アデレード
「いや~やっと着いたね。」
「私は思ってたよりも早く感じましたわ。」
人によって感じ方はまちまちだが、俺たちは長距離馬車の終点、アデレードに到着した。
国内有数の大都会であるこの街は、海から少し離れた場所に中心地を置き、中心地からは円形に街が展開されている。
気候も涼しく、今のような夏を過ごすにはもってこいの街だ。
一泊と言わず、もう少しここにいたい気持ちもあるが、ブリスベンに行くのが我々の目的であるので、そこは少し我慢だ。
時刻はすでに16時を回っており、辺りもだんだん暗くなってきた。
早いところ宿を探して、チェックインを済ませたほうがいいだろう。
よさげな宿を見つけたので、チェックインをして中へ入る。
宿の中にはレストランもあるようなので、夕飯はそこで済ませてしまおうと考えている。
親父からもらった金はまだたくさん残っているので、しばらくは予算の心配はしなくてよさそうだ。
みんなで部屋に入って少し休憩する。
「疲れた~」
「それな~」
「私は楽しかったですよ?」
「スティーノはいいとして君たち2人はこれから先、歩きでブリスベンまで行くわけだけどついてこれるの?というかなんで普通に考えたら一番体力がないであろうスティーノが一番ピンピンしてんだよ」
「家にいる間は筋トレしてたので~」
あぁ。なんかそんなこと言ってたな。すっかり忘れてたわ。
「俺たちも大丈夫だよ。疲れたとはいっても一過性のものだから。」
まぁ、本人が言うなら大丈夫か。
部屋で少し休んだあと、俺たちは宿の中にあるレストランで夕食を食べ、いつも通り寝る支度をし、少し遊んでから各々の寝床に着いた。
-翌朝-
清々しい朝である。
昨日、みんなで話し合って、ルセイとソフィーはまだ疲れがあるようだったので、今日の出発は取りやめにし、疲れが取れてリフレッシュし次第ブリスベンへ向かうことにした。
俺は一人で宿を出て、辺りを少し散歩してみることにした。
この街は都会ではあるものの、そこら中に緑が見られて空気も心地がいい。
広場や公園の数も多く、子供たちの遊ぶ声が聞こえてくる。
道も広く、住みやすそうな街だ。
しばらく散歩をして街を回った後、俺は宿に戻った。
時刻はもうすぐ昼になろうかというところだ。
散歩をしているときによさげな飲食店を見つけたので、仲間たちを誘ってそこに行こうと思っている。
宿の部屋のドアをノックすると
「お帰りスクリード。外どんな感じだった?」
と、ソフィーがドアを開けてくれた。
「公園とか、緑が多くて空気がきれいだったよ。あと、いい感じのご飯の店見つけたから時間もちょうどいいし食べに行かない?」
「いいね!ルセイとスティーノも呼んでくるよ。」
と、ドアを開けたまま部屋の中に走っていった。
アイツは本当に疲れているんだろうか。
そんなことを考えていると、ソフィーが2人を連れてドアから出てきた。
「それじゃあ飯食いに行くか。」
「「「おー!」」」
冒険は一時お休みして、休息をとることにしよう。




