旅の目標
翌日、目を覚ました俺は親父に電話をかけようとスマホを手に取った。
親父の番号は…と。
何気に俺から掛けるのは初めてかもしれない。
「もしもし父さん?」
『スクリードか?何用だ?』
「いや、新しい情報が手に入ったもので」
『マジか。どんな情報?』
「魔物の発生を抑えられるかもしれない」
『それマジで言ってんのか!?本当なら国家を挙げて表彰されるレベルだぞ?』
「マジなんだな~それが」
『で、どうやってやるんだ?』
「まずブリスベンの中で落ちた【神の鉄槌】を探す。その表面にあるスイッチを押せば魔物を生成する要因になっている物質の放射が止まるんだそうだ。」
『本当か?それどこ情報?』
「ウィルカニアの町長さんだけど」
『あぁ。それなら間違いねえわ。冒険者時代にお世話になった人だからな。』
ウチの親父、顔広すぎるだろ。
「えぇ…父さんの交友関係どうなってんの…?」
『ハハッ。すごいだろ』
凄いというかなんというか…
「まぁ、用件はこれだけだから。そろそろ切るね。」
『あいよ。引き続き頑張れよ。』
「はーい。」
親父との電話を切り、時計に目をやる。時刻は7:00。
そろそろ仲間たちを起こした方がいいだろう。
今日はさらに北東へ向かい、バークという町に向かう。
この町も、ラクダの貸し出しを行っているので使っていこうと思っている。
ルセイを枕で叩き起こし、隣の部屋に移動する。
部屋のドアをノックすると、もう起きていたらしくソフィーが出てきた。
「今日もラクダで移動するぞ。もうそろそろ出発しよう。」
「おーけー。わかった」
4人揃ったところで、チェックアウトをしにロビーへ向かう。
今日は俺がチェックアウトの手続き担当だ。
チェックアウトを済ませて、ラクダを貸し出してもらうために街の入口へと向かう。
すると、散歩中だろうか。昨日お世話になった町長さんに出会った。
「おはようございます。早いですね。」
「この時間帯は涼しくて良いんだよ。またぶっ倒れたら敵わんからな。」
と笑う。
笑い事じゃないと思うけどなぁ…
「もう出発かね?もう少しゆっくりしていけばいいのに。」
「そうもいかないんですよね。ブリスベンに行った後はまた別の目的地に行かなきゃなんです。」
「そうか。じゃあまた別の機会にこの町に寄って行ってくれ。儂の家に来たらもてなしてあげよう。」
「ありがとうございます。またいつか、遊びに来ます。」
町長さんに別れを告げ、街の入口へと向かう。
入口で、ミルデューラでの時と同じように手続きをし、領収書をもらってラクダに乗る。
流石にこの間よりはみんな乗るのに慣れているようで、すいすいと飛ばしていく。
途中途中で休憩をはさみながら。目的地であるバークへ向かっていく。
途中、湿地帯があったので少しペースが落ちたが、日没までにはバークに着くことができた。
アデレードからブリスベンへ向かう旅路も半分程度が終わった。
気を引き締めて、あと半分も旅をしていくことにしよう。




