大富豪
-翌朝-
昨晩は例の夢にうなされることもなく、深い眠りにつけた。
窓のカーテンを開けて、朝日が昇るオーシャンビューを堪能する。
この町の売りである海と白い砂浜が朝日に照らされて、より一層キラキラと輝いている。
時刻は6:30。馬車の出発時刻まではまだだいぶ時間がある。
他の3人が起きてくるまで、もう少しこの絶景を楽しむことにする。
1時間ほど経っただろうか。突然部屋のドアがノックされた。
「はーい。ちょっと待ってねー」
あの二人だろう。ドアを開けると予想通り、仲間の二人が立っていた。
「おはようございます~」
「おはよー!ルセイは?」
「ルセイはまだ寝とるよ。まぁでも中入っていいよ。」
と、二人を招き入れる。
「ルセイ寝てるんなら寝起きドッキリでもやるか?」
「やらねぇよ。」
と、3人でわちゃわちゃと話していると、
「ん~おはよぅ~」
と、ルセイも起きてきた。
「おはよう。まだ寝てても大丈夫だぞ。」
「いやぁ起きるよぅ~」
完全に寝ぼけてやがる。
「とりあえず顔洗ってきな。サッパリするから。」
「おぅけ~ぃ」
ルセイが洗面所に移動すると、
「ルセイってあんな寝ぼけ方するんだw」
と、ソフィーが笑う。
そんなこんなで朝の支度と朝食を済ませると、チェックアウトをしにロビーへ向かう。チェックアウトはルセイがやってくれるそうなので、俺たち3人はロビーのソファーに座って手続きが済むのを待つ。
「次の町はどこなんだっけ?スクリード。」
「ユークラだよ。ここからは馬車で丸一日くらいかなぁ」
「そんなに遠くはないんですのね。」
「そうだな。俺らが乗ってる馬車は急行じゃないから割と等間隔に停車する町があるんだよな。」
「ユークラって何で有名なんだ?」
「砂漠に面してるらしいし、海岸沿いの町でもあるから、やっぱり景色じゃないか?」
「へぇ~」
と、間の抜けた返事をいただいたところで、ルセイが戻って来た。
「チェックアウト終わったよ。ちょっと海見てから馬車乗ろうぜ。」
「「「賛成!」」」
ソフィーを加えて、4人となった仲間たちで海を見る。
俺はスマホのカメラを構えて、後ろから3人の写真を撮る。
いい感じの写真が取れたので親父に『メール』をする。
俺、このオーパーツの使い方、だんだんわかってきた気がする。
次の町に着いたら、電話もしてみようかな。
30分ほど砂浜で時間をつぶして、馬車に乗り込む。
「やっぱり人が増えると寂しくなくていいな!」
と、いつにも増して元気なルセイ。めっちゃ寝てたし元気が有り余ってるのかな。
「野営地まで何をしましょうか。そろそろババ抜きも飽きてきましたわ。」
「じゃあ4人になったんだし大富豪でもやるか。ルールわかる?」
「ハイ!分かりません!」
と、ルセイ。お前が分からねえのかよ。
ルセイに大富豪のルールを教えている間に、馬車が出発した。
馬車に揺られながら、ルールを教えているわけだが、いかんせんこの幼馴染、物覚えが悪すぎる。
「だーかーらー。革命が起きたらカードの強さが反転するんだってば。」
「ok。完全に理解した。」
「してねえだろお前は。」
しまいにはソフィーとスティーノも教えるのに参加しだした。
ルセイがルールを完璧に覚えるころ、辺りはもう暗くなり出し、夕焼けが綺麗な時間帯となっていた。
「おい。そろそろ野営地に着くぞ。最後に1ゲーム位しようぜ。
「すいませんリーダー。暗くてもうカードが見えないであります。」
「なんなんだよお前はもう。」
それから10分足らずで、馬車は野営地に到着した。
そこからは、もういつも通り、ご飯を食べて、寝床に着いた。
明日の馬車での移動は、大富豪がきちんとできますように。
そんなことを考えながら、俺は寝床についた。




