幕間6
俺はまたコップからお茶を一口すすった。少し疲れてきている。目がシバシバしてきた。休憩時間を要請するか?いや、やめておこう。なんとなく、ジャーナリストの前で休憩をとるのは癪というか、沽券に関わるというか。とにかくそんな子供っぽい感情が湧き上がって来たのだ。
「ここまでの捜査で得られた情報で、笠原さんの中では犯人の目星は付いていたんですね。」
「そうです。後は決定的な証拠だけだった。私はそれが犯人の家にあるのではないかと考えていました。」
「しかし、上司によって家宅捜査の許可が下りなかった。」
「はい。実際には上司より上の人たちも難色を示していたようです。他の班ならともかく、十一班は信用ならんと。」
「それは、なんと言いますか。」
紀藤が言葉を失うのを見て、思わず俺は笑い声をあげてしまった。
「いいんです。実際、我々の評価は信用されるほどではありませんでしたから。昔よりもマシになったと言ってもね。事件解決のために無茶なこともやってきましたから。自業自得と言えなくもない。」
「その辺についても、いつかお聞きしたいところですね。」
「言えないこともたくさんありますが。もちろん、違法なことではありませんよ。……それで、そこまでお話しましたっけ。」
「家宅捜査の許可が下りなかった、というところです。犯人の家に証拠がなかった場合のことは考えなかったのですか?」
「もちろん考えましたよ。普通なら残っているはずのないものでしたからね。しかし、その時はその時です。」
「責任を取るつもりだったと?」
「私はその気でした。私の首くらいで何とかなるなら安いもんだ、と。ただ、今になって考えてみると、責任を負うべきは上司の正木班長なんですよね。まあ、そんなことになっても班長は逃げてしまっていたでしょうけど。」
ここで俺は席に座りなおし、姿勢を正した。
「さて。これからが本番といっても過言ではないでしょう。我々にとっても、世間にとっても。しっかりとメモを取ってくださいね。」




