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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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353/369

第353話 子供の遊び部屋

 廊下を歩いて行くと、所々に豪華な扉があったが、ヴィヴィエンヌは見向きもせず通り過ぎる。

 彼女が立ち止まったのは、小さな扉の前。

 使用人か誰かの部屋の扉か?と思わせるような粗末な物。

 当然見向きもしないだろうと思っていたトールは、彼女が急に立ち止まったので、彼女の背中に鼻の頭を打った。

「静かにね」

「ゴメン」


「ここよ」

「え? ここ? まさか?」

 鼻の頭をさする彼は、頭の上が疑問符だらけだ。


「さあ、突入するわよ。覚悟はできて?」

「もちろん」


「さっきとは段違いの修羅場になるかも」

「その時は、このエクスカリバーがあるから、大丈夫。……そうだ。中に入ったら、いきなり親衛隊が大勢待ち構えているかも知れない。魔王一人、玉座に座って構えているなんて、あり得ないだろうし。僕が先に入る。いいよね? それに、その腰の怪我は、まだ完治していないはず」


「ありがとう。心遣いだけ受け取るわ。でも、ここは任せて」

「そんなに僕って頼りない? ティルダ達との戦いの時だって、僕を簡単に天井から下ろせたはず。なのに、あそこに張り付いたままにさせていたのは――」


「それは、魔法を使う隙を与えないし、その大剣を構えて振る時間も与えないほど素速い連中だったから。剣で片をつける相手に、今のあなたはどうやって戦うの? あなたを天井から下ろしたら、3秒以内に首が刎ねられたわよ」

「げげっ……」


「それに、自分で言うのもなんだけど、戦いの場数が違うわ。特に、接近戦が。あなたの動きを後ろから見ていると、よくわかるの。まだまだ戦いの初心者だって。接近戦に向いていないって。雷撃魔法を見せてもらったけど、威力は凄いのに、とにかく遅いの。……ごめんなさい、ズバリ言ってしまって」

「いや、いいんだ。溜めが入る魔法だから、遅いのは自覚している。戦いの場数も、元親衛隊隊長から見れば、まだまだ駆け出しだろうし」


「お互いに得意なところを担当しましょ。それでいいわよね?」

了解(ダコール)


 ヴィヴィエンヌは、扉のノブを回した。すると、何の抵抗もなく回る。

 彼女は、扉に右耳を当てた。

「男の子みたいな声がする。話しかけているけど、自分で答えている」

「一人遊び?」


「お馬がパッカパッカって、どう考えても子供よね」

「魔王の子供? そばに魔王が子供の一人遊びを黙って見ているとか?」


「可能性ありね。行くわよ」

はい(ウイ)


 ヴィヴィエンヌは、ノブを回して扉を途中までソッと開く。

 そして、両手の剣を握りしめ、右足で扉を蹴って中へ突入した。

 トールも、彼女の背中に張り付くように従う。


 二人は、質素な扉からは想像が付かないほどの豪華な室内に驚いた。

 20メートル四方のだだっ広い部屋には、金色に輝く調度品が溢れんばかり。

 カーテンのついたダブルベッドもある。白い壁に大きな風景画も掛かっている。

 仰げば、光のシャワーが振るようなシャンデリア。

 下を見れば、精緻な模様の絨毯。

 その部屋のど真ん中に、黒い軍服を着た少年が足を伸ばして座っていた。

 彼の周りに、馬車、馬、兵隊、大砲、城のおもちゃが並べられている。


 魔王の姿は見えない。

 ということは、あの少年が魔王?

 まさか……。


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