終点へ
馬車がユークラ、アデレード間の最初の野営地に着いた。
時刻はすでに17時を回っており、夕日が砂漠に反射してまぶしく輝いている。
早速俺は、夕飯の準備に取り掛かる。ポーカーをやって賭けに負けてしまったので、仕込みから全部やらなければならない。
鍋に大量の水を入れ、肉、野菜、ありとあらゆる具材を火の通りにくい順にブチ込んでいく。
具材を煮込んで出汁が出たところでソフィーにユークラのスーパーで買ってきてもらったコンソメキューブを入れる。
これだけでなかなか美味いスープが出来上がる。
旅には付き物のクソ固いパンも、これに漬けて食べてしまえば美味しく頂くことができる。
料理が形になってきたので、自分たちのテントの中で遊んでいる三人を呼び出しに行く。
「お~い。晩飯できたぞ。」
「おーけー。今行くわ」
遊びのキリがよかったのか、意外にすんなりこちらに向かってきてくれるようだ。
折り畳み式の机を出し、料理を並べていく。
料理とはいってもパンとスープ、あとは余った肉を焼いただけだが。
「普通にうまそうじゃん。お前料理出来たんだな。」
「いや二人で旅してた時俺が作ってたじゃん。…まあそんなことはいいから食うぞ。」
みんなの皿に料理を盛り付けていく。
「「「「いただきます」」」」
久しぶりに一人で作ってみたが味のほどはどうだろうか。
スープを一口飲んでみる。
…まぁ少し濃い気もするがパンと一緒に食べればいいだろう。
「美味いじゃん。やるね。」
と、ソフィーが褒めてくれる。ほぼほぼコンソメキューブのおかげだけどね。
肉も一口食べてみる。…これは元が美味いから美味いのも当たり前だ。
そんな感じで夕食を終える。後は寝るだけだ。明後日までは今日のような生活が続くだろう。
俺たちの今後に思いを馳せながら、俺は寝床に入った。
-2日後-
今日はようやく長距離馬車の終着駅、アデレードに到着する日だ。
アデレードに着いたら、まずそこで一泊し、休息を挟んで体力を回復させ、今回の旅の目的地、ブリスベンへと徒歩で向かうことになる。
馬車の出発時刻が迫っているので荷物をいそいそとまとめ、馬車へと積んでいる。
「おーい。早く荷物まとめて行くぞー。ってあれ?」
仲間の姿が見当たらない。
「おーいスクリード。こっちこっち。」
と、馬車から身を乗り出したソフィーとルセイが笑いながら手を振る。
あれ?あいつらの荷物、まだ馬車に乗ってないんだけどな。
「おいお前ら。まだ荷物積み終わってないだろ。取りに来いよ。」
と、言うと。二人はニヤニヤしながら
「「お願いしまーす!」」
と、言ってきた。チクショウ。そういうことか。俺に持ってこさせようってか。
舐められたもんだぜ。
「お願いしますじゃねぇ!何ニヤニヤしてんだてめーら。自分でやれ!」
「「へ~い。」」
と、荷物を移させたところで、馬車の発車時刻になった。ゆっくりと馬車が発車し、終点のアデレードへと向かっていく。
アデレードまでは3時間ほどで着くようなので、いつも通り仲間とトランプをしたり、移ろいゆく景色を楽しんだりしながら過ごしていく。
ここまでお世話になった馬車での旅も、あと少しで終わりかと思うと少し寂しい気もするが。
出発から3時間、トラブル一つなく定刻通りに馬車はアデレードへ到着した。
町の様相は、流石、パース以来の大都会といった感じで、いつぞやの夢で見た廃墟には及ばないものの、高さのある建物が並んでいる。
俺たちはここで一泊し、ブリスベンを目指し歩いていく。一つの旅を終えたような気持ちになっていたが、本当の旅はここから始まるのかもしれない。




