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#11 逃亡者、女神と交渉する

前回のあらすじ

無意識に女神に暴行

「…あなたが異世界に行くのであれば許しましょう」


もう、行くしかないよな…


「わかりました、異世界に行きます」


女神様はパァっと満面の笑みになる


「行ってくれる気になって私は嬉しいです。これで殴られた甲斐があったと言うものです」


結構根に持ってるな…


「ただ、行く前に相談したい事があります」


この女神様は今まで話した限り悪い方ではないと思う。

僕は異世界に行く上で妥協点は模索していた。…短い間だったけど考える時間があって少し変わったけど…


「いいわ、言ってみなさい」


「ありがとうございます。僕の存在を消さずに異世界に送ってもらう事は出来ませんか?僕1人くらいなら行方不明になっても、そこまで大事にはならないんじゃないでしょうか?」


「そうね、全部は無理でもあなたの家族から忘れられないくらいにならしてあげてもいいわ。それ以上は無理よ。あなたの家族に息子がいなかった事になる事を伝えた上で家族の記憶だけ残すの。あなたの家族が外で息子の話をすると頭のイカれた残念な感じになるわ」


少し違ったが概ね希望通りだ。家族以外に忘れられる分は諦めよう。


「他のクラスメイトも同じようにする事は出来ませんか?」


これが考えが変わった所。クラスメイトのことあんまり好きじゃなかったけど流石に存在ごと忘れられるのは可哀想だと思った。


「それは無理よ。あなたとは状況が違うわ。親の立場で考えてみて。今も子供がいきなり居なくなって心配してるの。そこにあなたの子供の存在は世間から消えて無くなるなんて伝えたら今以上のパニックになる」


やはりそう簡単ではないようだ。


「そうですか。異世界から地球に戻ってくる事は可能ですか?」


「難しいでしょうね。過去にあちらの世界から地球に人が転移してきたことは私の知る限りないわ。」


女神様は「ただ、」っと続ける。


「不可能と決まってるわけではないわ。私も自由とはいかないけど、決められた順序を踏めばあちらの世界と行き来できるわけだし。」


可能性が0でないとしれただけで御の字だ。


「可能性があるとしれただけ良かったです」


それならと


「クラスメイト達の存在を家族からだけでも、消すのではなく、どこかに保管しとく事は出来ないですか?もしクラスメイトが地球に戻る事があればその時に戻してあげて欲しいんです。」


女神様は「うーん」と考えたあと、


「最高神様のお力を借りることが出来れば可能性はあると思うわ」


「よろしくお願いします!」


僕は頭を下げる


「聞いてみるからちょっと待っててね」


僕が頷くと女神様の姿が消えた。



しばらく待ってると女神様が戻ってきた。


「どうでしたか?」


「最高神様のご協力を得られたわ」


僕はグッと手に力がはいる。やった!


「ありがとうございます!」


僕はお礼をする


「他にはない?」


「ありがとうございました。もう大丈夫です。異世界に行く前に家族と話をする時間をもらってもいいですか?」


「えぇ、もちろんよ。ただ、あまり時間は取れないの。夕方の17時には迎えに行くからそれまでに準備しておいて」


「わかりました」



家に帰ってきた僕は両親に話をする。

ファミレスから出た後、お父さんに大事な話があるから家にすぐに帰ってきて欲しいと連絡しておいたおかげで2人共揃っている。


「大事な…話があるんだ。夕方…になったら僕は異世界に行かないといけなくなったんだ。もう…会えなくなる」


僕は泣きながら話をする


「どうゆうことなの?昨日は自分だけ逃げたって言ってたじゃない?母さん不謹慎かもだけど灰人が連れていかずに残ってくれて嬉しかったのよ」


「朝、家に女性が来たのは…覚えてないんだよね?」


「さっき電話でも言ってたけど知らないわよ」


やっぱり忘れてるみたいだ


「朝に女神様が僕に会いに来たんだ。お母さんも会ってるんだけど女神様の力で忘れてるみたい…。それで、昨日僕が転移陣から逃げたのが原因で今問題が発生してて、僕も異世界に行かないと問題が解決しないんだって」


「女神様?よくわからないんだけど…どうしてもいかないといけないの?」


「うん。昨日の事ニュースで行方不明者多数ってやってるでしょ?」


両親は頷く


「本当は事件にならないはずだったんだって。神様の力で元々僕達はいなかった事になる予定だったけど、僕が転移から逃げたからそれが出来なくなった…


僕が地球にいると出来ないから、僕が異世界に行った後、神様がもう一度力を使って存在を消すんだって。」


「そんな…じゃあ異世界に行ったら私達は灰人の事忘れちゃうんでしょ…。そんなの嫌よ!」


僕はお母さんの言葉に嬉しくなる。


「本当はそうなんだけど、女神様にお願いして両親の記憶だけは残してもらう事になったよ。他の人からは忘れられちゃうけど…」


「そうなの?」


「うん。だから外で僕の話をしないように気をつけてね」


一応注意しておく。


「それに、僕は異世界に行ってもいつか地球に戻ってくるつもりだよ。なんとしても」


お母さんは泣きだしてしまった。


「嫌よ、離れ離れになるなんて、私は反対よ!なにかやれる事があるはずよ!なにか…なにかあるは「もう決めたのだろう?」」


お父さんが真剣な顔で聞いてくる。


「うん。もう決心はついたよ」


「そうか。頑張ってこい!」


お父さんが応援してくれる。


「お母さん……行ってくるね」


「頑張って…くるのよ」


「うん。ありがとう……絶対帰ってくるから」


僕は決意を固くする



ピンポーン!

チャイムが鳴る


玄関には女神様が立っていた。


時計を見ると17時10分になるところだった。


「気を使ってもらってありがとうございます。」


「いいのよ。最後の別れになるんだもの、これくらい」


やっぱりこの女神様は優しい方だった。


「最後ではありません。僕は地球に帰ってきますから」


僕は女神様に宣言する


「叶う事を願っています」


「ありがとうございます」



「私はアステリナ、地球の女神です。息子さんにはツラい選択をさせてしまい申し訳ありません。」


女神様が両親に挨拶する。


「め…女神様?」


両親は困惑している


「はい、女神です。別れは済みましたか?」


「はい。色々としていただいたみたいてありがとうございます。納得は出来ていませんが、息子をよろしくお願いします。」


お母さんが頭を下げる


「では行きましょうか」


「はい。……お母さん、お父さん、行ってきます!」


僕はこうして異世界に旅立った。

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