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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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343/369

第343話 兵器を切る剣

 投石機は木造で金属のバネを持ち、てこの原理を応用して籠に入った石を飛ばす方式の物。

 だが、大掛かりな飛び道具であっても、トールにとっては脅威でも何でもなかった。

 彼は腰を落として踏ん張り、エクスカリバーを両手で握りしめる。

 そして、歩兵を一度に斬る時と同じく、剣を右後ろへ大きく振りかぶった。

 坂の上の標的(ターゲット)を見上げ、十分に気合いを入れて、虚空を切り裂くように剣を振る。

 瞬時に描かれた剣の輝く軌跡が、扇状に拡散し、4台の投石機に右から左に向けて陣風が駆け抜ける。

 その途端、投石機の上半分が一斉に左にずれて、ガクンと傾いた。


 ホッと息を継ぐ間もなく、今度は、獣人の弓兵が詰まった櫓が4基登場した。

 高さは7メートルほど。通常は、攻城戦に使うであろう代物だ。

 これには、エクスカリバーの光線による爆裂攻撃をお見舞いだ。

 膨れ上がる火の玉は、櫓の破片と獣人の肉塊を雪原に散乱させる。


 敵が次なる攻撃を仕掛ける前に、丘の上を占拠する必要がある。

 王都突入への拠点を確保しないといけない。

 トールはヴィヴィエンヌから馬を受け取り、屍の山を飛び越えて、一気に丘の上に駆け上がった。遅れまじと、ヴィヴィエンヌも騎兵達も彼の背中を追う。


 トールが丘の上に立つと、投石機や櫓の残骸の向こう、およそ100メートル先に、敵の騎兵と歩兵の集団がこちらへ向かって来るのが見えた。

 その数、五十騎以上と百人以上。

 ところが、彼らはトールの登場を見て、大慌てで向きを変えた。

 彼らの向かう先は、正面の城壁の中央。

 そこには、左右の扉が中央から開く方式の城門が開けっぱなしになっている。

 高さは10メートル、幅4メートルほど。

 厚みが十分にあり、鋲をいくつも打ち付けた鉄製の門だ。

 城壁は石造りで、高さは15メートル以上はあるだろう。壁の上には、弓矢を持っている兵士が多数見える。

 彼は、異世界で本格的な城壁を初めて見たような気がした。前世でも、本あるいはゲームでしか見たことがない。


 今の軽騎兵中隊の装備でここを攻めるとなると、相当の犠牲を払うことになりそうだ。

 王都の中の兵力は、まるで想像が付かない。

 全員でかかってこられたら、ひとたまりもないだろう。

 ならば、少しでも相手の戦意を奪う必要がある。烏合の衆なら恐れることはない。

 彼は、騎兵達に命じて、逃げる歩兵のしんがりを攻撃させた。ただし、城壁の上に立つ弓兵の射程距離には入らないことを付け加えて。

 功を急ぐ彼らは、しんがりを斬り捨てるだけではなく、余勢を駆って歩兵のほとんどを手に掛けた。雨のように降ってきた矢がなかったら、全員を斬り殺していただろう。

 閉まりつつある城門に、敵の騎兵とわずかの歩兵がぶつかり合いながら飛び込む。

 最後に猫族の兵士の尻尾が消えると、城門は重い金属音を響かせて、1ミリの隙もなく閉まった。


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