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巻き込まれて異世界に来てしまったけど、聖女とか関係ないのでのんびりします。

8.


外に出た美奈は、一面の緑と空の青さを見て深呼吸を繰り返す。

「・・・・・はぁぁ~~~。」

森の大きさに、美奈は異世界に来たのだと再理解をし、庭に出る。

「そういや、あんまり奥深くに行くのはダメって、ロイが云ってたなぁ。」

じゃあ、本当に散歩ていどに。と盛りの小道へと入って行く。が、数分もすると、息切れがしてきた。

「・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・。どんだけ、運動不足なんだっ。つうか、運動なんてしてなかったしっ。会社と自宅の往復しかしてねぇよっ。」

口が悪くなってしまうのは許して欲しい。と大きく両手を振り上げて、誰もいないのをいいことに大声を出す。これはこれで、気持ちいいかも。と思いつつ、もう散歩はやめ。と自宅へと向きを変えて歩き出した。


自宅に戻ったはいいものの、椅子に座りテーブルに突っ伏す。これは、少し体力をつけないといけないかなぁ? と思いつつ、しぃ~~ん。としている室内を見た。

「・・・・・まぁ、ひとりだし。しょうがないけど。それにしても、静かだな。と云うか、のんびりってどうやてするんだっけ?」

高校を卒業してから、アラフォーになるまで働き詰めで。

「しかも、就職氷河期だし。高卒で就職先を決めるのにも、大変だったしっ。」

進学する子たちを羨ましいと思いながらも、面接を受けた会社にどうにか合格をもらい。通い続けたン十年。立場的に、お局様の位置になってしまっていて。同期入社していた短期大学や大学卒業のひと達は、順風満帆に結婚をして寿退社をしていった。

「・・・・・ひとり、残された・・・・・・。」

哀しくはなかったが、これで良いのかと。何度も何度も悩みもしたけれど。なんの目標もなくその日その日を暮らしていて。ナニか好きなものをと、小説的なものを書き始めていたのだが。

「それも、もうできないのかな・・・・・・」

なんだか悲しくなってきた。と美奈は、身体を起こす。こんな時はお風呂に入るに限るっ。と玄関の鍵をかけて、プライベートルームへと入った。

檜の浴槽にお湯をたっぷりとためて、美奈はお湯に浸かる。ばしゃばしゃと顔にかけると、浴槽に頭を乗せた。

「ふぅ~~~。やっぱり、お風呂は良いなぁ~~~。お風呂大好き日本人っ、だし。」

よしよし。と温かいお湯に身体を任せて、美奈は天井を見つめて云いたいことを口にする。

「・・・・それにしても、こういった異世界に来た人たちって、読んでた本だと何かしらの特技があって、それを生かして生活してたと思うけど。なんもない、アラフォーはどうしたら良いんだっ。料理なんか得意じゃないしっ。土鍋で煮るか、フライパンで焼くか炒めるかしかできないしっ。あとは、レンジでチンだしっ。台所がいかに立派でも、料理ができないのにはもったいないとしか言いようがないっ。しかも、極度のコミュ障ときたらっ。・・・・・・のんびりするって、本当に難しいなぁ。頭の中で色々と考え込んじゃうもんなぁ・・・・・。」

お湯に顔が浸かりそうなぐらいになりながら、美奈はなんだか自己嫌悪に陥りそうになり。バッシャン、とお湯に顔を浸けた。

「そうだっ。暇だし、時間だけは大量にあるからっ。書きたいだけ書けるんじゃ? そのためには、・・・・・パソコンはダメ。この世界と合わない・・・・。となると、手書きだから・・・・・。大量の紙と筆記用具が欲しいっ。」

よしっ、創造っ。と念を籠める。すると、プライベートルームが光った。

お風呂から出て服を着て、髪を乾かす。引き戸を開けてプライベートルームに出ると、想像した以上に、大量の紙と筆記用具が現れていた。

「・・・・・・・・・・創造しすぎた。どこに片づけよう。棚が欲しい・・・・・」

とまた、想像をしてしまい。ピカッと光り、棚が出現する。美奈は、黙々と片づけた。


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