新たな旅
俺が家に帰ってから3日後。
今日は、ヨコハマへと向かう船の出発日。
旅の再出発の日だ。
前回の旅と違う点は、船旅であるということと、ウチの親父が参加するということだ。
ウチの親父は、昔は冒険者をやっていたようで。
まぁ…血が騒いでついて来たくなっちゃったんだろう。
前回の旅を一緒にした仲間たちは今回も一緒に冒険をする。
今は事前に決めていた集合場所でその仲間たちを待っているところだ。
現在時刻は8:30。集合時間まではあと30分だ。
船の出発時刻には余裕を持たせた集合時間になっているので、ギリギリになっても大丈夫だ。
なぜそんなに余裕を持たせたのかって?
ルセイがどうせ遅刻してくるに決まっているからだ。
まだまだ出発時刻には余裕がありすぎるくらいにはあるので、頭の中で今回の旅のルートを復習する。
今回はすべての日程が船旅だ。歩いたり、馬車に乗ったり、ラクダに乗ったりすることは無い。
ただ、大きな船に揺られるだけ。
そう考えると、今回はだいぶ楽な旅になるかもしれない。
しかし、距離はとてつもなく遠い。
船でどんなに早くてもヨコハマに着くのは2週間ほどかかるだろう。
旅のルートは至って単純だ。
海を一直線に北へ向かうだけ。
しかし、例によってこの船にも停船駅が存在する。
それは、オーストランドの西海岸だったり、インドネシアだったり、フィリピンだったりまちまちだ。
各駅ではこれまた例のごとく、一泊ずつ停船する。
俺はその一泊の中で街を歩いたりするのが好きなので、停船駅は多い方がありがたい。
俺は今回の旅は冒険というか、観光旅行みたいなノリで行けたらいいなと思っている。
…親父もいるしね。
そうこうしているうちに、時間が過ぎて、集合時間の10分ほど前。
スティーノとソフィーが集合場所に到着した。
「スクリード、久しぶりー!…まぁ久しぶりとはいっても3日ぶりだけどねー!」
こいつは相変わらず元気だな。
「お久。ソフィー、スティーノ。これ、うちの父さん。」
と、横にいる親父を指さす。
「これってなんだこれって。あ、どうぞよろしくね。」
「「よろしくお願いしまーす」」
と、親父が初対面の二人に挨拶を済ませ、少し談笑していると。
「お、なんかこっちにめっちゃ走ってきてる人がいるぞ。」
予想に反して、遅刻はしなかったようだ。
「おはようルセイ。珍しく遅刻はしなかったみたいだな。」
「10分前に起きたけどね。」
と、ゼーハーと息をしながら答える。
こいつの遅刻体質どうにかならんもんかね。
「おはようルセイ君。いつも息子がお世話になってるね。」
「いや、お父さん。どっちかというと俺がお世話になってるというか」
「自覚あるんならどうにかしなさいよアンタ」
と、ソフィーのツッコミがさえわたる。
「まぁ、全員揃ったんだし、少し早いけど船に乗り込もうよ。」
「おう。そうだな。」
と、親父が返事をして、みんなもそれに続く形で港へ足を進め始めた。
「デケェな。」
今回乗り込む船を見た俺の第一声がこれである。
長距離船なので当然と言えば当然なのだが。
まぁそれはそれとして。これから俺たちの新しい旅が始まる。
ワクワクしてきたぞ。




