セント・ジョージ
朝である。
外の湿度が高いからなのか、ジメジメとしてとても清々しいとは言えない。
空気に文句言っても何も始まらないので、体を起こして洗面所へと向かう。
顔を洗えば少しはすっきりするだろう。
顔を洗って、隣の部屋のソフィーとスティーノを起こしに行く。
コンコンと部屋のドアにノックをし、返答を待つ。
しばらくすると、ガチャガチャと鍵を開ける音がして、ドアが開いた。
眠そうな顔をしたソフィーが部屋から出てきた。
「もう起きるの…?いつもより早くない…?」
「今日は次の町までかなり距離があるから早く出るぞ。」
「えぇ…」
「えぇ…じゃないの。ほら。スティーノも起こしてきて。」
「へ~い…」
まぁいつもよりも1時間くらい早いし眠いのもしょうがないか。
しばらくして。
まだソフィーが戻ってこない。
…遅ぇな。
…さては。
コンコンともう一度ノックをする。
「は~い…おはよ~…」
「おはよーじゃねぇ。お前今二度寝してただろ」
「してないよぅ…横になっただけだよぅ…」
「それを世間一般では二度寝という。」
そんなことはどうでもよくて。
「マジで今日は早く出ないといけないから。スティーノ呼んできて。」
「へ~い」
この流れさっきもやった気がするが。
しばらくすると、今度はちゃんと起こしてきてくれたようで。
「おはようございます~」
「はいおはよー。」
後はウチのルセイ君だけだが。
これが厄介なんだなこれが。
自分が寝ていた部屋に3人で戻り、全員で枕を構える。
「せぇーの!!!」
という俺の合図で一斉に枕をルセイの顔面に叩きつける。
「ッ!?!?なんだぁ!?!?」
なんか前にもこんなの見たことある気がするな。
なんやかんやあって、4人全員が起きたので、荷物をまとめてチェックアウトへ向かう。
チェックアウトはいつも通り俺が手続きを済ませた。
今日もラクダでの移動になるため、街の入口にある貸し出しの窓口に向かう。
窓口でいつも通りサイン付きの領収書を受け取り、ラクダに乗る。
3回目なのでみんなも慣れたものである。
「ルセイも随分慣れたみたいだな。」
「割と今でも足ガクガクなんだなそれが」
マジか。大丈夫なのかそんな状態でスピード出して。
「まぁみんなのペースには多分ついていけるから大丈夫。ヤバそうなら止まってくれって言うから」
「おーけー。安全第一でね。」
そんな会話をしながら、今日の旅路がスタートした。
今日の旅は至って順調で、特にトラブルもなくお昼休憩にこぎつけた。
が、そこで問題発生。
ルセイがラクダを固定するのを忘れ、ラクダが逃走。
追いかけるために砂漠の中を4人で全力ダッシュする羽目になった。
休憩ってなんだっけ。
まぁそんなこともあったが他は特に問題もなく。
午後も順調に予定通りの道を進んで行った。
ルセイのラクダを追いかけていた影響で、到着するころにはもう日が落ちていたが、今日の目的地、セント・ジョージに到着した。
この町で一泊した後、トゥーンバという町に向かい、その後はいよいよこの度の目的地、ブリスベンへと向かう。
一つの旅が終わりに近づいている。この先も気を緩めずに行こう。




