#10 逃亡者、逃走の真実を知る
前回のあらすじ
宝くじ当たるけど所持金増えず
女神再来
「相席いいかしら？」
女神様はこちらの了承を得ずに対面に座る
「まだいいなんて言ってませんが…」
僕は恐る恐る抵抗してみる
「いいじゃない別に。それよりも何か私に言うことはないの？」
これは怒ってるな。とりあえず謝るか。
「いきなり逃げ出してすみませんでした」
「それだけ？」
ん？他に何か謝るようなことあったか？
「何とぼけた顔してるの？私にあんなことしといて無かった事にしようとしてる？」
マジでわからないが、めっちゃ怒ってるのはわかった
「すみません。何にそんなに怒ってるのか本当にわかりません」
バンっ！！
女神様が机を叩いた。机にヒビがはいっている。
「あなたがそうゆうつもりなら、こっちも手段を選ばないわよ？今ならまだ少し痛めつけるくらいで許してあげるわ」
周りがざわつく。
ヤバい！ヤバい！ヤバい！
僕が何したって言うんだよ。
「落ち着いて下さい、女神様。僕は女神様を怒らせるつもりなんて全くありません。本当にわからないんです。周りの人たちも驚いていますから落ち着いて話ましょう。」
なんとか、許してもらわないとこの場で殺されてしまう。
「ふぅー。本当にわからないのか？」
パチンっ！
女神様は大きく息を吐くと指を鳴らす。
今まであんなに騒いでた周りが静かになる。よく見ると机も直っていた。
「ありがとうございます。はい、本当にわからないんです。僕が女神様を怒らせる事をしたと言うのは今わかりましたが、何をしたのかわからないと謝りたくても謝れません。」
何をやったのかはわからないが、大体予想はつく。スキル［逃走］を使った時に何か女神様を怒らせる事をして逃げたのだろう。スキルの事は今は黙っている方がいいだろう
「そこまで言うなら何をしたかじっくり教えてあげるわ。忘れている事を後悔するまで。」
怖い。
「お願いします…」
「昼前に私と話をしてる最中あなたがいきなり立ち上がったと思ったらドロップキックしてき「えっ！」」
本当、僕何やってるの？相手は女神様だよ？
「そんな顔してもまだ終わってないわよ！いきなり蹴られて倒れた私に馬乗りになって手と脚を紐で縛って身動き取れなくしたわよね？」
女神様の額がヒクヒクしている。
「すいませんでした。」
僕は謝るしかない。本当に何やってんだよ
「やっと思い出したようね。じゃあその後の事もおもいだしたわよね？その事についてもちゃんと謝りなさい」
これで終わりじゃなかった…。これ以上何があるんだよ。後は女神様を放置して部屋から逃げたくらいじゃないのか？
「すみませんでした。他にも謝る事があるかもしれませんので女神様からその後の経緯を話してもらってもいいですか？」
「いいわ。あなたは縛った後私の口を手で塞いで声を出せなくしたわよね？」
「はい」
覚えは無いが頷いておく
「私は念話で最高神様に助けを求めようとしたわ。そしたら、急に頭に衝撃を受けて気を失ったわ」
…ダメだこれは
「目を覚ました私の横にバットがあったけど、それで私の頭を殴ったのかしら？女神の私が気絶するって事は普通の人なら死んでるわよ。殺そうとしたって事？」
話は以上のようだ。僕に取れる行動は2つしかない。
1つはまたスキル［逃走］で逃げる事。
…多分これをするとまた女神様殺人未遂が起きるのだろう。
なので僕は……
ドンっ！
「本当にすいませんでした。なんでそんな事ををしてしまったのか正直に話しますので鉄槌を下ろす前に聞いてください。」
机に頭を打ちつけつつ謝る。
「いいでしょう、一度だけチャンスを与えます」
僕はスキルの事を正直に話す事にした。
「実は女神様にステータスの見方を教えてもらった後、自分に［逃走］ってスキルがある事に気付きました。異世界も死ぬのも嫌だった僕はあの時［逃走］スキルを使って家の外に出ました。」
女神様は黙って聞いている
「［逃走］スキルを使った後から家の外に出るまでの記憶が僕には無いんです。気づいたら家の外にいました。だから……女神様におこなった非行は何も身に覚えがないんです。話の途中で逃げ出してしまったな…くらいの認識でした」
女神様は真面目な顔をしている
「それが本当なら少しは許してあげましょう。さっきまではどうやって地獄を見せてやろうか思ってたけど…」
怖っ！
「あなたのステータス見してくれるかしら。ステータスを開いて私にも見えるように頭の中で念じてくれればいいから。私、今は力が制限されてるから。……嘘だったらわかってるわよね？」
「ステータスオープン！」
僕は女神様に、ステータスを見せる
「確かに［逃走］ってスキルがあるわね。力が制限されてるからって普通女神の私からこんなスキル一つで逃げることなんて出来ないと思うけど……って何っ、このヤバい称号。それにLUKも人間辞めてるじゃない。」
やっぱりLUKの数値はヤバいみたいだ
「…信じてもらえましたか？」
「えぇ、これを見ちゃうと信じるしかないわね。」
「じゃあ、許してもらえるますか？」
「不可抗力だったのは認めましょう。あなたがあの状況から逃げる為にはああするしかなかったでしょうし…実際あなたが走って逃げる程度だったら一瞬で捕まえてたわ。……許すかどうかは別だけどね」
許してはくれないようだ
「どうしたら許してもらえますか？」
「…あなたが異世界に行くのであれば許しましょう」
やはりそこに回帰するのか…
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