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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第二章 魔法学校編

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第81話 透明人間

 マリー=ルイーゼは、ヒルデガルトの方を見てもう一度確認した。

 彼女はフェリクスの方向をツンツンと指さすので、それを伝達する。

「キンパツシチサンオトコノ ホウカラ クル!」


 トールは、フェリクスの方向を見た。

 もちろん、何も見えない。

 本当に見えないのか?

 方法はないのか?

 とその時、彼はひらめいた。


(透明人間でも、宙に浮かない限り、足跡があるはず!)


 トールはそう確信し、特に視覚を研ぎ澄ましながら、地面の些細な動きを観察した。

 すると、地面の砂の一部が、ずるっずるっと動いているのが見える。

 あれだ!

 動いている部分が足の位置だとすると、割と大股でこちらへ近づいている!

 抜き足差し足というより、見えないことをいいことに、大胆に近づいている様子だ。


 ここで、トールは一計を案じた。

 体の正面を相手へ向けて剣を構えれば、見えていることがバレる。

 彼は、見えていないふりをして、周囲をキョロキョロすることにした。

 そして、時々流し目を向けて、近づいてくる足の動きを監視する。

 砂の動きから、相手は3メートルくらいの位置まで近づいたらしい。


 とその時、トールは、先ほどの化け物が残した制服を地面から素早く拾い、見えない相手がいる方向へ投げた。

「わっ!」

 人の声がした!

 そして、制服は地面に落ちず、宙を浮いて暴れている。

 罠に掛かった!

 トールは、その中が人間だろうとも、今度は躊躇せず、制服めがけて剣を振り下ろした。


 キイイイイイン!


 硬い金属音が響くと同時に、制服が真っ二つに斬れた。

 しかし、敵の姿は見えない。

 見えるのは、地面で動く砂。

 彼は直感力を高めて、動いている砂の上に、人の姿を重ねた。


「うおおおおおおおおおおっ!」

 トールは、鬨の声を上げ、見えない敵に剣を振り下ろす。


 キイイイイイン!


 再度乾いた金属音がして、砂が動く。

 確かにそこに誰かがいる。

 剣で防戦しているらしい。

 トールは、地面の砂の動きを見ながら、激しく剣を振った。

 何度か剣がぶつかり合う音がした後、ドサッと何かが倒れる音がして、砂が大きく動いた。


「待った! 待った! 待った!」

 嘆願する声が空中から聞こえる。

 トールはかまわず、剣を振り回す。

「お願いだ! 殺さないでくれ!」

 トールは長剣を声のする方へ向けて、一喝する。

「だったら、姿を見せろ!」


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