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3XXX  作者: 紫電
22/59

晩酌

ワイカリー。砂漠にたたずむこの町は、アデレード-ブリスベン間の十分の一あたりのところに位置している。

そこまで大きな町ではないので、宿泊するのは1日だけにしようと思っている。


街に入ると、すでに日は落ちきっていて、辺りにある街灯だけが地面を照らしていた。

砂漠は街灯と月明り以外の光源がないため、少しの光でも明るく感じられる。


それにしても腹が減った。昼に少し食べただけで一日中歩き回ったから当たり前ではあるのだが。

「早いとこ飲食店見つけようぜ。」

と、仲間に言ってみる。

「賛成。もう腹減っちゃって動けん」

「ほんとそれなですわ…タンパク質…タンパク質は無いんですの…?」

「スティーノちゃんがもう限界みたいだから早くどうにかしよう。早く。」

ソフィーが珍しくマジトーンで喋っているのでヤバい。


そうして見つけた飲食店に入り、夕飯にすることにした。

ここはどうやら居酒屋らしい。俺はすでに酒が飲める年齢になってはいるが、明日からの冒険に支障が出ないように今日は飲まないようにしよう。

とか考えているとルセイが

「すいませーん。生一つお願いしまーす」

オイ。

ルセイには俺の思惑なんぞ届いていないようだ。

そんな事を考えていると、

「すみません。ハイボールを一つお願いしたいのですが」

「あたしもそれください」

ソフィーはともかくお嬢様さぁ…

まあいいや。俺も吹っ切れた。

飲んでしまおう。そうしよう。

「すいませーん!生一つ!ジョッキで!!」

半ばキレ気味にビールを注文した。

後ついでにつまみも沢山。

もうどうにでもなれ。


しばらくして、みんなに酔いが回った。

お腹も満たされたのでもう会計に向かうことにした。

宿の位置確認してないけどたどり着けるだろうか。

そんな一抹の不安を抱えながら俺は会計に向かった。


会計を済ませて、宿へ向かう。思ったよりも町の構造が単純だったため、迷わずにたどり着くことに成功した。

しかし、今の俺達の状況は、ルセイは俺の隣でずっとごにょごにょ独り言を言っているし、ソフィーはスティーノにおぶわれている。

スティーノは体の方は大丈夫なものの、明らかに声がデカくなっている。

「スクリードさん!着きましたか!!!!」

「ok着いたよ。着いたけどスティーノはちょっと黙っててね」

「分かりました!!!!」


…。

こいつらがこんなに酒癖が悪いとは思わなかった。


その後、俺がチェックインを済ませて、部屋へと向かった。

移動中、スティーノが急に歌いだしそうになったので宥めるのが大変だったが。

今日は全員トランプができる状態ではないので、早急に女子部屋の二人は部屋にブチ込んで寝ていただいた。

最後までスティーノは

「えぇ~今日は大富豪やらないんですかぁ~?」

とか言っていたが。


さっきまでごにょごにょ言っていたルセイももうおとなしく寝ている様なので、俺は部屋の風呂に入り、明日の支度をして、明日二日酔いにならないように水を飲んでから布団に入った。

仲間の3人にも水飲ませりゃよかったな、と今更考える。

二日酔いになってたら出発できないのでこの町で旅の足止め食らうことになる。

仲間たちが二日酔いになりませんように、と祈りながら、俺は自分のベッドの中に入った。


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