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攻略対象

 

 乙女ゲーム『七色の虹の欠片』、通称にじかけ。それはヒロインであるリリィがフィレイン王国の王立学園へ編入してくる所から始まる。


 リリィは母親と暮らす年頃の少女。父は幼い頃に他界し、母娘2人で下町で花屋を営んでいた。しかし、ある時母親は流行り病に罹り呆気なく逝ってしまう。


 他に頼れる身寄りもないリリィだったが、母親の葬儀の後、パルファム伯爵に声を掛けられる。



 パルファム伯爵はリリィの母親の元雇い主だと言う。何でも母親は昔、パルファム伯爵の家で使用人をしていたらしい。花屋であったリリィの父親との結婚を機に寿退職したとか。


 それでリリィの母親と仲が良く、退職後も気に掛けていたパルファム伯爵夫人はリリィの母親の訃報を聞いて夫であるパルファム伯爵にリリィを家で引き取ってあげられないかと相談したのだそう。


 もちろん、愛妻家である伯爵は快く了承した。何より伯爵自身もリリィの両親とは面識があり、余計にリリィのことを心配していた。


 伯爵夫妻はひとり息子にもそれを説明し、了解を得たうえでリリィを迎えに来たのだった。


 はれてリリィは貴族の仲間入りを果たした。




 そしてリリィが養子入りしたことでリリィの兄となったのが、ユーリアス・パルファム次期伯爵であった。


 亜麻色(ミルクティーみたいな色)の癖のない髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし一つ括りにして、瞳は穏やかな草原のような明るい若草色をしている。


 何故、ユーリアスの攻略ルートが無いかといえば、憶測ではあるが、物語が成り立たないからだろう。何せ穏やかな性質を持つパルファム伯爵家には障害となりそうなモノは何も無い。



 また、ユーリアス自身の性格も温厚で争いは好まず、ゲーム内では落ち込んだヒロインを励ましたり恋愛のヒントをくれたりするらしい(友人情報)。


 二次創作なんかでもただのいい嫁だった。何なら掛け算が出てくる二次創作では大抵右側にいた。稀に絵師さんが左側にしていた(前世のシュゼルはそれが大好物だった)くらいだ。


 そしてシュゼルの推しは圧倒的にユーリアスだ。理由は至って単純、他の攻略対象より顔が好みだったのだ。儚げ美人万歳!




 にじかけの他の攻略対象だが、メインの7人と7人全員を攻略すると現れる隠しキャラが1人。


 攻略キャラ1人目は何様俺様王子様のエドワード第1王子。通称、挫折を知らないワガママ王子だ。何かと上から目線で恩着せがましい男である。前世のシュゼルはそれはそれは好きじゃなかった。


 容姿は金髪に王族特有らしい紫の瞳。

 エドワードルートのエピソードは確か、王立学園で同級生のヒロインに試験の順位で負けて初めて挫折を知った王子をヒロインが励まして漸く立ち直り、それがきっかけで恋に落ちたはずだ。


 王族の英才教育に勝つとかヒロイン優秀過ぎだろ←




 2人目はエドワード第1王子の双子の弟、第2王子のクリストファー。通称、残酷無慈悲な腹黒王子。常に食えない微笑みを浮かべている策士だ。何故残酷無慈悲なのかと言えば、悪役令嬢の末路が一番酷いのと、少しでも選択肢を間違えると直ぐに好感度が下がり攻略ルートを外れてしまうらしい(友人談)。一番攻略が難しい人物である。


 容姿は銀髪に王族特有らしい紫色の瞳。

 エドワードとは対比のように描かれることが多い。兄弟仲は良くもなく悪くもなく無干渉だとか。


 クリストファールートは腹黒い性格になった、というか捻くれた原因が第2王子である自身の存在意義が見つけられないとかでヒロインを通してそれを見つけていった、みたいな。


 ヒロインはカウンセラーかよ←




 3人目はフィレイン王国宰相の息子であるアレクシス。通称、堅物オカン。そのまんまである。小言はうるさいし怒ると説教は長いし、姑のような男だ。でも、頑張ったらちゃんと褒めてくれる人でまさにオカンだ。


