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聖都燃える 2

「ナールホドネェ~、教皇様が持っているのか~」


ニーセさんはかなりご機嫌なようだな。僕として盗聴魔法なんて卑怯な手を使った罪悪感が大きい。

「ならば、夜になったら、教皇様にちょっくらお願いしに行くか」


「さんせ~い!」


何でこの部隊は強盗紛いのことが好きな軍人ばっかりなのだろうか。最も他の良い手は僕にも浮かばないのだけど。


先程合流したニーセさんに関すること以外は真面目なハシュカレ中尉に助けを求めようとするが、ニーセさんの賛同を見て、この特務2隊隊長殿も意を申し立てることは全くしない。ただ、闘争心は本物だ。


「ラベルク中尉、ペグレシャンはどうするのですか?あの忌まわしきライシス・ネイストから奪取しなければ」


ライシスさんに対しての闘争心は特に高い。


「ウ~ン、そっちも私達に任せてよ。良いでしょ、ハシュ君、ね?」


「ハッ!ニーセ様がそう仰られるのならば」


ハシュカレ中尉…、ニーセさんの方が一応下官ですよ。別に良いですけど


「う~ん、僕としてそんな手間の掛かる方法はやりたくないなぁ」


皆の注目を集めたのは、ハシュカレ中尉の部下だと思っていた黒いローブの男。ハシュカレ中尉の隊とは、付き合いが長いが今回の任務で初めて見る姿だ。そして、顔を見せない不気味な男だ。


「と、言いますとどういうことでしょうか?」


不機嫌そうに敬語を使うハシュカレ中尉。部下ではないのか?


「ウ~ン、例えばね」


そこで、言葉を切り、地面に手を付ける黒ローブの男。

魔力の線で描かれた召喚陣が現れる。異界の門が現れない。現界召喚。大小様々な魔物が現れる。黒ローブの男の契約。


「好きなように暴れて良いよ。契約料の代わりにこの街の人間を全員食べちゃて良いから。あぁ、一応、ここにいる味方は食べないでね」


何なんだ。こいつは。

各々に散らばって行く魔物達。


ルンバットを喧騒が包む。


「こっちの方が早いよね」


顔は見えないが笑っているのだろう。

ニーセさんより悪魔という名が似合う人間は居ないと考えていたが、この男を目の当たりにするとその自分の考えの浅はかさに気付く。

ニーセさんに比べて桁違いにこの男は危険過ぎる。


「へぇー、街ごとぶっ壊しちゃうんだぁ~。凄いなぁー。」


前言撤回。今のニーセさんの凄く不機嫌な怖さがこの男の不気味さを凌駕しています。文章とは正反対の感情が籠った言葉が怖い。ニーセさんが怒っている証拠だ。


隊長は無表情に黒ローブの男を見つめながら煙草を吸っている。

隊長のこの顔を見たのはこれが2度目。暫くこの目をされた後に“カーヘル。俺たちは遊びで軍人やってる訳じゃねぇんだ”と言われた時は本気で軍を辞めようと思った。その後に妙に優しいニーセさんのフォローに不覚にもニーセさんを先輩として一時だけ尊敬してしまったという黒歴史がある。


その時並み、いやその時以上に隊長はキレていると言うことだ。


「まぁ、セレミスキーは僕たちに任せて、君たちはペグレシャンを取ってきてよ」


隊長とニーセさんの威圧的な態度に動じず軽く言い放ち、背を向ける黒ローブ。ハシュカレ中尉も続く。


「どんな手を使っても良いんだな」


隊長の一言が黒ローブの男の歩みを止める。


「僕の邪魔にならなければね」


「そいつは分からねぇなぁ~。俺も年だからウッカリ手元が狂っちまうかもしんねぇ」


笑う隊長。黒ローブも笑いながら去っていく。


タバコを揉み消す隊長。


「さてと。俺たちも俺たちなりに仕事をしますか」


「まずは、ライ君達を探さないとね~」


「邪魔な獣ぶっ倒しながらな。ニーセ、今日は派手に暴れられるぞ」


「隊長~。お年何ですから身体労って下さいねぇ」


「あほ。俺はまだまだ現役だ。カーヘル、行くぞ!」


あぁ、全く!これだからこの部隊は他の部隊から不良部隊なんて呼ばれるんですよ。


でも僕はこの部隊を少しは気に入っていることは否定しない。


「カーヘル。ここで男を見せりゃあ、モテモテだぞ」


「それじゃあカー君、ここで頑張ったら、後でご褒美にチューゥしてあげよう」


この任務が終わってガンデアに帰ったら、上官のセクハラを理由に転属願いを出そう。


だから、早いところこの不良上官達とガンデアに帰りたいです。

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