能性は充分にあるが、ルドルフ率いるアールワース商家が本気になった場合、マヤがあたしを守り切れるとも思えない。

 強大な組織に対する個人の力など、微々たるものだ。

 そこでふと、あたしはマヤに近いもう一人の人物を思い浮かべた。

 「ナギは、あんたがしている事を知ってるの?」

 口調を改めて問うあたしに対し、マヤは相変わらず微笑を浮かべ続けていたが、急にその微笑から何時もの余裕が消え去ったような気がした。

 「どうしてここで、ナギの名前が出るの?」

 相変わらずマヤは微笑を浮べているし声も穏やかなままだったが、何となく不機嫌になったような気もする。

 「どうしてって、あんたに一番近い人じゃないの?あんたが下手打ったら真っ先に巻き込まれるのは彼女じゃない?」

 「ああ、そうね。でも、彼女は大丈夫よ。」

 マヤはこれ以上この話題は続けたくないとあからさまに匂わせつつ、彼女にしては珍しくぶっきら棒な口調で言った。

 あたしは普段から、自分がそうされるのが嫌な事もあり他人のプライバシーに不必要にズケズケ踏み込む事は意図して避けるように心がけてはいるが、この時はつい好奇心が勝ってしまった。

 「ナギにも同じような事訊いたけど、あんた達って仲悪いの?」

 「別に悪くはないわよ。」

 マヤは即答したが、いつもは完璧な彼女の愛想笑いが幾分引き攣っているように見えた。

 いつも余裕綽々のマヤの取った珍しい態度に、あたしは思わず意地の悪い笑みを浮かべてしまったが、それを見てマヤは慌てて付け加える。

 「まあ、生き方が違うから他人にはそう見えるのかもしれないけどね。」

 「ふ〜ん。」

 珍しく慌てている様子のマヤを見て、あたしは何時もの意趣返しを込めてわざとらしい相槌を打つ。

 その効果は結構あったようで、マヤは一瞬だけ苛ついたような表情になったが、その表情を隠すかのように俯くと、腰のベルトポーチから煙管一式を取り出し始め、ベッド脇のサイドテーブルに並べ始めた。

 煙管一式を並べ終えてからあたしの方に視線を戻したが、その時にはいつもの内面を感じさせない微笑みがその顔に戻っていた。

 「一服もしていいかしら?」

 準備を整えてから許可を得ようとする辺りはいかにもマヤらしい気がする。

 「どうぞ。」

 いつものマヤにもう戻ってしまったのが何だか面白くなく、あたしは素っ気なく言う。

 マヤは俯いて煙管に手を伸ばしかけるが、ふと気づいたようにその手を止め、あたしに視線を戻す。

 「あなたもいつまでもそんな格好してないでリラックスしたら?」

 未だにマントを脱がず、椅子に浅く腰かけたままのあたしの過剰な用心深さを揶揄するようにマヤは笑った。

 「そうね。」

 あたしは口では同意したが、マントで両腕を隠す姿勢を保ったまま微動だにしなかった。

 マヤに対する警戒心は完全に心理的なもので物理的に警戒する必要性などないのだから、それを自覚した時点でこのような姿勢を続ける意味など無くなったはずだ。

 それでも子供っぽい対抗心が、この姿勢を維持させていた。

 そんなあたしの子供っぽい心情を察したかのようにマヤはフッと笑うと、煙管を吸う準備を始めた。

 あたしの存在を無視するように、集中して煙管の準備をするマヤの所作は、無駄がなく何だか美しく感じる。

 つい最近、似たような美しい所作を見たような気もしたが、どこだったか。

 あたしは少しだけ考え、すぐに思い当たった。

 最近どころか、ついさっきまで一緒に食事をしていたエレノアの完璧かつ自然なテーブルマナーに何となく似ている気がしたのだ。

 煙管の準備と食事の作法は全く違うが、姿勢とか指先の動きとか、そういう動作の細かい部分の美しさが似ているような気がする。

 そう言えば、ナギも所作や身体の動かし方に自然な美しさがあった。

 「あんた達さあ。」

 あたしは上体だけを少しマヤに近づけ、だらしなく猫背になりながら尋ねる。

 「いい所の家の生まれなの?」

 マヤはあたしの言葉で作業を中断すると、ゆっくりと顔を上げてあたしを見た。

 「どうしたの、突然?」

 「いやさあ、アールワース商家のルドルフみたいな大物を単なるお爺ちゃん扱いする所とか、人にモノを頼む時にも当然のように態度が大きかったりするのを見ていると、そうなのかなって思って。」

 所作が美しい、なんて褒めるのは癪だったので、皮肉を込めて前々から何となく感じていた事を適当に考えをまとめつつ言ってみたが、口に出して言語化してみると思いがけずシックリする事に気づいた。

 マヤは誰に対しても物怖じする事なく、他人に頼み事する事に躊躇がないのは、子供の頃から他人を使う事が当然の環境にいたせいではないだろうか?

