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3XXX  作者: 紫電
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神の鉄槌

馬車に揺られて一時間と少ししたころ、俺は今朝早起きしすぎた反動でうつらうつらとしていた。

ルセイとスティーノが遊んでいる中に入れてもらおうともしたが、あまりにも体がだるい。

ここまで旅を続けてきて、頭の中では楽しいつもりでも、体には相当な負担がかかっていたようだ。


…少し寝るか。


_________________________


…ここは…

久しぶりにあの夢の中らしい。

空がまぶしく、なかなか目を開けられない。

細目を開けて、段々と光に目を慣らしていく。

ぼんやりとした視界が、だんだんとくっきりしていく。

…なんだこれは!?

辺り一面、ものすごい高さの建物が広がっている。

この間の廃墟のような悲壮感は漂っておらず、これが旧文明の本来の姿なのだと感じられる。

鳥ではない何かが空を飛んでいるのが見える。この間見た夢の攻撃的なフォルムではなく、流線型のカプセルのようなフォルムである。

もう少しこの世界を調べておきたいと思ったが、体が目覚めようとしているのがわかる。

意識が遠のいていく…


__________________________


清々しい目覚めとは言えないだろう。

あの世界についてまだまだ調べたいことが山ほどある。

「おはようスクリード。顔色悪いけど大丈夫?」

そうした感情が表情に出ていたのだろう。

これは俺の問題だ。心配をかけるわけにはいかない。

「おはようルセイ。大丈夫。ちょっと酔っちゃっただけだ。」

腕時計で時間を確認すると、17:00だった。相当長く寝ていたようだ。

「もう少しで野営地に着きますわ。お疲れなのでしたらまだ寝ていてもかまいませんわよ?」

「いや、もう大丈夫だ。」

しかしこれはどうにかせねばな。ピンの刺さっているブリスベンまで行けば何かがわかるかもしれない。


俺の見立てによると、ブリスベンが立ち入り禁止区域になっている原因は俺の見ている夢と何らかの関係がある気がする。俺が昔親父に読んでもらった本の中に、『空から【神の鉄槌】が落ちた時、辺りは瞬く間に廃墟と化し、死の雨が降り注いだ』という一節があった。

その昔話がどれほど正確かは分からないが、手掛かりとしては十分すぎるくらいだ。

仮説としては、俺が前に見た廃墟だらけの世界は、【神の鉄槌】が落ちた後の世界で、今さっき見た世界はその前の世界だという仮説だ。

更に俺の憶測にすぎないのだが、ブリスベンが立ち入り禁止になっていることとも何らかの関係があるのではないかと思っている。


つまり、俺の仮説はこうだ。

太古の昔、ブリスベンに【神の鉄槌】が落とされ、死の雨が降り注いだ。

死の雨、または【神の鉄槌】本体に強力な致死作用があり、廃墟だらけの町になってしまった。そして、その致死作用がまだ現在まで残っているため、立ち入り禁止区域として人の出入りを禁止している。


今のところの情報ではこの仮説が一番信憑性が高いだろう。


そんなことを考えている間に野営地に着いたようだ。

重い身体を持ち上げ、馬車から降りる。今日は早めに寝よう。

エスペランスには明日の正午に着く様だ。

街の宿ならもう少しリラックスして過ごせるだろう。


などと考えながら夕食の支度をする。

俺は具材を切り、下味をつけておく担当だ。

野菜と肉を食べやすい大きさに切り分け、ルセイが出汁をとったスープの中に入れ、煮込んでいく。


しばらくして、いい匂いがしてきた。菜箸で具材を刺してみて、ちょうどいい感じに火が通ったことを確認する。

確認が済んだら、各々の好きな分だけ取り分けていく。

今日は俺は食べたらすぐ寝ようと思っているので少なめだ。

料理を盛りつけたらみんなで座って

「「「いただきます」」」

楽しい夕食の始まりだ。

ルセイとスティーノが俺が寝ていた間の景色や出てきた動物、魔物の話をしてくれる。

我ながら、俺はパーティーメンバーに恵まれていると思う。

この二人が俺についてきてくれて、本当に良かったと思う。


夕食を食べ終えて、二人に先に寝ると告げ、俺は自分の寝床に向かった。



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