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第二十四話 長老会議

 ちょい悪おやじが長老たちの真正面にデント座っている。


「黒龍殿、よく来られた。来られないのではと実は心配していた」


「俺もよう、こんなに早く来るつもりはなかったんだが、悪魔や堕天使にエルフが追い詰められて、颯爽と登場するつもりだったんだが……」


「堕天使のバカが本物のバカかもって思ってよ」


 長老たちの表情が曇った。


「どう言う意味かね」


「悪魔も堕天使の数が多いのと、変な魔獣がやたら多い。半端な数でなくだ。俺はそう感じる。それとだこの里の周囲にもかなりヤバい魔獣が隠れていた」


「キメラの魔獣が里の周辺を襲撃している。世界樹を守る兵士の数を少なくしたいのだろうと思っている」


「黒龍殿には、世界樹を守る最後の防波堤になってもらうつもりだ」


「お前ら、ほとんど死ぬぞ」


「私たちは世界樹を守るためにいる。世界樹さえ残ればいつかは、この地に戻って来られると信じている」


「ミサ殿は黒龍殿と来られたようだが、なぜかな?」


「アタイ、いえ、私たちの国の王女が龍の谷に行かれまして、王女を迎えに行くハメになりまして……」


「私たちにとっては好都合だったなあ。ツイている。ミサ殿には里の周辺に隠れている魔獣を倒してもらいたい」


「はい、承知しました」


「これは、ハゼの実だ、これが弾けたら緊急事態なので世界樹の元に来てほしい」


 私はハゼの実を受け取った。


「ハゼの実がはぜる時はかなり大きな音と衝撃があるので、頑丈な皮袋に入れて置くように」


「はい、ご配慮ありがとうございます」


「それとエルフの戦士君、里の周りは魔獣だけではなく下級悪魔と中級悪魔と、面倒な堕天使の気配がした。薄くてよくわからんかったが、雑魚だと思う」


「長老、浄めの矢と浄めの剣をエルフの戦士君に渡してやってくれ。俺からは堕天使の羽根しか切れないが、お前に俺の鱗で作った短剣をやる」


「ミサ殿はエルフの戦士ではない、まあ、黒龍に言っても仕方ないな」


「黒龍殿、悪魔と堕天使はエルフが……」


「エルフの数が足りねえよ。陰キャのバカ息子は今回は全力で世界樹を倒しに来るぞ!」


「野郎は遊びじゃない。この世界を滅ぼすつもりだ」


「そんで、エルフの巫女さんたちの調子はどうだ。たぶん一番に狙われるぞ」


「承知している」


「巫女さんたちを守り切れればエルフの勝ちだと俺は思う。奴の陽動に乗れば負ける」


「皆、覚悟はしている。なので、少しでも里のエルフたちを守ってほしい。お願いするミサ殿」


「出来るだけの事はします……」


「それで、アタイは、いや私はどなたの指示に従えば良いのでしょうか」


「ミサ殿、この玉を首から掛けてください。君が里の守備隊長だ。皆んなミサ殿の指示に従う」


「それは……」


「おめえ、戦士だろう、里のもんは素人だぜ」


「承知しました。では、今より里の守備に着きます」


「よろしく頼む」



「すみません。里の皆さま、長老会議でアタイ、私が里の守備隊長になりました。魔獣が出ましたらお知らせください」


「はい、里の皆さま、こんにちは。旅人のリュケアです。この里の周辺に魔獣の他に悪魔と堕天使もウロウロしていました」


「悪魔については、羽が二枚しかない場合は子どもでも、この浄めの矢が当たればとりあえず消せます。二枚以上の悪魔は大人が対応してください。羽が十三枚以上は堕天使です」


「堕天使に浄めの矢を射ると、元気になるので射らないでください」


 里のエルフさんたちの表情が曇った。


「リュケア、堕天使が出た時はどうしたら良いの?」


「その時はミサさん、守備隊長に知らせてください。守備隊長以外は絶対に堕天使には手を出さないように」


「ミサさんは堕天使を倒すのが最優先です。よろしくお願いします」


「はい、リュケア様」





 アタイはジュンとサオリを連れて里の周囲を巡回している。見つけた魔獣はガンガン倒しているけれど、減らない。


 アイラさんから念話が、アタイの頭の中で声がする。


「ミサさん、巫女見習いさんが意識を取り戻したのだけど、黒龍様のところに行くって聞かないの。どうしましょうか?」


 アンリエッタの我儘が始まった。まったくこの大事な時にだ。


「世界樹のところへ行く道を教えてください。黒龍様はそこにいます」


「良いの? 許可のない人間は世界樹の周りに張ってある結果の中には入れないわよ」


「構いません。本人が何とかするでしょう」


「ミサさんがそれで良いなら、そうするけど……」


 念話が切れた。


「はあーー」


「アンリエッタが意識を取り戻して、我儘をアイラさんに言っている」


「アイツ絶対、絞めた方が良いって」


「ジュン、女の子を絞めるなんて言わないの」


「サオリは何でアイツを庇うんだよ」


「同性だから。それにあの子変な人に色々吹き込まれただけだし、気の毒じゃない」


 また、アイラさんから念話が来た。


「言われた通り、世界樹への道を教えてあげたら、家を飛び出して行ったけど……」


「お手数をお掛けしてすみません」


 アタイは念話を切った。


 魔獣は狩っても狩っても嫌になるくらいわいて出て来る。でも、どうして一度に攻め込んで来ないのだろうか?

 

 リュケアさんから念話が入った。


「ミサさん、堕天使が出た。すぐに来てほしい」


「はい、すぐに行きます!」


 アタイたちは堕天使が現れた場所に急行した。

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