旅の終わり(第一章 完)
「おいスクリード。大丈夫か?」
放心している俺に、ルセイが話しかけてきた。
その言葉で俺は自我を取り戻す。
「いや、少し考え事をしていた。」
と、返事をすると。
「それにしても酷いな…街がボロボロだ…」
「ボロボロなのもそうだけど、なんなの…?この街並み…」
ソフィーの言う通り、かなり異質な街並みをしている。
建物は骨組みの金属が丸出しとなっており、傾いたり、ツタが絡まっていたりしている。
そして何よりも目を引くのはその建物の大きさ、高さである。
今の我々人類には到底届かない技術が、古代にはあったのだと実感させられる。
夢で見たままの光景に、ただただ呆然とすることしかできない。
でも、呆然としていても何も始まらない。
目的を果たそう。
「みんな、ここにいても何も始まらない。街の中心部に地面がえぐられているところがあっただろう?まずはそこに行ってみよう。」
「「「了解」」」
廃墟だらけの街を、街の中心部へと歩いていく。
金属の灰色に、ところどころ緑が見える。
神の鉄槌の威力を受けてなお、生存した植物もいるようだ。
しかし、動物の姿が見えない。
何か有害な物質があって意図的に避けているとしか思えない。
俺達も早く目的を達成しないとまずいかもしれない。
先を急ごう。
しばらく歩いて、街の中心部へと着いた。
街の中心部は、建物の骨組みすらのこっておらず、完全な更地となっていた。
更地は、中心部がくぼんでおり、クレーターとなっていた。
更地の直径は、大体直径2キロメートルといったところか。
しばらく更地の中を歩く。
そうすると、更地の丁度真ん中に、何かが立っていることに気づいた。
あれは何だろうか。
あれが例の【神の鉄槌】ではないかと思い、仲間を連れて更地の中心部へと向かう。
それに近づいてよく観察する。
形状は流線型をしている金属の塊のように見える。
それはかなり巨大で、大体3メートルはありそうだ。
これが【神の鉄槌】なら、どこかにスイッチがあるはずだが…
見つけた。表面にレバーのようなものがついている。
そのレバーを反対側に倒してみる。
すると。
『操作ガ行ワレマシタ。【神の鉄槌】型原子爆弾、内蔵放射性物質ノ放出ヲ停止シマス。』
「「「「喋った!?!?」」」」
どういうことだ?
中に人がいる感じじゃない。
これも古代の技術ということか。
それにしても、『原子爆弾』とか『内蔵放射性物質』とかわけわからない事言ってたな。
あれってどういう意味なんだろう。
親父なら知ってるかもしれないな、後で聞いてみることにしよう。
まぁそれはそれとして。
「みんな。ここにはあまり長居するとまずい気がする。目的は達成したから、早く街の外に出よう。」
「「「賛成。」」」
と、目的を達成した俺たちは、目的地だったブリスベンを後にした。
一つの旅が終わろうとしている。
俺たちは明日からはパースへ向かう帰路につくことになる。
第一章 完




