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巻き込まれて異世界に来てしまったけど、聖女とか関係ないのでのんびりします。

14.


帰ってきたリルは、家の周りの空気がとてつもなく心地よくなっているのを見て、にんまりと笑う。森の状況も良くなっているのも見て、リルは森に生きる動植物や妖精たちにあまり派手に動かないように通達を発した。

〈お前たちも傍に来たいのは解かるが。まだ、美奈はこの世界に慣れていない。もう少しスローペースで接していくしかないのだ。〉

リルが云うと、“フェンリル王様だけずるいっ”と動植物や妖精たちから文句が出る。リルは、息を吐くと扉を通り抜け、躯を少しだけ小さくした。


そっとプライベートルームに入ると、美奈はまだ眠っていて。起こさないように、大きなクッションの上に丸まる。

〈〈・・・・・この癒しの空間は、とても心地よし・・・・・。暫くは、精霊王たちにも近寄らせたくはないな・・・・〉〉

くああ。と欠伸をして、リルは眼を閉じた。

もぞもぞと動き、眼を覚ました美奈は、カーテンから入って来る陽ざしを眩しそうに見る。

「・・・・・ふあああ。もう、朝かぁ。なんだか、もうちょっと寝ててもよさそう・・・・・。」

ボッフン。と布団に倒れ込み、美奈は再び眼を閉じる。が、次の瞬間、飛び起きた。

「ぎゃああああっっ!!」

〈な、なんだ!? 美奈!! 一体なにが・・・・・!!〉

美奈がぱくぱくと口をさせて、枕を指す。

〈・・・・・・・・コイツ。どこから入ったんだ?〉

そこには、枕の上に気持ちよさそうにして眠るキャットシーがいた。

「・・・・・えっと。どっから入ったの? 窓も扉も閉まっているよね?」

ぐるり、と室内を見回して、美奈はどこも開いていないのを確かめる。が、一か所開いていた。

〈美奈・・・・・。風呂に通じる引き戸が開いているぞ。しかも、窓も開いていた。〉

「本当に!? マジかっっ。閉めるの忘れてた!!」

頭を抱えた美奈をよそにして、リルはいまだに眠るキャットシーを叩き起こした。


〈にゃにしゅりゅんだにゃっ。寝ていただけにゃにょにっ。〉

思いっきり叩かれた頭を擦りつつ、キャットシーはリルを涙目で睨む。リルは、眼を細めて云った。〈・・・・・つい先ほど、美奈にまだ近づくな。と云っていただろうが。貴様は。〉

〈フェンリル王だけずるい。と申し立てたはずにゃっ。〉

〈なにが、申し立てたはず、だっ。いつもは、そんな話し方をしないくせに。なにを媚びを売ろうとしている。〉

〈そんにゃこちょ、にゃいにゃっ。いつも、こんな話し方しているにゃっ。〉

にゃんっ。と動きをつけて話すキャットシーを、リルは胡乱な眼をして見るしかない。美奈は、完全に眼が覚めてしまったのか、着替えて朝ご飯の用意をキッチンに頼んでいた。

「リルぅ~~~。朝ご飯できたよぉ。ネコちゃんも、一緒に食べるかなぁ?」

〈腹はいっぱいで食べないと云っていたぞ。〉

〈そ、そんにゃこちょにゃいにゃっ。おにゃきゃ、空いてるにゃんっ。〉

リルのあとを慌てて追いかけ、美奈の脚元に良き猫なで声を出して云う。リルは、更に眼を細めていた。

「ネコちゃん。どこのネコちゃんなのかなぁ? こんな森の奥まで来るなんて。」

〈・・・・・飼い猫ではないぞ。こやつは・・・・・。〉

〈・・・・棄てられたにゃあ・・・・・・・。くじゅっ。〉

涙目で同情を得ようとキャットシーは、美奈を見上げる。美奈は、それは悪い飼い主だったんだねぇ・・・・。とスクランブルエッグを口にすると、リルに云った。

「リル。一緒に、ダメかなぁ?」

やっぱりそうなるのか。とリルは、キャットシーを睨むと仕方なし。と頷く。キャットシーはしてやったりっ。とにゃんまり、と笑った。


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