巻き込まれて異世界に来てしまったけど、聖女とか関係ないのでのんびりします。
5.
帰って行くロイたちを見送り、美奈はドアを閉めてホッと息を吐く。やっと、ひとりになれた感じがして、身体中から力が抜けていた。
「はぁ~~・・・・。やっぱ、城だと緊張してたかぁ。さて、台所も寝室もとっても良い感じなんだけどなぁ・・・・・・」
問題は、トイレとお風呂である。城では、トイレもお風呂も完備されていたので、問題なかったが。一軒家のここだと、トイレは元いた世界で云うと、汲み取り式トイレ。つまり、ぼっとん。お風呂に至っては、桶だった。
「・・・・・城のお風呂は、猫脚バスタブだったけど。お水を運んで入れて、火の魔法石で温めて。熱くなりすぎたら、また水を運んできてって・・・・・。結構な重労働だったからなぁ・・・・・。」
なので、毎日入りたかったのだが、作業内容が大変すぎて。美奈はかなり譲歩して三日に一度にしていた。
「・・・・・・桶・・・・・・。これはこれで、ゆっくりできない・・・・・・」
寝室に行き、ベッドに横になる。お布団はとても柔らかくて、気持ち良かった。
「・・・・・・お風呂は、檜風呂で。蛇口をひねればお湯が出てためることができて・・・・。シャワーがついてるお風呂で・・・・・。お風呂の扉は引き戸にして、出ると脱衣所に続いていて・・・・・。それから、その延長線に水洗の洋式トイレ。トイレも最新式の、底につかないやつでぇ・・・・・。トイレのドアも引き戸なら良いなぁ。あ、脱衣所に洗面台は必須。ついでに、洗面台の蛇口は、シャワーになるやつぅ・・・・・・・」
ブツブツと云っていると、いつの間にか想像をしながら寝てしまっていた。
寒さを感じて目を覚ますと、外は暗くなっていて。起きると、ベッドサイドにあったランプを点けた。「・・・・・寝すぎた。と云うか、そこまで気を張りすぎて疲れてたのかも」
う~~ん。と大きく伸びをして、ベッドから降りるとランプを手にして、カーテンを閉め振り返る。と、壁のところになかった引き戸ができていた。
「・・・・・・なに、これ?」
おそるおそる、引き戸を開ける。
「・・・・・えっと、ロイ。こんなところまで造ったって云ってたっけ?」
そこに見た物は、寝落ちする前に想像していた浴室と、脱衣所とお手洗いができていた。
「檜風呂・・・・・。これって、この蛇口を開けたらお湯が出るのかな?」
浴槽に装備されていた蛇口を、回して見るとドボドボとお湯が出て来て浴槽に溜まっていく。一体、この蛇口はどこにつながっているのだろう? と一瞬思ったが、考えることを放棄して。溜まるまで出しておくことにして、脱衣所に出た。
「洗濯機っ。しかも、ドラム式の乾燥付き! ずっと欲しかったやつっ。しかも、洗面台の蛇口ってっ。シャワー付きだしっ。え!? となると、トイレは・・・・・」
トイレにつながる引き戸を開けてみると、宙に浮いた最新式の洋式トイレが設置してあった。
深く考えることを放棄して、数週間ぶりにゆっくりと湯船に浸かり、置いてあったシャンプーとボディーソープで髪と身体を洗う。
「はぁぁ~~~・・・・・。天国かっ」
どうなっているのだろう? と思いつつも、自分が望んでいたのんびりライフが満喫できると、バシャッとお湯を顔に当てる。
「まっ、いいやっ。考えても解からないことは、解からないのだからっ。これからっ、ここでのんびり暮らすぞっ。」
えいえいおーーっっ。と仁王立ちになり、腕を掲げる。これから始まる異世界ライフに、美奈は胸を弾ませていた。




