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3XXX  作者: 紫電
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シカ

翌朝。

昨日は久しぶりにみんなと会話をし、コミュニケーションをとることができた。

今日はさらに東へ進み、コウベという町へと向かう。

道中、山を通らなければならない場面があるため、山用のマウンテンバイクという自転車を借りる。

通常の自転車より、車輪が太く、安定感がある作りになっている。


今日もいつも通り、朝食をとり、宿をチェックアウトする。

この国の暮らしも慣れてきた。

とにかくこの国は、料理がおいしい。

宿の朝食も、いつも出来立てで、温かいご飯を食べるとメンタルにも効く。

旅をしていると心が荒みがちになるが、そうしてメンタルを保養できるのは本当にありがたい。


昇り始めた太陽に向かって、自転車を漕ぐ。

空気の冷たさと、朝日の暖かさ。

風を切っていく爽快感。

前の旅では味わえなかった感覚が、今回の旅では味わえる。

冒険とは、魔物との戦闘や、別の街に行くことだけではない。

こうして風にあたる心地よさや、仲間たちと会話しながら進んで行く楽しさ。

それを全部含めて冒険と言うのだ、と俺は思う。


今日は特に魔物や動物に絡まれることもなく、中間地点までたどり着いた。

今はお昼休憩の真っ最中だ。

オカヤマで買ってきたきびだんごをみんなでモチモチ食べている。

なんかみんな食べ方が小動物みたいで和むな。

まぁ、一口で食べてしまうのはもったいないと思うのは分かる。

実際俺もチマチマと食べている。

これ美味いな。

旅をし始めてからお昼休憩で食べてきたものと言えば、固い肉やパンばかりだった。

久しぶりにお昼に柔らかいものが食べられる。

さっきも言ったが、食はメンタルに直結する。

美味しいものを食べることは、旅をつづけるのには必要事項なのだ。


お昼休憩が終わり、午後の旅が始まった。

これからは沈んでいく太陽との勝負になる。

夜を町の外で過ごすのはめっぽう危険だ。

魔物がいなければ問題はないのだが、魔物は動物と異なり火を怖がらない。

キャンプをしていると突然魔物に襲われるという事態が容易に想像がつく。

寝込みを襲われては、いくら親父が強いといえど、もともと動物よりもはるかに強い魔物に、勝てる道理は無いだろう。


しばらく山を走っていると、何やら嫌なガサガサという音が聞こえてきた。

また魔物かと身構える。

しかし、出てきたのは大きめのシカだった。

特に体格に変化もないため、野生の動物のシカらしい。

シカはあまり人間に対して敵意を持っていないと聞いたことがあるのでここは無視しても大丈夫…あれ。

もう角が生えて立派な大人のはずのそのシカは、子供だけに見られる斑点が、まだ体に残っていた。

これ、まだこのシカは子供ってことじゃないのか…?

前にこの国には、めちゃくちゃデカいシカの魔物がいると聞いたことがある。

嫌な予感がする。

シカの子供を見かけたら、近くに親がいることが多い。

…。

ヤバいかもな。

そんな俺の思惑通り、ガサガサという嫌な音が、辺りに響いてきた。

音はどんどん近くなり、ヤツは姿を現した。

「…デケェよ。」

親のシカは、体高5メートルはあろうかという巨体で、めちゃくちゃこちらに敵意を向けた目で睨んできていた。

恐らく子供に接触したことで怒っているのだろう。

こいつとは戦えない。デカすぎる。

自転車での逃走劇が、今、始まる。


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