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巻き込まれて異世界に来てしまったけど、聖女とか関係ないのでのんびりします。

16.


ゼハゼハと息を乱して歩く美奈を、リルとネコは振り返り待つ。

〈美奈・・・・・。のんびりしたいと云う前に、まずは体力をつけた方が良いぞ。〉

〈そうだにゃあっ。まだ、そんなに歩いていないのに。もう、そんなのでは、暮らして行けにゃいにゃあっ。〉

リルとネコが美奈を見て云う。美奈は、膝に両手をついて息を整えていた。

「・・・・・うっ、うっさいっ。しょ、しょうがないでしょっ。家と会社の往復しか普段してなかったんだからっ。」

お水っ。と水筒を開けて、水を飲む。リルとネコは、一体どんな暮らしをしていたのだろう。と思っていた。

〈しかし、本当に体力をつけないと。町にも行けないぞ。美奈〉

〈そうにゃあ。ここから町まで結構あるにゃあ。〉

何故か語尾に“にゃあ”をつけて話すネコを、美奈とリルは眼を細めて見る。

「・・・・・そんな話し方してなかったよね?」

〈うむ。していなかった。〉

ようやく追いついた美奈が、リルと話をする。ネコはにぱぁと笑った。

もう少し頑張れ。とリルに背中を押されて、ネコを先導にして美奈は息が上がりつつも歩く。

「・・・・・ま、まだぁ? も、もう・・・・。」

〈もう少しだ。〉

〈もうちょっと、だにゃあっ。〉

なんか胡散臭い。と思いつつ、美奈はどうにか脚を動かしていた。

〈着いたぞ。〉

漸くリルが背中から離れて横に来る。ネコも美奈の横に立った。両手を膝について、下を向いたまま呼吸を整える。どうにか、呼吸を整えると、美奈はようやく身体を起こした。

「・・・・・もう、散歩したいなんて云わない。」

〈いや、云え。ここでは、歩くか馬車か馬でしか移動方法がないぞ。〉

「うううう・・・・・。」

リルの返答に美奈は頭を抱える。そんな美奈のスカートを引っ張って、ネコは云った。

〈とりあえず、景色を見るにゃあっ。〉

それもそっか。と美奈は景色を見る。そして、あまりの美しさにぽかんと口を開けて、眼を見開いていた。

「・・・・・うっわぁ・・・・。きっれーーーっっ。湖に光が反射しているのと、周りの緑が湖に映っていて・・・・・。」

それに・・・・。と周りを見て、上も見る。住んでいた世界では見たことがないような、青い空が澄み渡っていた。

「・・・・・・はぁ・・・・・。湖にも空の青が映ってるっ。すっごい、きれいっ。それに、なんかキラキラしてる!」

眼を輝かせて景色を堪能する美奈を見て、リルとネコは満足そうに頷く。

〈良き景色であろう。我もここの景色は好きだ。ひともあまり来ぬところであるし。〉

「本当だねぇ・・・・。あ、でも私は来ても良かったのかな?」

リルが云うと、美奈がしゃがんで訊いてくる。リルは美奈を見ると、頷いた。

〈良い。美奈であれば。それに、森も湖もとても喜んでおる故に。〉

〈本当にゃあ。こんにゃに、喜んでいる森と湖見るの。初めてにゃあ~~~っ。〉

ネコも周りを見回して、云う。

「・・・・・今度は、お弁当を持ってこようか。ピクニックしよう。」

〈それも、良いが。散歩をするのにちょうどいい距離ではあると思うぞ。〉

〈そうだにゃあ。毎日の日課にするにゃあ~~~っ。〉

「・・・・・そうだねぇ。ずっと家に閉じこもっているのもなんだし。こうして、のんびり散歩をするのも良いねぇ~~~。」

緑の上に横になり、空を見上げて美奈が云う。リルとネコも美奈の横に丸まり、ゆっくりとあたる風と水の匂いを感じていた。



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