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守国の戦いは終わらない

気分を切り換え…無理に切り捨て、ドーヌ領に入る。リンセン・ナールスのことは忘れる。600年前がどうであれ今はやるべきことに専念しなくてはいけない。


ガンデア首都グルアン。予想ではそこにクレサイダがいるはずだ。

このドーヌ領を素通りしてそのまま西南のグルアンに駆け込みたいところであるが、戦時中の権力の中心をこの少数で叩けるほど甘くはない。

どうにかしてドーヌの国境から味方になってくれるだろうシーベルエ騎士団をガンデアに招き入れねばならない。


ティシア率いる鎗騎隊の誘導により、国境門のガンデア側へ。


初めて見るドーヌの門。600年前以降ドーヌ家に守られてからは敵軍が突破したことは一度たりともない国境門。最も対をなすシーベルエ側のノースの門も600年前からガンデア軍の進軍は許していない。いや、最近侵入してきたガンデア軍人がいたけどね。


ドーヌ門の向こうはとても煩い。銃声の音、馬の嘶く声、魔法による爆音、そして人間の断末魔。間に合わなかったか、すでにドンパチが始まっている。


ドーヌ門の前にはこれから出陣するべく待機する兵達。その兵を割り込みながら馬を進めていく。



『そこの騎兵隊何者だ!所属を名乗れ!』


ドーヌ門のてっぺんから落ちてくる金切り声。あの頭が寂しき初老の男が現テンゴル卿かな?


「ティシア・ハシュカレ。この戦いに参戦すべく小隊ながら精鋭を引き連れやって参りました」


俺との打ち合わせ通りに声を張るティシア。


『ハシュカレの娘だと?まぁ、良い。それならば父親に続き直ぐに前線に出ろ!』


戦闘に関してシロウトに毛が生えただけの俺が一つ教えてやりたい。拡声魔法で増兵を相手方にわざわざ報せる何てドシロウト以下だぜ。相手方が増兵に対する対策を講じる時間を与えてどうする。マードン教官の指導ならグランド5周だな。

「テンゴル卿に伝えるべき言付けをあるお方から預かっております。どうかお目見えを」


『言付けだと。分かった私は忙しい早く入れ!』


だから、伝令兵を使いなさいって。まぁ、簡単に入れちゃったから良いけどね。さて、ここからが本番だ。


正門の隣にある扉が開く。中には武骨に造られた階段。階段を抜けた先にはドーヌ門の外に広がる血にまみれた大地。


今は我慢しろ。吐きたいならば、後でたっぷり吐けば良い。


『それで、伝言とはある方からの何だ』


大きな魔法陣、おそらく拡声魔法陣の上に置かれる仰々しい金色な椅子に座るハゲ男。会ったばかりだが、あんたのでかいキーキー声にはうんざりだぜ。マードン教官、こいつはグランド50周じゃあ足りないぐらい、指揮官として叩き甲斐がありますぜ。


「実は伝言はこちらのお方から授かったものです」


『その男が?お前は何者だ?』


あれ、俺がやれと言うことですか?ティシアちゃん、予定が違いますよ。


駄々をこねる時間は無いし、仕方がない。発案者の俺が腹をくくりましょう。


テンゴル卿の座する近くに寄り、拡声魔法陣を踏む。同時に剣を抜き、テンゴル卿の首筋へ。


『俺の名はシーベルエの有志、ライシス・ネイストだ!テンゴル卿、あんたにゃあ悪いがこの門は俺がもらうぜ』


首から血が静かに流れながら驚愕を隠せないテンゴル卿。

ごめん。寸止めする気だったけど首に少し当たっちゃった。


『貴様ぁ~!シーベルエのスパイがァー!』


『悪いけど、あんたは退場ね。カーヘル頼む。えー、ガンデア軍の皆さん、総司令テンゴル卿は此方で捕縛された。ただちに戦闘行為うぉわ』


お偉いさんの人質が近くにいるから大丈夫だと思ってました。でも、俺の側を通る銃弾。ドーヌ門の上にいる兵達がこちらに向かってくる。まるでテンゴル卿の命など構わんと言うようだ。

人望は大事にしなよな。


しかし、頭を失って少しの動揺しかしないとは厄介だ。


今の此方のやり取りでシーベルエ陣の攻撃が勢いを増して、戦闘が激化するドーヌ門の下で拡声魔法での号令が走る。


『ドラス・ハシュカレだ!全軍、テンゴル卿に構うな。今はガンデアを守るためにシーベルエを叩くことのみに専念しろ!ドーヌ門守衛の部隊、そいつらを速やかに捕縛しろ!言っとくが俺の娘には傷付けるなよ』


ガンデア軍の混乱を直ぐに立て直すとはやってくれる。ハシュカレ現領主はなかなか優秀だ。しかも、そこでカーヘルに気絶させられた御仁と違い人望がありますね。


どんどんと周囲に敵兵が増えて来ている。俺を抜けば最強のこの面々がやられることは無いと信じたいがあまり時間は掛けられない。


『今はこんなところで、争ってる暇は無いんだ!首都グルアンでまた、魔王が召喚されようとしているんだ!ガンデアもシーベルエも双方剣を収めろ!』


『こちら、シーベルエ国王。久しぶりライシス君。悪いがそれはこの段階では無理だ。こちらもそちらも国を守る大義を背負って戦っている。この戦いを止めるためにはどちらかが国を捨てなければいけないのだ。だから、戦闘を停止するわけにはいかない。もちろん、ガンデア軍が手を引くのならばこちらも手を引こう』


ノース門からの懐かしき声。

シーベルエ国王自ら出てきている戦い。まさに国を守っているのだ。


『こちらもそれは出来ん。例え君の言うことが真実だろうとここで、シーベルエをガンデアに入れさせて国を捨てる訳にはいかん』


ハシュカレ卿も国の為と言った。


どちらかが武器をおろせば終わるが、どちらも武器を捨てる訳にはいかない。国が負けるから、国に居る大事な人たちが傷付く可能性があるから。だから、戦い続けるしかないって言うのか?


どうすれば良いってんだよ。どうやれば止められる。俺の悩む間にも人は死んでいく。こんな無意味な戦いで。



『それならば、両方とも国を捨ててしまえば良い!』


突如俺の横から現れた凛とした声。

血に染まる戦場に響いたこの声が国を、世界を、そして歴史を動かした。

物語も終盤へ入り、予定している話数も残り10話となりました。


くそ~!この話を書き終えたくないよう!何だか寂しいよう。

何とかネタを作って強引な引き伸ばし作戦を…、止めておこう、只でさえ弛んでるのに更にグダグダになってしまう。


せっかくですから、是非最後まで読んでやって下さい。

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