巻き込まれて異世界に来てしまったけど、聖女とか関係ないのでのんびりします。
21.
そのまま陽が暮れるまで寝ていた美奈は、リルとネコと一緒にお風呂に入り、用意されていた夕食を食べて再び寝てしまい。リルとネコも一緒に付き合って寝ていた。
その夜。バサバサと羽音を鳴らし、空からナニかが舞い降りて来て、家庭菜園の前に現れた。
【・・・・・甘い匂い、はここからか・・・・・。】
赤く実っている実を見つけて、首を伸ばしひとつ取り口に放り込む。
【・・・・・・美味い。しかも、これは・・・・・・。】
躯についていた傷痕が消えていくのを見て、ソレは驚く。消えていく傷を見て、ならば。と次から次へと赤い実を食べていった。
翌日、起きた美奈は大きく伸びをしてベッドから出ると、着替えをしてダイニングへと出る。
「ん~~~。今日も良い天気っ。と云うか、ここに来てから雨とか降っているのってあんまり見ないなぁ~~。」
さぁて、今日も散歩に連れて行かれるのかなぁ? と思いつつ、テーブルに座ると朝ご飯が並べられ。
「ふふ。今日もありがとう。美味しそうなフレンチトーストだっ。」
いただきますっ。と食べ始めていると、リルとネコも出て来て。リルとネコの前にも、朝ご飯が出される。
〈便利と云えば、便利だが。〉
〈便利だにゃあ~~~。〉
いただきます。と美奈に教えられたご飯前の挨拶をして、リルとネコも食べ始めた。
流石に掃除は、と美奈が窓とドアを開けて掃除を始める。リルとネコは邪魔にならないように、庭に出たのだが。
〈なん!! 昨日あれだけ実っていた実が無くなっているぞっ。〉
〈みゃっ!? 全部無くなってるっっ。昨日は、全部に実があったのにっっ。〉
リルと語尾が普通に戻ったネコが云う。美奈はなにが? と箒を手にして外に出て来た。
「どうかした? リル、ネコ。」
〈どうかした、ではないぞっ。美奈っ。あの赤い実がすべて無くなっているっ。〉
〈そうだにゃあっ。食べるのを楽しみにしていたのにっ、にゃあっ。〉
赤い実が無くなっている。とリルとネコが騒ぐので、美奈は箒を室内に置くと、庭に出て、家庭菜園へと向かう。その間も、リルとネコはぎゃいぎゃい騒いでいた。
「・・・・・ほんとだ。なんで、あれだけあったトマトが全部無くなってる。・・・・・リルとネコが食べたんじゃないの?」
〈食べとらんっっ。〉
〈食べてないっ。にゃあっ。〉
声を揃えて云うリルとネコを見て、美奈はそれなら。と少し考えて云う。
「じゃあ。動物が食べちゃったのかもね。まぁ、すぐ実がなるから大丈夫だよ。」
〈美奈・・・・・・・。〉
〈みにゃあ・・・・・。〉
がっくりと首を落とすリルとネコを見て、美奈はなにか残っていないか周りを見回す。そして、大きな足跡を見つけて云った。
「・・・・・・・なんか、あそこに大きな足跡があるんだけど。ティラノサウルス?」
4本足の跡を見て、美奈が云うと、リルとネコも足跡を見る。
〈・・・・・・!! この足跡は!! まさか、ここまで飛来してきたのか!?〉
リルが驚いていると、ネコもその足跡を見てすぐに美奈に飛びついた。
〈にゃあっ!!〉
「リル? ネコ? どうかした?」
飛びついて来たネコを受け止めて、美奈は不思議そうな顔をしてリルを見ていた。
家に戻り、掃除をすべて終わらせるとテーブルにお茶の用意がされていて。美奈はお盆に一式を乗せると、ラグに丸まっているリルとネコの傍に置き、座った。
「はぁ・・・・・。お茶が美味しいねぇ~~~~。」
ほっこりと飲んで云う美奈を見て、リルとネコもさっきまでの警戒が溶け、まったりとする。
〈・・・・・このちょうど良い温かさが、良い。〉
〈・・・・そうだにゃあ・・・・。美味しいにゃあ・・・・・。〉
リルとネコも、用意されていた飲み物を口にして云う。リルは尻尾を動かし、美奈の身体に巻き付けた。
〈我に凭れると良いぞ。美奈。〉
「ほんと? ありがと。」
場所を動き、リルの躯に凭れる。背中に感じるリルの温もりが、心地よく。美奈はのんびりとしていた。
「・・・・・・あ~~~・・・・。お昼ごはんまで寝ちゃいそうだなぁ~~~。」
〈朝から掃除で動いていたからか。寝ても構わんぞ。我も、寝そうじゃ。〉
〈眠たいにゃあ~~~~。とっても、まったりとしたこの空気が良い、にゃあ~~~。〉
リルとネコもくああ。と欠伸をして云う。どうしようもない、まったり感に勝てる訳もなく。コップをお盆に置くと、美奈もリルを布団にして眠っていた。
鳥や妖精たちが、飛び交う中、ソレはあの場所を求めてまた来ていた。バサバサと大きな羽音が聴こえて来て、飛び交っていた鳥や妖精たちは慌てて樹木に隠れる。が、ソレから全く感じることのない恐怖に、そろそろと隠れていたところから顔を出していた。
【・・・・・・すべて食らったはずなのに。もう夜と同じように実っているのか・・・・。だが、あといくつか食べると完全に回復をする・・・・・。】
ソレは、頭をもたげると赤い実をひとつずつ器用にもぎ取り、食べきった。




