新たな仲間
宿に戻り、日が暮れたところで、夕食と、今後の野営用の食料を買いに出かける。
何故かスマホには町の施設などは表示されないため、町のところどころにある地図を頼りにスーパーマーケットを探す。
スーパーマーケットにたどり着き、商品を物色していると。
「ねぇねぇお兄さん。旅の人?」
と、声がかかった。
「俺のどこを見て旅の人だと思ったのかが知りたいが、そうだよ。何か御用?」
「いや~あたし旅に憧れててね~。ここって長距離馬車の停車駅みたいなところだから、旅人さんがたくさんいるでしょ?それに感化されちゃってさ。」
なるほど。でもなんで俺?
「ってことであたしも連れて行ってほしいんだけど、ほかの人たちには断られちゃってさ。」
なるほど。人が増えるのは楽しいし、馬車の席にも一人分は空きがあったはずだ。
ならば。
「良いよ別に。」
「えぇ!?いいの!?」
「なんだその断られるの前提みたいな反応は」
「いやここまで5組くらいに声かけたから…ありがとうございます」
こいつすげえな。普通3組目くらいで止めるだろ。
「あたしソフィーって言うんだ。よろしくね。」
「スクリードだ。よろしく。」
新しい仲間が増えた。
「で、スクリードは今何してたの?」
「今日の夕飯と野営地での食事用の食料調達。誰かさんのせいでもう一人前買わないとな。」
「いやぁ~お世話になります~」
こいつどついたろかな。
その後、買い物を終えて宿にソフィーと一緒に戻った。
「お帰りスクリード。いい食材あった?って…その娘は?」
「この人はソフィーさん。なんか旅に憧れがあったそうで。連れて行ってほしいって言ってたから馬車の席にも空きあるしまぁいっかっつって連れてきた。スティーノも俺らよか腹割って話せるだろうし旅のメンツに加えたいんだけどどうかな?」
「この旅の主催者お前だし俺はいいと思うぜ。」
「私も賛成ですわ。夜寝るとき寂しい思いしなくて済みますし。」
「だとよソフィー。お前運いいぞ。男女比も2:2で丁度いいし、こいつら二人共いいやつらだ。」
「何から何までありがとうございます~。」
「俺たちはそんなにハードな旅はしない。観光半分だと思って楽しくやろう。」
「じゃあ仲間も増えたところで夕飯にしよう!」
「「「おー!」」」
夕飯を食べながらソフィーにこの旅の目的や今まで見てきたものを話した。
目を輝かせながら俺の話を聞く姿はまるで幼い子供の様だった。
夕飯を食べ終わったら部屋の風呂に順番に入り、みんなでトランプをして親睦を深めた。
ソフィーは今俺と同い年の17歳で、もう親元から離れて過ごしていたらしい。
何はともあれ、トランプも旅も、2人より3人、3人より4人の方が楽しいのは明らかだ。
時刻は23:00。明日へ備えてもう寝た方がよさそうだ。
ソフィーの事はスティーノに任せて、ルセイと俺はいつも通り、寝る支度に移った。
明日は馬車に乗って、最後の停車駅の町、ユークラへと向かう。
しかしこの旅全体で見たら、まだ序盤も序盤である。
明日も適度に気を引き締めて、旅を楽しもう。




