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再びふなれな船旅 4

アレン君の様子がおかしいです。


ラスウェル隊長に強制された訳でもないのにお酒を飲むし、しかも、2杯も。

自分から私を誘ってくるし、何よりも口数が多いです。

私としてはとても嬉しい様子のおかしさです。


「エル。エルと夜に歩くなんて久しぶりだね」


「う、うん」


船内が薄暗くて良かったです。多分、私の顔は火照ってます。原因は目の前の綺麗な顔です。そんな嬉しそうな顔で見ないで下さい。あっ、やっぱり見て下さい。


「ラスウェル隊長が居なくなってからあまりこういうことしなくなっちゃたからね…」


寂しそうな顔をするアレン君。ラスウェル隊長とジン隊長は良く仕事終わりに酒場に部隊員を連れて行きました。その帰り道、まだまだ宵の口だというラスウェル隊長たちを残して、アレン君と二人きりで隊舎へと歩きました。

こう考えてみると、ラスウェル隊長が亡くなってアレン君が騎士団を去ってから、二人きりはあまりありません。久しぶりの至福の時です。

でも、長くは続きませんでした。アレン君の次の一言で


「エルは良いなぁ。ジン隊長がいつも側に居てくれて」


アレン君が漏らした私への妬み。


「でも、今はアレン君にはライシスさんがいるよ」


私が少し嫉妬しちゃうぐらい仲が良いじゃないですか。


「ライ兄は、ラスウェル隊長とは違うよ」


顔を反らす、アレン君。私が何も言えないでいると言葉を続けてくれます。


「最近、全然僕に話してくれないんだ。ジン隊長やユキさんやニーセさんばっかりと楽しそうに話してる。やっぱり、口下手な僕と話してるより楽しいんだ」


まだ、アレン君の言葉は続きます。


「今日だって、部屋に一緒にいたのに全然話しかけてくれないし、僕が話しかけてもほとんど返事をしてくれないし。僕なんてどうでも良いんだ。きっとライ兄は、こんな大変なことに巻き込んだ僕が嫌いになったんだ」


アレン君がおかしい原因が分かりました。そこまでアレン君に思われているライシスさんにまた凄く嫉妬します。アレン君だって私にあまり話しかけてくれないよ。

でも、私は大人です。


「それは、アレン君も同じだよ。最近、カーヘルさんとばっかり話してるでしょう。ライシスさんも気にしてると思うよ」


私も最近のカーヘルさんとの関係をとても気にしています。


「多分、ライシスさんって凄く真面目な人なんですよ。仕事に夢中になっちゃう。だから、今だけはアレン君より仕事に集中しているだけだと思いますよ。大丈夫ですよ。ライシスさんはアレン君が大好きです」


「そうかな?」


「そうですよ!」


私が見てて、苦しくなっちゃうくらい二人は仲が良いんですから。

私の方がアレン君との付き合いが長いのに…


「エル、ゴメン。それとありがとう」


「ヘ、アッ、ウン?」


アッ、アレン君!ハグはしたらいけません!今はいけません!ここではいけません!


あっ、そんなにすぐに離れなくても…。


「エル、お休み」


アレン君の顔が直視出来ない程輝いてます。


「あっ、お休みなさい」


いつの間にか私の部屋の前に着いてしまいました。もう少しアレン君と居たかったのですが、アレン君はすぐに隣の部屋に入ってしまいます。何だかアレン君がとてもズルいです。


でも、アレン君にハグされてしまった私は今、とても幸せな気分です。

だから、今のアレン君との話が、後で、もっと大きな事件の引き金になるとは思っていませんでした。


そしてこの扉の向こうに、幸せの絶頂に立ちとても機嫌の良い私と対極に凄く機嫌を害しているユキミさんがいるとは予想していませんでした。


機嫌の悪さを隠して優しく接してくるユキミさんは凄く怖かったです…

初めてのエル視点。

難しい!とても難しい!



次からは波乱万丈なトーテス編に入ります。


改めてこんな作者にご感想下さった皆様ありがとうございます。


また、皆様、よろしければ、ご感想、ご指摘よろしくお願いします。

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