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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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第339話 わらしべ武装長者

 瞬時に争う物音と長い無音。

 ヴィヴィエンヌが出て行った扉の向こうで、何が起きているかは明白だが、彼女に完全に頼り切っているトールは内心、歯がゆい思いをしていた。なぜ彼女を危険な目に遭わせていて、自分は安全なところでぬくぬくしているんだと。

 彼女の言葉に甘えきっている自分が情けなかった。

 元親衛隊隊長に任せておけば安心、という言葉を、自分の怠惰の隠れ蓑に使っている自分が情けなかった。


 悶々としているトールの所へ、ヴィヴィエンヌがクロスアーマーとズボンをそれぞれ2着持って戻ってきた。手には果物ナイフを2本持っている。

「向こうで寝ていた奴らが、果物を食べていたみたいで、こんな武器しかなかったの。ないよりましだけど」

 彼女が手にする武装やズボンの持ち主は、会話に出てくる奴らのことだろうが、気にはしていられない。

 サイズなど多少は合わないことなど無視。彼女はクロスアーマーの紐が胸の辺りで締まらないことに苦笑する。

 全裸から少しはまともな装備になったので、トールは安堵した。


 部屋の外に出たトールとヴィヴィエンヌは、まずは出口を探す。

 穴に落ちる前に聞いた大きな音と振動が何を意味するのか気になるが、中隊の面々が無事なことを祈りつつ、壁伝いに歩いて行く。

 廊下が交差する場所に出たので、トールが左右をソッと覗くと、右側の廊下で椅子に腰掛けてだらしなく眠っている二人の獣人を発見した。

 トールとヴィヴィエンヌは、忍び足で二人に近づき、果物ナイフで仕留める。体内の魔石を破壊することで、死んだ二人は光の粒となって消えた。

 彼らは、残されたレーザーアーマーと短剣に乗り換える。靴も奪った。ここでも、ヴィヴィエンヌは、レーザーアーマーの着用に苦労した。理由は簡単。女性用ではないからだ。


 その後、上に向かう階段を見つけたので途中まで上ったところ、上の方から声が降ってきた。会話の感じから、二人が降りてくるようだ。

 トールとヴィヴィエンヌが後戻りをして、廊下の壁に張り付いて隠れていると、降りてきた二人の獣人が背中を向けて廊下の向こうへ歩いて行く。

 これも背後から襲って仕留め、二人はスケイルアーマーとサーベルを手に入れた。


 そろそろ脱走に感づかれてもおかしくない頃なので、二人は出口の捜索を急ぐ。

 階段を上りきると、見たことのある豪華な絨毯が敷かれた廊下に出た。

 いよいよ、オスカルと遭遇するかも知れない。

 彼らは、サーベルを握りしめ、慎重に廊下を歩いて行く。

 そして、右側に例の大きな扉を発見。

 トールは扉に耳を押し当てて、中に気配を感じないことを確認する。

 そして、ソッと扉を開けると、玉座の隣にエクスカリバーが浮いているのが見えた。

 感動の再会に、彼は果物ナイフからここまでたどり着いた幸運に感謝する。

 こうして、大剣は持ち主の元へ。


 サーベルからエクスカリバーに持ち替えたトールは、ヴィヴィエンヌと出口を目指す。

 例の灰色の部屋は、天井が落ちていたが、その下で血なまぐさいことが起こっている様子はない。

 彼らは閉ざされた出入り口を開いて、階段を駆け下り、崩れた壁を飛び越えた。

 ここで、紫の炎を纏った馬と、栗毛の馬を発見。

 主を待ちわびていた馬たちは、再開が嬉しいのか、なでられる首を上下に振った。


 残るは中隊との合流と、オスカル達の追跡。そして、魔王グスタフとの対決。ただし、まだトールとヴィヴィエンヌは、魔王グスタフが少年であることを知らない。

 二人は、中隊は敵を追って、領地の奥の方、つまりさらに北に進んでいると考えた。

 彼らは馬にまたがると、来た方向から類推し、北方を目指して疾走した。


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