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3XXX  作者: 紫電
16/59

賭け

海と砂漠の境目に太陽が顔を出すころ、俺は目覚めた。

今日は最後の停車駅の町、ユークラに別れを告げ、この馬車の終点であるアデレードへ向かう。


相変わらず起きるのが遅いルセイは横のベッドでスヤスヤ寝息を立てながら思いっきり眠っている。

まだ馬車の発車時刻までは余裕があるので寝かせておいてやろう。


ベランダに移動して朝日を眺める。

今は夏だが、朝は空気がカラッとしていて気温もさほど高くない。

風に当たっているととても気持ちがいい。

そうしてしばらく風に当たっていると、部屋のドアがノックされる。

カギを開けて仲間の二人を部屋へ招き入れる。

「おはよう。ルセイは相変わらず寝てるけど入っていいよ。なんなら起こしちゃって。」

「おはようございます。部屋の空気が心地いいですね。」

「ああ。窓開けてたんだよ。外の空気気持ちいいからな。」

とスティーノと話していると、ソフィーが俺が寝てたベッドから枕をとり、寝ているルセイの背後に忍び寄った。

そのまま枕を振りかぶって…面白そうだからこのまま見ていよう。

ソフィーが枕をフルスイングして、ルセイの頭に見事にヒットした。

「!?!?ッ!?何なにナニ!?!?」

「反応面白すぎるだろ。グッジョブ。ソフィー。」

「イエイ♪」

スティーノが声を殺して笑ったおかげで窒息しそうになっているが、まあいいだろう。

そんな感じでバカをやりながら全員が起床したところで、昨日の残りの食材を朝飯に食べ、チェックアウトをしにロビーへ向かった。


チェックアウトを済ませ、馬車へと向かう。

荷物を宿に持ってきてしまったので、荷物を載せるのが少し大変だ。


荷物をすべて載せ終え、馬車の自分たちの席に座ると、ちょうどいいタイミングで馬車が発車した。

これから3日間、町には止まらない。アデレードに着くまでは野営地で毎日寝ることになる。

俺は別にそんなに野外で寝ることが嫌いではないので問題はない。むしろ自然を直に感じられて好きだ。

夏なので虫刺されがあると多少ウザいが。

それも火を焚いて寝れば改善される。


馬車は依然として、海と砂漠の狭間を走っていく。日が段々と上がり、砂漠と海に照り付けていく。

車窓からは砂漠を駆ける動物たち、稀に魔物もちらほら見られる。

動いているものを見かけ次第突っ込んでくる魔物も一定数存在するため、馬車が時折停止することもある。

そんな中、俺達は呑気にトランプなんかをやっているわけだが。

今、俺たちはポーカーをやっている。

掛けるものは今日の料理当番を誰にするかだ。3回勝負して、総合的に一番負けた人が今日の料理当番だ。

ぶっちゃけ料理はめんどくさいしやりたくない。

さて、俺の手札は4とクイーンのツーペアと、9が一枚。

フルハウスを狙って、9を変えるが、手元に戻ってきたのは8のクラブ。

ただ表情には出さない。これがポーカーフェイスってやつだ。

ツーペアでも勝機はある。

これで勝負だ。

結果は、ルセイが5のスリーカード。スティーノが6とキングのツーペア。ソフィーが2,3,4,5,6でストレートだった。

おい。俺の負けじゃねえか。

まぁ、まだ焦る時間じゃない。

次の手札は、6のワンペアと4、9、キングだ。

ワンペアは保険として取っておきたいので4、9、キングを変える。

変えても役の状態は変わらなかった。

みんなの役は、ルセイが3のスリーカードと4のワンペアでフルハウス。スティーノが全部のカードがダイヤのフラッシュ。ソフィーが8のスリーカード。

また負けじゃねえか。

最後こそは…と思い、カードを引く。

無役である。

もうやだ。


無事に今日の料理担当が俺に確定したところで、止まっていた馬車が動き始めた。

野営地までは後2時間ほどだそうだ。

馬車に揺られながら今晩のメニューを考えることにした。



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