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闇に覆われた洞窟で 3

もう一話と宣言しながら寝てしまったダメ作者はマックで昼休み返上で小説を書いてるダメ社会人でもあります。

寒さに凍えた身体が温かさを求めただけだった。寒かったからネイストにくっ付いた、それ以外に何の理由があろうか?


認めたく無いのだが、あるようだ。


ネイストに身体を預けながら、夢うつつ考えていた。アイツのこととネイストのことを…


アイツは強かった。

私よりも強かった。


アイツの一番嫌いだった言葉。


「ユキちゃんは俺よりも強いよ」


私がどんなに全力を出しても敵わない父上から一本を取ったアイツからの言葉だった。


そんなことを言う癖に、アイツは決して私と本気で刀を合わせてくれた試しはなかった。

私を苛つかせるアイツの第ニの決まり台詞。


「俺は女の子に本気は出さないの」


どれだけ悔しかったことか。結局、アイツにとっては私は弱い存在でしか無かったのだ。


私がその屈辱をいつの日か拭う為に刀を振り続けた。何故かいつも気配無くその私の側に居たアイツ。いつも私の刀を振るのを何をするでもなく眺めていた。私は気が散るから去れと言えば、


「いやぁ、ユキちゃんは努力家だなぁと思ってさ」


にやけながら、そんなふざけた言を吐くアイツ。

私は知っていた。アイツが、私が父上に決められた門限になって家に帰った後に、私よりも多く刀を振っていることを。


結局、アイツに一勝どころか一戦も出来なかった。


ある日のことだった。いつもの場所で刀を振っていた私、傍らにはアイツが来ていた。そして、私に更なる招からざる客たちが来た。

里を取り仕切る忍頭である父上に里から追放され、山賊に身を落とした外道共。父上への報復を目論見、私を拐かすつもりだったのたろう。


実戦を知らない私は弱かった。震えた手で刀を支えるのが私に出来たこと。アイツは違った。アイツは私の代わりに刀を振るった。体格の違う大人五人に恐れず立ち向かった。


アイツが傷だらけで最後の一人に振るった刀。アイツが相手の喉元を突き抜くと同時にアイツの胸元は刃が貫いていた。相討ちだった。

私が駆け寄ると笑いかけるアイツ。


「ナッ、ユキちゃんの方が俺より強いだろ。…どんなにユキちゃんが弱くても俺が守ってるんだからさ」


アイツのあの胸くそ悪い発言を考えるとあの時から私は格段に弱くなったんだ。守ってくれるアイツという強さを失ったから。



今までそう思っていた。


逃げるように外国の軍隊に入って、任務の帰りにこの男に逢うまでは…。


ネイストはアイツに似ていた。それだけで近づいた。


そして、ネイストは私よりも強い。ネイストには守ってくれる人たちが居るから。


そのネイストが私を守ってくれている。悔しい気持ちもある。でも、この暖かさはとても心地が良い。


私は守ってくれたアイツを本当に嫌いだったのだろうか?私の役に立たない自尊心を棄ててしまえば、確実に私はアイツが好きだったのだろう。


ならば、今、私を守ってくれている、ネイストはどうなのだろう。


そう考えるとネイストから感じる暖かさが増したように感じた。


駄目だ、何も考えるな。また、守ってもらってしまう。


しかし、私のネイストの背中に回した手は、また力が入ってしまう。ネイストを離したくないと…


ネイストにしがみついていないと自分が弱くなってしまうと…



ネイストが好きだ。本当に好きなんだ。


自分すらも誤魔化せない感情の波が流れ出す。この温もりを放さないで、ずっとこうしていたい。ずっと傍にいて欲しい。


でも、強いネイストに守ってもらうのは今だけだ。アイツのようにいつまでも守ってもらう訳にはいかない。



私はネイストを守る。

そして、このどうしようもなく愛しくなってしまったこの人は私を守ってくれるだろう。


わかったよ。私はネイストよりもとても弱くて、ネイストが傍にいれば、とても強いんだ。



だから、今は甘えさせて


役者の頭に沸くウジ虫が大暴走しました。


アイツ。ベッ別に、名前考えるの面倒で後回しにして書いて見たら案外すんなりしていたからそのままにした訳じゃないですよぉ。


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