巻き込まれて異世界に来てしまったけど、聖女とか関係ないのでのんびりします。
6.
魔法陣が起動をするのを感じて、アルフォード神は地上を見下ろした。
『・・・・・・これは、召喚用の魔法陣。どうして、これがいま?』
召喚をする時は、各公国の教会の法王からアルフォード神に捧げものとともに伝えられるしきたりとなっていて。召喚をすることを聴いていなかったアルフォード神は、どこの公国がしたのか。とダイヤ・ハート・クローバーと視ていく。
『・・・・・・スペード公国か。あそこは、先代の聖女が高齢のため、引退したはず。次の聖女を育てるために、教会が選定をしていたはず・・・・・。』
一体、ナニがあったのか。とアルフォード神は思案する。と、そこに下界に降りていた森の王、フェンリルが謁見を申し出て来た。
『フェンリルが? ・・・・・・良い。通せ。』
両扉が開き、フェンリルがその身体の大きさのまま入って来る。フェンリルは、アルフォード神の前に行くと、頭を垂れた。
『突然の謁見を許可していただき、ありがとうございます。アルフォード神。』
『良い。お主が来たと云うことは、森でなにかあったのか。』
『はい。スペード公国により、別世界から召喚された女性が、第2皇子が用意した森の一軒家に住み始めました。』
『召喚された女性が? いや、待て。聖女として召喚されたのではないのか?』
『私もそう思い、城でナニが起きていたのかを探りましたところ。どうやら、召喚された別世界の女性は2人。もう一人の方が、聖女として第1皇子に連れて行かれたようです。第2皇子は残されていた女性を保護し、女性に住み場所を与えた様子。』
『2人? ・・・・・・今までにそのようなことがあったか?』
『今回が、初めてですわ。アルフォード神、フェンリル王。』
会話に入って来た声を聴いて、アルフォード神とフェンリルは声がした方を見る。そこには、水の女王ウィンディーネがいた。
『しかも、第2皇子が保護した女性は、召喚に巻き込まれたようです。』
とまた増えた声に、アルフォード神とフェンリルとウィンディーネは眼を向ける。そこには、風の王シルフが姿を現していた。
『巻き込まれた・・・・。それは、召喚の魔法陣が不完全なものであった。と云うことか。』
フェンリルが云うと、シルフは頷く。アルフォード神は、顎に手をやり考え始める。3王は、アルフォード神からの神託を待った。
『・・・・・その巻き込まれたという女性は、森の一軒家に住み始めたと。』
『はい。その通りでございます。昨日より、与えられた家に住み始めておりますが・・・・。それでも、お伝えしたいことが、ございます。』
『伝えたいこと?』
フェンリルが見てきたことを、そのまま伝える。アルフォード神は、口元を緩めて笑うと云った。
『くっ、くくっ。どうやら、聖女としての能力があるのは、その女性だ。だが、もう城は出てしまっている。あの第1皇子は本当に、ひとを見る目がない。』
『そのようです。しかも、年寄り呼ばわりをしていたそうですから。それなりに、罰が必要かと思います。』
『初めて会った女性を年寄り呼ばわりするなんて。しかも、別世界から来て、この世界のことを何も知らないひとに。』
フェンリルとウィンディーネが云う。シルフは、アルフォード神の言葉を思い起こし、訊いた。
『どうして、その女性が聖女として能力があると? お伺いしてもよろしいでしょうか?』
そうだった。とフェンリルとウィンディーネも、アルフォード神を見る。アルフォード神は、ふむ。と大きな光を反射させた。
起きた美奈は、大きく体を伸ばす。今日からここで暮らしていくのだと、ベッドから出るとカーテンを開けた。
「はぁ~~~。太陽は変わらないのね。・・・・・さて、と。今日は、家の周りと近くを散策してみようっと。」
その前に、腹ごしらえ。と引き戸を開けて、リビングに出る。カーテンを開けて、台所に入った。
台所に入ると、食材が入っている箱を開ける。
「・・・・・う~~ん。冷蔵庫が欲しい。観音開きで、ファミリー用の。」
ピカッ!!
「え!?」
突然、光ったと思ったら、たったいま想像していた冷蔵庫がそこに鎮座していた。
「・・・・・・えっと。もしかして、もしかしなくても、冷蔵庫?」
なんで!? と驚きつつも、扉を開ける。まさしく、現代の利器。であった。
「ちょっと、待て。なんで、口に出して想像しただけで、冷蔵庫が? ・・・・・あれ? もしかして、あの浴室とトイレも?」
そう云えば、ステータスを確かめていなかった。と美奈は、いまさらながらに思い出す。
「・・・・・あとで、で良いか。お腹が減ったっ。」
すべてはお腹を満たしてからっ。と美奈はついでに、冷蔵庫に食材を入れ直し、玉子とベーコンを手にした。
火の魔法石を使い、鍋を温めてハムエッグを作る。火の調節がうまくできず、ベーコンが焦げていた。
「ううう・・・・。魔法石の調節が難しいよぉ。火の調節ができるコンロがあれば良いのに。掃除がしやすいコンロ・・・・。」
ブツブツ云いつつ、焼けたハムエッグをお皿に移していると、
ピカッ!
「うひゃ!? ま、また・・・・・・。う、嘘でしょう!?」
さっきまで火の魔法石が下に置いてあった網が無くなり、火の魔法石も別の場所に移動していて。そこには、どこにどうつながっているのか、ガスの2口コンロが鎮座していた。




