ヒロシマ
チュウゴク地方の中で一番大きな町。
ここはヒロシマだ。
ここには何やら、旧文明のさらに前に戦争が起きた時の遺物があるらしく、観光名所にもなっている。
『原爆ドーム』という物らしいが…どこにあるんだろうか。
地図で場所を調べてみる。
…お。
ちょうど町の真ん中じゃないか。
泊まる宿も近いし、寄ってみるのもいいかもな。
西側から町に入った俺たちは宿と原爆ドームのある中心部へと足を進める。
この町は、この国で見た町の中では一番栄えている。
町並みもオーストランドとはだいぶ違って、木造の建物が多い印象だ。
建物はほぼほぼ木造なのだが、時折鉄筋の入った建物がある。
オーストランドでは見られなかった技術だ。
この国には、やはり旧文明の技術が少し残っているようだ。
旧文明でも、この国は技術大国として栄えていたらしい。
そういうことを聞くと、なぜ旧文明が滅んでしまったんだろうという気持ちになってくる。
戦争で滅んだのは仕方ないかもしれないが、栄えていた頃のこの国を一目見てみたいと思う。
そんなことを考えているうちに、街の中心部に着いた。
地図を見ながら、原爆ドームを探す。
しばらく歩いていくうちに、原爆ドームに到着した。
それの見た目を一言で言うなら…廃墟。
鉄筋の入った建物だったらしく、金属でできた骨組みだけが残っている。
その建物の近くに、碑が立っており、何か書いてある。
…日本語読めねぇ。
一度文明が滅んだ後、人々の話す言葉は英語で統一された。
しかし、過去の遺物や、旧文明の文書などは固有の言語で書かれていることが多い。
まぁ読めないものは読めないので。
仕方ないので宿へ向かうとしようか。
原爆ドームからしばらく歩き、宿へ到着する。
宿に着いてからは、特段変わったことは無く、夜は更けていった。
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またここは夢の中の様だ。
今日は体が自由に動かせる。
サクラダさんの体ではないようだ。
しかし…ここはどこだ?
恐らく旧文明の大都市であることは間違いないだろう。
超高層の建物が立ち並び、そのすべてが金属でできている。
ウィルカニアの町長さんが言っていた『鉄の世界』。
間違いなくこの街並みのことだろう。
しかし、いつもならそろそろ何か起きるころだが…
と、思った瞬間。
期待通り何かが起こる。
空からブーンという爆音が響き、その音に反応して、空を見上げる。
前に見たサクラダさんが乗っていた乗り物に似た乗り物が、空高くに小さく見える。
その乗り物から、何かが落ちてくるのが見えた…その瞬間。
空が閃光に包まれた。
思わず目を庇う。
光が収まり、ゆっくりと目を開ける。
そこには、今さっきまでの栄えた町並みは無く。
ただゴミの様な鉄クズと、建物の骨組みだけが残った、廃墟だらけの町並みが、そこにはあった。
その廃墟だらけの町並みは、ブリスベンで見たものによく似ていた。
恐らくあの乗り物から落ちてきたのは『神の鉄槌』だろう。
この破壊力。
到底人間に扱いこなせるものではない。
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