 「さあ、どうでしょうね?」

 マヤは誤魔化すというよりは、あたしをからかうような口調で言う。

 「あんたはいつもそれだ。」

 あたしも責める、というより諦めたような口調でそれに応える。

 マヤはからかうような笑みをあたしに向けたが、何も言わずに煙管の準備に戻った。

 その様子をボンヤリと眺めている内に、あたしはウトウトし始めた。

 今日も色々あって疲れていたという事もあるが、それ以上に今のやり取りでマヤに対する警戒心が無くなって、気が緩んでしまった為だろう。

 「ねえ。」

 どれくらい経ったのか分からないが、マヤに呼びかけられ、半分眠りかけていたあたしの意識が現実に戻された。

 「ううん?」

 寝惚けていたあたしは妙な声を上げてしまった。

 マヤは既に煙管の準備を終えており、宙空で頼りなく瞬く魔法の灯りを眺めながら煙管を吹かしていた。

 相変わらずいい女だな、とその横顔を眺めてあたしは思った。

 煙管を吹かしている姿がこれ程絵になる女もそうそう居ないだろう。

 「最近、ナギと仲良くしてくれてるみたいね。」

 不覚にもマヤの横顔に見惚れていると、マヤが瞬く魔法の灯りに視線を向けたまま、ボソリと尋ねてきた。

 「あたしが仲良くしてあげているっていうより、彼女の方が少し心を開いた結果、距離が縮まっただけだと思うけど?」

 あたしがそう言うと、マヤはあたしの方を見てニヤッと意地の悪い笑みを浮かべた。

 「彼女、つまらない女でしょ?」

 またマヤは、彼女にしては珍しくストレートな悪口を言う。

 「そうでもないけど?」

 あたしは何故か、イラッとしながらぶっきら棒に答えた。

 「まあ、あなたからしたら珍しいタイプなんでしょうね。でも、すぐに飽きると思うわよ。」

 人間関係には良くも悪くも無頓着なタイプだと思っていたマヤが執拗にナギをディスるのに興味を覚えなかったといえば嘘になるが、それよりもあたしの中では腹立たしさの方が勝った。

 「どうしてそんな事言うの?」

 「彼女は見た目通りの女よ。何の意外性も無い、つまらない女。」

 マヤは辛辣な言葉を吐きつつもその口調はあくまでも穏やかで、それが逆に何だか不気味な感じがした。

 マヤとナギは姉妹だと聞いてはいたが、だからこそ他人には伺い知れない確執でもあるのだろうか?

