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第十五話 四階層から十八階層そして王都へ

 第三階層の激戦以降、アタイが隊長じゃないけど。救援隊の総意かなあ。出来るだけ早く十八階層に着きたいから、モンスターとの戦闘は極力避ける方針になった。


 四階層のモンスターって私たちにしてみれば、人喰い鬼以下の雑魚だったけれど、これからは、冒険者が狩られる側で、モンスターが狩る側になったとしか思えないくらいの強さと凶悪さを持っている。


 それに、必死の思いでモンスターを倒してもドロップするのは埴輪だけ。これでは古代ダンジョンでやっているのと同じで、モンスターを解体して売れる部位を持って帰るしか、お金が稼げない。そのために必要な魔法職が、この街は本当に少くない。


 モンスターを解体をすると、血の匂いで新しいモンスターがやって来る。頭の上にはハゲ(たか)が舞うしで、マジで時間との勝負だ。


 第十階層到着、元通り草食系モンスターがいる。水場には水が流れている。念のため元盗賊団のキャンプ地に行くと、井戸には水が湧き出ていた。すべて元に戻っている。理由はアレの気紛れだろうか?


 水質検査の結果は飲んでも大丈夫だった。十階層で水の補給をした。ジュンがモグラに襲われたけど、キチンと仕留めた。金貨がドロップした。十階層では埴輪はドロップしないのか?


 そういうことで、休憩中にもかかわらず、オッっさんたちが争ってモグラを狩る。でも、金貨がドロップする場合もあるけど、埴輪の場合もある運ゲームだった。理由はアレの気紛れに違いない。


 埴輪ばかり集めてしまったオッさんの表情は暗かった。


 十六階層、どこもかしこも牛と馬しかいない。馬は単独では行動せず、常に集団で行動している。襲われると、死ぬ。ということでひたすら逃げて逃げまくった。


 牛は一頭なら狩る。二頭以上いたら逃げるを選択した。二頭以上解体するのは時間的に無理。血の匂いで牛が来る。馬が来る。ハゲ(たか)が舞うから。


 次の十七階層は、アタイとしては行きたくないけど、行くしかないので、死ぬ思いで突入した。


「ジュン、サオリ、耳に綿を詰めて、吸魂鬼が見えたらすぐに耳をふさぐこと!」


 十七階層に突入する。


 周囲は骸骨とゴーストしかいない。ファイアボルトで排除しながら前進する。吸魂鬼が数体が接近して来た。アタイたちは耳を塞ぎながら前進する。


 突然、数人が倒れた。見ると吸魂鬼がその人たちに取り憑いている。凶悪さが増している。アタイは走り出した。ジュンとサオリもそれに続いた。


 吸魂鬼に五人が魂を抜かれた。これで死者が合計十八名になった。


 アレの気紛れのお陰だ。いつか……、絞めてやる!



 ゴム製の服を着て、フルフェイスのヘルメットを被って十八階層に突入した。遠くで微かに爆発音が聞こえた。誰かが生きている。


 アタイたちは急いで爆発音する方向に向かって疾走する。木々の攻撃とか完全に無視して最大火力で木々の攻撃を排除しながら、木々の被害は最小限になるようにしながら、爆発音のする方に向かっている。


「調査隊の皆さん、助けに来ました!」


「ミサかああ。おせえぜ」


「ごめんなさい。三階層が人喰い鬼とゴブリンの集落になってたので、手間取りました」


 生存者は、ソルドの親方、ベンさん、アナキンさん、魔術師、なぜか二流冒険者一名の五名だった。二流冒険者は意識不明の重体だったので置いて行っても良かったのだが……。


 アタイたちは救援隊だから、二流冒険者を担架に載せて運び出した。


 五名を救出して、地上まで最低限の戦闘でダンジョンの脱出に成功した。でも、もうこのダンジョンは初心者には絶対無理なダンジョンになっている。


 ジュンとサオリがなんかとっても逞しくなったのが気になる。冒険者の顔になっているようにも見える。アタイは二人を冒険者嫌いにするはずだったのに……。



 ギルド長の執務室で、アタイとソルドの親方とベンさんとアナキンさんの四人が、今のダンジョンの様子について報告した。


「一階層から牛がいる。ウサギの集団は狡猾だ。三階層にはゴブリンの集落と人喰い鬼の巣になっている。でもってドロップするのは埴輪しかない」


「古代からあるダンジョンはの方がまだ稼げる。もうここはお終いだと思うよ」


「もう、俺たちはこのダンジョンには潜りたくはない。次、潜ったらきっと生きてダンジョンの外に出られない気がする」


 ソルドの親方、ベンさん、アナキンさんがそれぞれ意見を言った。



「わかった。明日からダンジョンの封鎖を解くことにする。入りたい奴は入れば良いさ」


 ギルド長はダンジョンの封鎖の解除を決定した。まあ、調査隊の大半がやられたことで、この街にいた冒険者の多くは他のダンジョンに行ってしまった。残っている連中は自信過剰な連中ばかりが残っている。


「国王陛下には、お前たちが持ち帰った情報を整理して、後日報告に行くことになっている。ところで、意識不明で戻って来たロスはどうしている?」


「ええと、命に別状はないそうなんですけど、でもずっと意識が戻らないんです。ハンスが見ています」


 ハンスがアタイのところに来て、ロスが意識を取り戻してももう冒険者稼業は無理だ。俺はお前をパーティから追い出すのには実は反対だった。俺と組まないかと誘いに来たけど、断った。


 前人未到の二十階層に入って生きて戻って来たアタイはこの街では超有名人になっていた。自信過剰連中から、俺たちのパーティに入れとうるさく言ってくるので、ウンザリしている。


「ソルド、ベン、アナキン、ご苦労だった。帰って良い。ミサは少し話しがあるので残ってほしい」


「えっ、アタイだけ居残りって、アタイ何かまずいことをしましたかあ?」


 ソルドの親方たちは、ギルド長の執務室を出て行った。


「あのう……」


「ミサ君、そこに座りたまえ。お茶を持って来るように言うから」


「さて、ミサ君、君が二十階層にまで到達したことは国王陛下に報告している。でだ、国王陛下より勲章が授与されることになった。私と一緒に王都まで来てもらう。出発は四日後。同行者は君に任せる」


 何で勲章なの? 今まで誰ももらったことがないのに……、嫌な予感しかしない。



「ねえ、マスター、アタイ礼儀作法とかまったくわからないの。マスター、一緒に来て」


「ジュンもサオリも一緒に来て、とっても不安だから」


「ミサちゃんは英雄じゃないの、しっかりしなさい」


「マスター、アタイは冒険者の生活しか知らない社会的不適合者なんだよ。英雄って何それ?」


「マスター、アタイを長女にしたいんだよね! 長女が本当に困っているのを見捨てるの!」


「アタイ、晩餐会で男の人とダンスしないといけないんだって」


「ミサさんには無理だ……」


 ジュンとサオリがハモった。


「ミサちゃん、今日からこの店はミサちゃんの貸し切りにする。テーブルマナー、ダンスの基本を撤退的に教える。覚悟しなさい。アタシは長女を見捨てたりはしない」


 その日から出発の朝まで、地獄の特訓が始まった。


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