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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第二章 魔法学校編

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第99話 骸骨の群れ

「私、きっとこうなると思って、わざと遅刻したの。年少組四年の集合時間は6時よ。なのにあなた達の集合時間は7時。12(ツヴェルフ)ファミリーの一員とあなた達が別行動する、すなわち、行き先は別、と考えたの。当たりね」

 アーデルハイトは、何でもお見通しと言わんばかりに、自慢げな顔をトールへ向けた。


 トールは、黒づくめの人物を指さす。

「とすると、あそこにいる人物が――」

「ケート・フィッシャー。12(ツヴェルフ)ファミリー序列五番手のフィッシャー侯爵家に四人姉妹がいるけど、彼女はその次女。フィッシャー家最強の魔法を繰り出すわよ」

 アーデルハイトが、険しい顔になった。

 シャルロッテは、目を白黒させる。

「何ですって!? 計られたって訳!?」

 トールは、彼女の方を見やって苦笑する。

「いやいやいや、それはさっき、先輩が言ったし」


 ケートは、トール達と40メートルほど離れてから振り返った。

 もちろん、黒いフードで顔を隠したままなので、表情が全くわからない。

 林に囲まれた土地の真ん中より、少し奥の方に立って、ジッとしている。


 アーデルハイトは、「気をつけて!」と叫ぶ。

 全員が身構えた。

 ヒルデガルトは、早くも軍用ゴーグルを魔方陣から取り出して、装着していた。


 トールは叫んだ。

「全員、強化魔法と、防御魔法を! できないイヴォンヌとイゾルデは、僕たちの後ろに隠れて!」

 彼女達全員が、トールの命令に従った。


 アーデルハイトは言葉を続ける。

「彼女は無詠唱で魔法を繰り出すの。それ以前に、彼女、一切声を出さないので、何の魔法かわからないから! 彼女の動きだけを見て!」


 皆の注目を一身に集めるケートは、左の手のひらを下に向け、腰の高さに保った。

 それから、何かをつかむような仕草をして、左手を高く持ち上げ、急に振り下ろす。


「あれは何の魔法!?」

 マリー=ルイーゼが、アーデルハイトへ尋ねる。

「あれは――」

 とその時、彼女の答えを待たずに、大地が激しく揺れ始めた。

 立っていられないほどの縦揺れ。

 林の木々も、枝を振って大いにざわつく。

「なになになに!? 大地震!? やめてええええええええええっ!!」

 シャルロッテは、頭を抱えてしゃがみ込んだ。


 次にケートは、左手を胸の高さに上げ、それを左、右と大きくゆっくり三往復し、指をパチンと鳴らした。

 すると、彼女の周辺の地面から光の柱が何本も立ち、その中から灰色の何かがムクムクと起き上がる。ただし、光が眩しくて、その正体が見えない。

 柱の数は、トール達の方へ向かってどんどん増えていく。

 20、30、……。

 どこまで増えるのか。

 40、50、……。

 やがて、光の柱が次々と消えて、灰色の何かが正体を現した。

 骸骨の群れだ。

 そいつらは、鋭い剣または大きな斧を握り、銀色の丸い盾を持っている。

 死んで白骨となった戦士達が、眠りから覚め、地表に這い出てきたのだ。


 大地の揺れが収まった。

 すると、それが合図でもあったかのように、骸骨達は低い声で呪いの言葉を吐きながら顎をガクガクいわせ、一斉に剣や斧を高く振りかざす。

 そして、少し前屈みになり、歩調を合わせるようにザッ、ザッ、ザッ、ザッ、っと大股でトール達に迫って来た。


 五十体を優に超える骸骨の群れ。正に白骨部隊だ。


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