 そうならば他人のあたしが口を挟む問題ではないと理性では分かるのだが、どうしても腹立たしさが収まらずにあたしはマヤに反論してしまう。

 「ナギの裏表の無さは、言い換えれば誠実って事だとあたしは思うのだけど?」

 あたしが反論すると、マヤの顔から作り笑いが消え、不機嫌そうな表情になった。

 彼女が初めてあからさまに見せた負の感情にあたしが驚いていると、マヤはその表情に相応しい吐き捨てるような口調で言う。

 「ふ〜ん。あなたも恋人に誠実さを求めるようなつまらない人間ってわけね?」

 今まで胡散臭い作り笑いの仮面を常に被っていたマヤが、不意に晒した素の感情を見たあたしは驚きつつも、同時にどこか安堵もしていた。

 「そうね。あたしはありきたりな、つまらない人間よ。」

 あたしは特に卑下する事もなく、冷静な口調で答えた。

 マヤはあたしから視線を逸らすと、乱暴に灰入れに煙管を叩きつけて灰を落とす。

 その時響いた結構大きな音を聞いて、マヤはもう帰るつもりなんだろうな、とあたしは妙に冷静な心持ちで思った。

 だがマヤはベッドから立ち上がろうともせず、やけに熱心に煙管の掃除を始めた。

 あたしは特に何も考えずにその様子を見守っていたが、いつまで経ってもマヤは掃除を止めようとはしない。

 暫くしてあたしは、彼女が単純作業に意図的に没頭する事により自分を落ち着かせようとしている事に思い至り、黙ってその作業を見守る事にする。

 明らかに掃除という目的から逸脱した延々と続くマヤの単純作業を見守る内に、ふと、マヤに今夜尋ねようと思っていた事柄をまだ言っていない事に気づく。

 ようやく清掃作業が終えたマヤが煙管一式をベルトポーチに仕舞い始めたタイミングで、あたしは彼女に声を掛けた。

 「ねえ。」

 「何?」

 マヤの声はいつもの柔らかいものに戻りかけてはいたが、やはりどこか硬い部分も残り、視線もこちらに向けようとはしない。

 「そもそも、あなたの目的って何なの?」

 「目的って?」

 マヤは視線を落として煙管をポーチに仕舞う作業を続けたまま、少しぞんざいな口調で訊き返す。

 「アールワース商家のルドルフの協力を得たのも、この魔剣を手に入れたのも、あんたにとっては手段なんでしょう?そういった危ない橋を渡ってまで遂げたい目的って、何?」

 マヤはあたしの質問には答えずに、ベルトポーチに煙管一式を仕舞う作業を続けている。

 質問しておいてなんだが、あたし自身マヤから返事を貰えるとは大して期待していなかったので、質問をスルーされても別に動揺は無かった。

 ただ、更に気まずい雰囲気になったので、やっぱりマヤはこのまま帰るのだろうな、とぼんやり考えていた。

 しかしマヤは、煙管一式を入れたベルトポーチを腰に戻す事はせずに、ベッド脇のサイドテーブルに置くと、あたしの方を向いた。

 いつもの胡散臭い愛想笑いこそ浮かべてはいないが、やけに落ち着いた表情だった。

 あたしはそこで、マヤの視線の先があたしの顔ではなく、ウトウトしている間にマントから出てしまっていたらしい右腕の金属製義肢に向けられている事に気づく。

 「あなたの右腕、いずれ再生魔法で元に戻す気はある?」

 「え?」

 思いがけない質問に、あたしは思わず訊き返す。

 しかしマヤは、ここでいつもの胡散臭い愛想笑いを浮かべると、まるで答えを促すように首を傾げただけでそれ以上は何も言わない。

 あたしは何だか急に居心地が悪くなり、左手で右腕の義肢を擦る。

 触覚の無い義肢は、擦られた所で何も感じる事は無い。

 「昔はそれも考えたけど、今はもうそういう気持ちは薄いかな?コレとも長い付き合いだしね。」

 「そう。」

 少し時間をかけてあたしなりに考えを纏めて答えると、マヤはやけに納得したように頷く。

 あたしは視線を落とすと、右腕の義肢の指を意味もなくガチャガチャと動かす。

 確かに昔はともかく、ここ数年は失った右腕を再生させようという気持ちは完全に萎えてしまったような気がする。

 世界屈指の魔術師である妹のヨハンナがいるあたしは、他の人より容易に右腕の再生が実現可能な立場に居るというのに。

 「あなたは上手くやっていけてるのよ。」

 右腕の義肢を眺めながら物思いに耽っていると、不意にマヤの声が耳に飛び込んできた。

 「どういう事?」

 マヤの言わんとする事が理解出来ず、あたしは顔を上げて訊き返す。

 マヤはまだ、その視線をあたしの右腕の義肢に向けたまま言う。

 「あなたはその、不完全な右腕の代用品を上手く使いこなして、最終的には自分の一部にしてしまう事が出来る。あなたはそういう人よ。」

 マヤの言葉に羨望のようなものが籠っていたのにあたしは気付き、少なからず驚いた。

 「あたしはそういう風には出来ないの。不完全なままの状態ではいられない。」

 マヤの言わんとしている事は相変わらず具体性を欠いていて、あたしの質問の答えを全く成してはいなかったが、いつも彼女の本心を覆い隠している胡散臭い愛想笑いの奥にある何かを垣間見たような気がした。

