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ふたり旅の始まり 4

「誰だよ。同志殺しのアレンって」


アレンに聞こえる声で聞くアホの同僚アホB。少し黙れアホども。


「首都のシーベルエンスじゃあ有名だぞ。第3独立遊撃隊に所属していたんだが、モンスターの討伐でいつも一人だけ、生き残って帰ってくるらしい」


それは、アレンがすげぇからじゃねぇか。


「しかも、仲間が死んだっていうのに泣きもせずに」


いやぁ~、田舎者は声がでかくて困る。いい加減、黙れ。泣きたい時に泣かない強い人もいるんだよ。


「噂だと、手柄を一人締めするために仲間も殺してるらしいぞ。しかも、それがばれそうになったから、騎士団をやめてどっかに行ったって」温厚な俺もさすがに切れた。あのクソヤロウども、魔法ぶっぱなす。


「ライシスさん、ありがとうございました。僕、行きます」


アレンに似合わない不細工な笑顔を見せて、荷物を抱えて走って行く。その少女にみえる弱々しそうな後ろ姿を俺は黙って見送る。


訳がない。俺もアホだ。頭の中がぐちゃぐちゃで追い付いて何を言えば良いのかわからない。でも、走ろう。



「一緒に来ないか。アレン」


街道沿いの木陰で、無表情で空を仰いでいたアレンに、息もきれぎれ追い付いて言った台詞がこれ。何の誘いだよ。


俯いてしまうアレン。アッ、泣かしちまった。どうしよう。

「でも、僕は…」


「昨日も言っただろう。俺に気を使うな。アレンのしたいようにしろよ。俺としては、ついて来てくれた方が助かるんだけどね」


長い間の泣きながらの黙秘。何故か心地悪い気はしなかった。


「ヨッ、よろしくぅ、ォ、お願いします」


おっ、やったね。初めてナンパ成功。女の子じゃないけど。

「よろしくお願いします。ライシスさん」


泣き止んで繰り返すアレン。よし、じゃあ行きますか。


「アレン、ライシスさんと敬語はやめだ。俺のことはライで良いぞ」


「ライ…さん。わかり…分かった」


「分かってないじやん。気を使うなって」


次の町へ向けて歩き出す俺。着いてくるアレン。

まぁ、何だかんだで、旅の仲間兼可愛い弟が出来て、かなり舞い上がっている俺でした。


旅は二人の方が楽しいでしょ!

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