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第十七話 国王陛下からの依頼

 侍女さんが、私たちを迎えに来た。どうも王族のプライベート区域に連れて行かれている雰囲気がする。アタイたちが国王陛下になんかしないといけないのだろうか? 不安だ。


 小部屋に通された。小部屋と言っても他の部屋よりも少し狭いかなって言う程度。アタイから見れば豪商の応接室に見える。


 中に入るとギルド長とジュンが立っていて少しホッとした。


 部屋に待機していた年配の侍女さんが、アタイたちの席を指定した。なぜかアタイがギルド長より上席だったので、ギルド長を見つめたら、指示通りするようにと合図された。


 国王陛下が部屋に入られたので、全員が席から立った。国王陛下はなんかお疲れのように見える。


「我が王国は皆も知っての通り、ドラゴン、龍を信仰している。先日、物見の塔に黒龍様がおいでになった。本当に喜ばしい事だった。ただ一つ困った事が起こった。余の娘、アンリエッタが黒龍様の御足に自らを縄で縛り付けて、黒龍様と一緒に龍の谷に行ってしまった」


 何という大胆な姫君だ。アタイの感覚で素直に言うと完全にイカれている。


「我が王国は龍を信仰しているので、まさか軍隊を出す訳にも行かない。だからと言って司祭たちだけで龍の谷には向かわせられない」


「そこで、王国内に六か所あるダンジョンにおいて優秀な冒険者パーティが司祭たちと共に龍の谷に行ってもらう事にした」


 国王陛下がギルド長をじっと見つめている。


「私が管轄しておりますギルドでもっとも優秀なパーティは今回の騒動で、傷つき、疲弊しております。国王陛下からのご依頼をお断りするのは、非常に心苦しいのですが……」


「しかし、お前のギルドには前人未到の二十階層に潜って生還した者がいるではないか」


 アタイの事だ。アタイのパーティってジュンとサオリしかいない。二人ともまだまだ初心者レベルだし、アタイだって冒険者になって十年も経っていない未熟者だよ。


 各ダンジョンのトップをはっているパーティとは月とスッポンの差がある。この国王陛下はバカなの。冒険者のことを全然知らないのじゃないかしら。国王陛下が冒険者について知らないのは当然かあ……。


 アタイはギルド長をじっと見つめた。お願い断って下さいって顔でだ。


「龍の谷に行くには人が入ったことのない、黒の森を抜けなくてはならない。余はあの者は運を持っていると確信している」


 もう、二十階層でその運は使い果たしました。お姫様は自分から龍の棲家に行った訳なんだから、自己責任でしょう。どうしてアタイがそんな恐ろしいとこに行かないといけないのさ。


 アタイのパーティってマジで超弱小パーティなんですよ。ギルドを代表するようなパーティではありません。


「余は、王国内六つのダンジョンから冒険者を呼んだと宣言をしている。嘘をつくわけにはいかない」


 アタイたちの命はどうなっても良いのか!


 ギルド長がアタイの顔を見つめている。


「ミサ、これは決定事項だ。うちのダンジョンの代表として恥ずかしくない行動をとってほしい」


「アタイたちのパーティが代表って……」


「これで決まりだ。明日、他の冒険者パーティと顔合わせ後すぐに龍の谷に行き、アンリエッタを連れて戻って来るように。以上だ」



 ジュンもサオリの顔が真っ青になっている。たぶん、アタイの顔もそうなっていると思う。


「ギルド長、アタイたち死んじゃいます。アタイが十八階層まで行けたのはソルドの親方たちがいたからこそです。ジュンとサオリが十八階層に行けたのも三大パーティの超一流の冒険者皆さんの犠牲があってこそです」


「アタイたちの実力じゃあないんですよ」


「ギルド長として命じる。アンリエッタ姫の救出を命じる。もしそれが嫌なら今すぐ冒険者をやめろ!」


「ジュン、サオリ、マスターのところで働きなよ。アタイはもう手遅れだから……」


「俺たち、ミサさんのパーティメンバーです。ミサさんが行くなら一緒に行きます!」


「ギルド長、マスターにちゃんとこの話をしてくださいね」


「わかった。お前たちが戻らない時は俺も後を追う」


 最悪だーーーーー。ギルド長はマスターに殺される覚悟を決めたみたい。


「ギルド長、黒の森ってどう言う森何ですか?」


「わからない。黒の森に入って帰って来た人間は私の知る限り歴史上いない」


 国王を殺して他国に逃げようか。



 翌日、アタイたちは他のパーティと顔合わせをした。他のパーティは皆んな知り合いのようだ。当然と言えば当然かあ。


「ソルドが来られなかったのは残念だ」とか言ってるし、アタイたちだって自分たちの実力は知っているよ。超一流の冒険者パーティに初心者パーティって、笑い話にもならない。そう言うことで、アタイたちは超一流冒険者パーティの皆さまから距離を取った。


 リーダー会議にもアタイは参加しなかった。役割を万一振られても出来ないもの。


 ジュンのお目々がキラキラしている。サオリは意外に冷静に各冒険者の特徴を見てメモをしている。サオリには分析と計画を立てる才能がある。


「ミサさん、アタシたちはどうするのですか?」


「とりあえず、あの人たちの後ろから邪魔にならないように付いて行く。付いて行くのが無理になったら引き返すつもり」


「そうなんですか……」


 なんかサオリは不満そうだ。


 国王陛下が若い司祭を三人を伴って広間に入って来た。


「ようこそ、冒険者諸君。このことはあくまで非公式。他言無用でお願いしたい。しかし、報酬は望み放題だと思って貰っても良い。この三人の司祭は龍の言葉が話せる。龍との交渉はこの三人が行う。諸君はこの三人とアンリエッタを無事に王宮に連れて帰ること」


「諸君にとっては簡単なことだと思う。大事なことなのでもう一度言う。他言無用でお願いする」


「国王陛下、承知しました」


 アタイたちのパーティ以外の冒険者さんたちが一斉に言う。



 龍の谷に向かう人数は五つのパーティ各十名、五十名と司祭が三名とアタイたちの三名。合計五十六名。

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