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番外編 ある女性の語る英雄

私にはこの世界で尊敬する英雄が一人だけいます。

かの有名なライシス・ネイストでも、アレン・レイフォートでもない。ましてや、あのジンサ・レッドラートでもありません。



私はガンデアとの国境の街ノースで産まれました。ガンデアから偽造Iカードを用いてシーベルエに亡命した両親の元に…。


私が5才の時でした。その偽造Iカードが北方騎士団に暴かれたのは。父はその時に私たちを逃がそうと騎士団員に抵抗して殺されました。父の命は無駄に落とされ、母と私の二人は拘束。

この国で産まれた私は、正式なシーベルエのIカードを持っていた。でも、母は持っていなかった。


母は国境の向こうのガンデア兵へと引き渡された。

人間が勝手に作った国境という名のただの鉄の門。大きかった。私には越えられなかった。ただ、泣くしか出来なかった。


いつの間にか、その泣くだけの私の頭の上に大きな手のひらが置かれていた。日がくれて私が泣き止むまでずっとその手のひらはそこにあった。


その手の持ち主は泣き疲れた私を抱っこして歩きながらこう語った。


「大丈夫ですよ。私がもうすぐあの壁を壊してあげますから。すぐにお母さんに会えるようになります」


その人が連れて来てくれた孤児院には、私と同じような境遇の仲間が居た。国境の門の前に捨てられた子、親が国境のこちら側の人間か向こう側人間か分からない子。


私は知らなかった。

その孤児院が国からの僅かな援助だけでなく、あの北方騎士団長の莫大な援助で成り立って居たこと。あの悪魔の壁を守る北方騎士団長が十数年間で会った私のような孤児をどう思っていたのか。あの壁をどんな気持ちで守っていたのか。



そして、その人はあの壁を壊した。

そして、歴代の北方騎士団長が誰も出来なかった仕事を終えて死んだ。



私はその後、学費がかからない騎士団養成学校に入りました。


そして、今、ノース騎士団に入団しました。


だから、私の英雄、ウォッチ・レッドラートの意志を私は継ぎたいと思います。もう、永久に国境を創らないことを!



『ノース騎士団員 キアリ・ノースライン(15才)入団式新騎士団員代表演説より』

番外編を作っちゃうほど多くを語りたい人ですが、多くは語りません。


この人はこの物語における仕事は充分に果たしてくれました。これ以上天見酒の稚拙な文章で荒らさないように、もうちょっと書きたい衝動は抑えることにします。

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