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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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第367話 異世界最強の武器VS異世界最強の男

 空中要塞から発射された光線と魔方陣の映像が、トール達の目に焼き付いて離れない。

 山を吹き飛ばす強力な武器を備えた巨大な空中要塞。

 それが、これから人間界を滅ぼそうとしている。

 何としてでも阻止しないと!

 だが、この檻の中で何ができるのだ?

 躊躇逡巡する彼らを笑うように、グライフスシュタインの言葉がこだまする。

「ハハハ! どうだ、恐れをなしたか? この光線砲は、集積した莫大な魔力を、一瞬で増幅し、放出する。まさに、世界最強の武器よ。誰も防ぐことなどできぬ」

 トールは、唇を血が出るほど強く噛む。


 異世界最強の力でも、あれを止められないのか?

 否である!

 エクスカリバーで、絶対に止めてみせる!


「これから、ローテンシュタイン帝国の首都ローテンハイムを目指す。そこで、皇帝のいる宮殿を一撃で破壊するのだ。……おっと、忘れるところだった。その前に、この光線を自称世界最強の男にお見舞いしよう。女を囲っていい気になっている、そこの男にな。フハハハハハハ!」

 グライフスシュタインの高笑いが終わると、尖塔の上が再び光り始めた。

 だが、今度の場合、膨れ上がる速度が遅い。

 恐怖を倍加させるためか。

 これは願ってもないチャンスである。


硬い(ハルトゥ)切っ先(シャルテ)!!」


 ボーッと光の玉を見つめていたヴィルヘルミナ達八人の耳を、トールの叫び声が叩いた。


「みんな! 力を貸して! この剣に、みんなの魔力を思いっきり注ぎ込んでほしいんだ! そして、一斉に爆破(シュプレングンク)と魔法名を叫んで!!」


 トールは、左腕から取り出したエクスカリバーの柄を両手で強く握りしめ、空中要塞の上で輝く光の玉に切っ先を向ける。

 一点の曇りもない輝くエクスカリバー。

 それが、持ち手の魔力を増幅して、強烈な光線を発射する。

 直撃を受けた物は、大爆発を起こし、周囲をも巻き込む。

 このエクスカリバーの攻撃力を最大にして、山をも吹き飛ばす光線砲を破壊するのだ。


「さあ、早く!! あの光の玉が大きくならないうちに!!」

 彼女達が、一斉に動いた。

 とその時、膨らみ方が遅い光の玉が、急に大きくなってきた。抵抗するのを見て、魔力の充填を急いでいるらしい。

 もはや、一刻の猶予もない。


 トールの右側から、ヒルデガルト、シャルロッテ、イヴォンヌ・サン=ジュール、ヴィヴィエンヌの順に左手を差し出す。

 トールの左側から、マリー=ルイーゼ、イゾルデ、アーデルハイト、ヴィルヘルミナの順に右手を差し出す。

 彼女達の手が、柄を握るトールの手に上から重なった。

 すると、重なり合った部分が、薄紫色に光り輝く。

 急速に注ぎ込まれる膨大な魔力。

 それを吸収するエクスカリバーが、唸り始めた。

 さらに、刀身がぐんぐんと伸びていき、檻の鉄格子の間を抜け、3メートルもの長さになった。

 トールは、今までにない衝撃を覚悟した。

 そして、彼女達に目配せし、全員で息を大きく吸う。

 今だ!

 九人が魔法名を力強く唱和する。


「「「「「「「「「爆破(シュプレングンク)!!!!!」」」」」」」」」


 エクスカリバーが唸る。

 そして、先端に直径3メートルの輝く魔方陣が現れ、同じ太さの光線が轟音を立てて発射された。

 と同時に、尖塔上の光の玉から、何十層もの魔方陣と光線が急接近する。

 魔方陣は巨大で、直径6メートルは超える。光線は、エクスカリバーのそれとほぼ同じ太さだ。

 両者は、空中で激突。光の雨を降らしながら、拮抗する。

 一進一退。

 だが、途中からエクスカリバー側が大きく押され始めた。

 トールは、腕に伝わる衝撃に耐え、足を踏ん張り、歯を食いしばる。

 ここは、最後の力を振り絞るとき。


「いっけえええええええええええええええっ!!!!!」

「「「「「「「「いっけええええええええええっ!!!!!」」」」」」」」


 さらに注ぎ込まれた彼らの最後の魔力が、エクスカリバーによって極限にまで増幅された。

 形勢は逆転。

 莫大な魔力による光線が、相手の何十層もの魔方陣を次々と砕き、それまで優勢だった光線を飲み込んで、尖塔の方へ押し寄せた。

 そして、ついに発信源の光の玉へ直撃する。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……


 直径50メートルを超える光の玉が大爆発を起こし、周囲の屋根を、白壁を飲み込んでいく。

 すると、連鎖反応的に、建物のあちこちで爆発が起こり、さらに火の手が広がる。

 こうして、壁から上が、あっという間に火の海となった。

 それだけではない。今度は、壁の各所で爆発が起こった。

 とその時、


 ギギギギギギギギギギッ……


 何かきしむような音がしたかと思うと、空中要塞が少しずつ傾き始め、それから実にゆっくりと落下が始まった。


「伏せろおおおおおっ!!!!!」


 あのようなとてつもない重量の要塞が地上へ激突すると、巨大隕石と同じくらいの衝撃があるかも知れない。

 全員が、未知の衝撃に備えて伏せた。

 だが、空中要塞は、落下しながら爆発を繰り返し、空中で膨大な小破片になって飛散した。

 それでも、大量の破片が大地へ衝突したときの衝撃は想定より凄まじく、永遠に続くと思われるほど地面が揺れ続けた。

 ようやく揺れが収まった頃、顔を上げた彼らは、暗雲をバックに檻が光の粒となって消滅するところを目撃した。


「「「「「「「「「やったああああああああああっ!!!!!」」」」」」」」」


 九人全員が飛び跳ね、輪になって抱き合い、喜びを爆発させる。

 解放されたのだ。

 空中要塞を破壊したのだ。

 ローテンシュタイン帝国を救ったのだ。


 新たに、八人の女性の英雄(ヘルト)が誕生した瞬間である。


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