 あたしは膝の上に置いたままの魔剣を壁に立て掛けると、立ち上がってマントを脱ぎ、マント掛けに掛ける。

 さらに、愛用の片手半剣と万能大型ナイフを吊った頑丈な革ベルトを外し、所々金属板で補強してある革鎧も脱いだ。

 それから再び椅子に座ってロングブーツを脱ごうとするが、1日中歩き回って足が浮腫んだせいか中々脱げない。

 すると、それまであたしの行動をちょっと冷ややかな目で見守っていたマヤが、クスリと笑った。

 「こっちにいらっしゃい。手伝って上げる。」

 マヤはベッドから立ち上がり、その空いたスペースにあたしが座る。

 床に跪いたマヤが両手であたしのロングブーツを引っ張り、脱がしにかかった。

 二人掛かりでもかなり手間取ったが、数分かかってようやく両方の脚のロングブーツが脱げると、あたし達は顔を見合わせて笑った。

 「来て。」

 あたしはちょっと横にずれてスペースを開けると、ベッドの上をポンポンと叩く。

 マヤはいつもの微笑を浮かべつつ、立ち上がってあたしの隣に腰を下ろす。

 いつもと変わらぬ胡散臭い作り笑いだったが、この時には胡散臭さも作り笑いである事も気にならなかった。

 あたしのロングブーツと格闘したせいで、完璧にセットされていたマヤの黒髪は乱れ、汗ばんでいた。

 あたしは汗ばんだマヤの額に軽くキスをする。

 この前と同様に、煙草ときつめの香水の匂いがしたが、それに今夜は石鹸の匂いも微かに混じっていた。

 あたしと会う前に、お風呂に入ってきたのかもしれない。

 「今日はしてくれないのかと思った。」

 そんな事を言いながら、マヤはあたしの服の、胸元を閉じている紐をゆっくりと解き始める。

 「本当はそのつもりだったけど。」

 あたしはマヤの黒髪を指で梳いた。

 サラサラの黒髪は、いつ触っても指に心地よい。

 「気が変わってくれて嬉しい。」

 あたしのはだけたシャツの胸元に顔を埋めながら、マヤは甘い声で囁いた。

 この前と同様に激しく求め合った後、あたしは気絶するように眠りに落ちた。

 余韻も何もあったものではない位の、直後の寝落ちだったのだが、連日の調査で本当に疲れが溜まっていたのだろう。

 深い眠りだったが、夜中にふと目が覚める。

 エルフの血を半分引くあたしはそれなりに夜目は効くが、魔法の灯りも消えてしまった今はほぼ何も見えない。

 それでも、あたしは隣に横たわる気配にすぐ気づいた。

 「起きたの?」

 向こうも、身動ぎしたあたしの動きを目聡く察して尋ねてきた。

 囁き声だがしっかりとした口調だったので、マヤは起きていたのだろう。

 「う、う~ん……。」

 半分しか覚醒していないあたしは、否定なのか肯定なのかよくわからない呻き声を漏らす。

 そのあたしの声を聞いて、マヤが微かに笑ったような気配を感じた。

 寝惚けながらもあたしは毛布の中から左手を出して灯りの呪文を唱えようとするが、マヤはあたしの左手を両掌で包むと、毛布の中に戻す。

 「あなたは疲れているのよ。今夜はしっかり眠りなさい。」

 その声は、マヤにしてはやや固く、それでいて優しく感じた。

 そのままマヤは、あたしの頭部を両腕で包むように抱きしめる。

 マヤの体温は、つい数時間前の情事を感じさせないくらい低く感じたが、それでも充分過ぎる程の温もりはあり、マヤの控えめながらも柔らかい乳房は、すぐにあたしを再び眠りの世界へと誘った。

 翌朝、あたしはいつもよりかなり遅い時間に目を覚ました。

 マヤの姿は既に無く、代わりにサイドテーブルに書き置きが一枚、残されていた。


 『用があるので、先に帰ります。

 昨夜はありがとう。』


 ぶっきら棒な短い文面は、マヤらしくないようでいて、彼女らしい気もする。

 その字も綺麗で読みやすい字だったが、特徴的な角張った字体は、マヤのイメージからするとちょっと意外に感じられた。

 読んで下さりありがとうございます。

 次回の投稿は12月上旬を予定しています。

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― 新着の感想 ―
どうしてもマヤはゾラを利用しようとしているとしか思えない... 次回楽しみにしています!
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