 容姿は蒼い髪に透明に近い銀眼。オールバックに眼鏡。まさに堅物。

 アレクシスルートは簡単で、ヒロインがアレクシスに認められればいいだけだ。前半は冷たい言葉を浴びせられるが後半は結構ベタベタに甘やかしてくるらしい(友人より)。


 前髪を下ろした方が評判が良い←




 4人目は王国騎士団長子息のグレン。通称、思春期高校生。学年はヒロインの1つ上でユーリアスのクラスメイト。幼い頃から騎士団に出入りし、周りに殆ど男しかおらず(男勝りな女はいた)、女性の扱いが苦手。寡黙で言葉足らず、そして不器用。如何にも思春期の男子高校生である。


 容姿は燃えるような赤髪に明るい琥珀色の眼。目付きが悪く、子供に泣かれたことがある。

 グレンルートはとにかく押して押して押しまくれば攻略できる。たまに押しすぎると苦手意識を持たれて失敗する。子供や動物が好きなのに見た目のせいで逃げられるという悩みに関するイベントがあった気がする。


 人間関係のみ不器用でスペック的には器用貧乏←




 5人目は宮廷魔導士団長子息のノエル。通称、ツンデレあざとぶりっ子。そのまんまだ。学年は1つ下。毒舌カワイイ系の確信犯ぶりっ子である。初登場時に猫を被っており、それが剥がれた時の毒舌には一体何人のプレイヤーがやられたことか(友人経験談)。自分が可愛いことを分かっててぶりっ子してくるあざとい奴。前世のシュゼルは好きじゃなかった。女子力は負けた。


 容姿は桃色の髪に満月のような金眼。

 ノエルルートはヒロインが翻弄されるだけである。可愛らしい見た目に違わず女子力が高くて口は悪いが面倒見はいい。


 一番ガキ臭いので怒ったり褒めたりするとすごく喜ぶ←




 6人目は大商人の息子のオズワルド。攻略対象の中で唯一の平民だ。通称、詐欺師。別に詐欺はしていない。軽薄そうなチャラ男だが、それは営業モードの表の顔。本来は真面目くんである。


 容姿は暗めの茶髪にエメラルドのような緑眼。

 オズワルドルートは(友人曰く)普通にやれば普通にできるらしい。チャラ男もどきなので基本女の子を侍らせている。女の子の友人の好感度を上げていないと攻略できないとのこと。




 7人目は公爵家長男で悪役令嬢の弟のカイン。通称、シスコンストーカー。ただの行き過ぎたシスコン。学年は1つ下。


 容姿は薄い紫の髪に海のような藍色の眼。

 カインルートは闇堕ち救済的なやつ。


 バットエンドは無理心中ですって奥さん←




 隠しキャラは黒髪紅眼の教師。以上。




 悪役令嬢、カトレア・リストヴェルム公爵令嬢。薄い紫のウェーブのかかった髪に明るい瑠璃色の瞳。ものすごい美人。高飛車で高慢。性格最悪。ヒロインに数々の嫌がらせをした。でも美人だから許す。




 シュゼル・バージス伯爵令嬢。悪役令嬢取り巻きその1。



 イザベラ・フレイヤ子爵令嬢。悪役令嬢取り巻きその2。



 ________________

 ________


 シュゼルは紙ににじかけの概要を纏めていたのだが、最後の方は飽きてだいぶ雑になっている。


 紙とペンを探すのが一番大変だった。



 ヒロインでも悪役令嬢でもないのだから攻略ルートなど、そこまで気にしなくていいだろう。悪役令嬢に関して特筆していないのにも一応理由はある。


 今からカトレアをシュゼルが矯正すれば、物語通りには進まない。そう考えたからだ。例えヒロインでも悪役令嬢でもなくても、端からシュゼルに見捨てるとか他人のフリとかいう選択肢はない。





 シュゼルはハッピーエンドが好きだ。シュゼルの行動によって大団円になるかもしれないのなら、それに越したことはない。それだけだ。






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