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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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345/369

第345話 オスカルの逆襲

「トール様! 私が道案内をします! 同じ作りの王都なら、道は同じはずです!」

 トールの乗る馬の左横にピタリと馬をつけたウサギ顔の騎兵が、声を掛けた。

「防御結界は任せて!」

 今度は、右横にピタリと馬をつけたヴィヴィエンヌが、声を掛けた。

「二人とも頼む!」

 ウサギ顔の騎兵は、トールの馬の前に移動し、集団の先導役となった。

 ヴィヴィエンヌは、右手を挙げて、百二騎の騎兵集団全員を包み込む結界を張った。

 軽騎兵中隊は、扉が外れた四角い穴をくぐり抜け、石畳の道を驀進(ばくしん)した。


 眼前に見覚えのある光景が広がる。

 角を曲がる度に、確かにここを通った、と記憶が鮮やかに蘇る。

 次はこっちだろうと思うと、それが当たりで、気分がスカッとする。

 決定的に違うのは、兵士達が視界に入ってくることだ。

 彼らは、ある者は弓を引き、ある者は勇敢にも剣を振り上げ突進してくる。

 しかし、ヴィヴィエンヌの防御結界が全てを弾き飛ばす。

 矢は折れ曲がり、兵士と剣は放物線を描いて地面へ叩きつけられた。


 ついに、魔王の宮殿前の広場にたどり着いた。

 幅100メートル、奥行き40メートルの広さも、石の敷き詰め方も全く変わらず。

 白く輝いている丸い物が3つある魔王の宮殿、それを取り囲む高さ10メートル、幅100メートルの壁。何もかもがそっくりだ。

 誰もが、広場を埋め尽くすほどの獣人の群れ、あるいは巨人の群れを覚悟した。

 ところが、そこには誰もいない。

 騎兵全員が広場に散開し、周囲を見渡す。

 あれほど、道路に出没していた兵士がいないということは、必要ないということだ。

 何か、とてつもないものが来る。

 彼らは、警戒をMAXにした。


 すると、壁の中央付近から、ロング丈の暖簾をくぐるような格好で、スーッと一人の人物が現れた。

 壁抜けしたのは、燕尾服を着た小柄な老人。

 トールは、馬上で腰が浮くほど吃驚仰天(きっきょうぎょうてん)する。

 オスカルだ。

 トールは、エクスカリバーを持つ左手で手綱も握り、右の手のひらでオスカルの姿を隠した。

「奴の目を見るな! 金縛りになるぞ!」

 彼の言葉に仲間全員が、目を閉じるか、手のひらでオスカルの姿を隠した。

「ハハハ! 愉快愉快! これこそ手も足も出ない、というやつだ! ハハハハハハ!」

 カラカラと笑うオスカルの声がトールの方へ近づいてくる。

「しかし、戦うために変身すると、この魔法が使えない。この姿で手口がバレているから、使えないも同然。仕方あるまい……。変身するか」

 オスカルが言い終わると同時に、トールの手のひらの向こうで、目映い光が見えた。

 とその時、トールの手のひらの上から、一つ目の顔が現れた。

 一つ目の巨人に変身したのである。

 背丈は、3メートルほど。以前の巨人を越えている。

「私に任せて! 魔力は温存して!」

 ヴィヴィエンヌは馬を飛び降り、サーベルを握りながら、猛然と巨人へ突進した。


 それが合図であったのか、広場の周囲で、ワーッと鬨の声が上がった。

 無数の獣人の兵士が、建物の後ろや小道から、剣や斧を持って溢れ出てくる。

「トール様とヴィヴィエンヌをお守りしろ!」「奴らを蹴散らせ!」「一歩も近づけるな!」

 騎兵は口々に叫び、サーベルを振り上げて、敵に襲いかかった。


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