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3XXX  作者: 紫電
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キョウト

今日は道中、特にトラブルがなく、夕方にはすんなりとキョウトに到着した。

この町の特色は、この国の古来の町並みである。

今まで通ってきた町は、どこも西洋化が進んでいて、石レンガ積みの建物が多くみられた。

しかしこの町は、この国本来の建築方法である木造の建物が多い。

俺は今まで、石積みの建物しか見たことがなかったため、何か新鮮な気持ちで街に入った。

木造の建物は、どこか風情があって、懐かしささえ感じる。

俺はここに来たことがないのに、不思議だ。


しばらく街を歩き、今日泊まる宿の方へと足を進める。

石でできた道を歩きながら、風景を眺める。

ひときわ高い建物が目に入った。

この間見たガイドブックに書いてあった『五重の塔』ってやつだろうか。

遠目から見ても、その美しさがよくわかる。

俺はこの国の雰囲気が好きだ。

落ち着いて旅ができる。


宿に着き、自分たちの部屋に案内される。

部屋の中も、今まで見てきたものとはだいぶ違う作りになっていた。

まず、ベッドがない。

ベッドがないのはどういうことだ。

この国に来たことがある親父ならどういうことかわかるかもしれない。

「ねぇ父さん、なんでこの部屋ベッドないん?」

「あー。それはな。」

と、おもむろにクローゼットのようなもののドアをスライドさせて開けた。

そのドア、そうやって開けるのか。

中に入っていたものは…。

「これ、布団。これを床に敷いて寝る。」

なるほどね。

これなら部屋のスペースを圧迫しない。

なんて効率的なんだ。


床の素材も気になるな。

何だこれは。と、考えていると。

「この床は畳って言ってな。イグサっていう植物を加工して板みたいにしたものを床に使っているんだ。」

植物を床に…か。

少し柔らかくて足に心地いい。

部屋の入口で靴を脱いだのはこのためか。

さっきから驚きっぱなしだな。

この国に来てからはしばらく経っているはずなのに、初めて異国に来たような気がする。


少し部屋で休憩したのち、俺は風呂に入ることにした。

例のごとく、大浴場が設置されているので、俺はそちらに向かう。

この国の人たちは、風呂好きが多いらしい。

この国の人とはいい友達になれそうだ。


大浴場に入ると、そこにあったのは木製の湯舟。

ヒノキという木を使った風呂らしい。

なるほど。

風呂に入りながらも木のいい香りがする。

めちゃくちゃ落ち着くなこれは。

お湯の温度も熱めで俺好みの温度だ。

少し入って、体が熱さに慣れたところで、次は露天風呂に入ってみる。

冬の夕方の、冷たい空気が直に体に当たる。

風呂のお湯で熱くなった体に気持ちがいい。

石で囲まれた湯舟に、足、半身、全身と徐々に慣らしながら入っていく。

良い気持ちだ。

このまま寝てしまいそうになる。

もう少しこの風呂を堪能していきたいところだが、あと少しで夕食の時間になってしまう。

この国の人は時間には厳しいということを聞いたことがある。

遅れたらまずいだろう。

名残惜しいが、俺は大浴場を後にして、みんなの待つ部屋に戻っていった。


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