表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

333/369

第333話 剣戟の響きと絶世の美女の剣舞

 ヴィヴィエンヌは、トールとフックスシュタインの後ろ姿が壁の向こうに消えるのを確認してから、左手で髪をたくし上げた。

「なーんだ。彼らの後を追わないんだ。私のことがそんなに気になる?」

 一つ目の巨人達は、互いに顔を見合わせた。そして、四人全員が同時に語り出した。

「「「「俺たちの目的は、お前と奴らとを切り離すこと」」」」

「息がぴったり合っているわね。もしかして、分身の魔法?」


「「「「違う。我々は別々だ」」」」

「そうやって同時にしゃべられると、かえって気持ちが悪いわよ」


「「「「おしゃべりは終わりだ。さあ、覚悟せよ」」」」

「か弱い女性相手に、大の男が四人とは卑怯じゃない? こうさせてもらうわよ」


 彼女はサーベルを両手で握り、正面に構えた。

 と同時に、サーベル全体が、眩しいほどの白い光に包まれた。

 その光が消えると、彼女は両手をサッと広げた。

 両手には、どちらもサーベルが握られている。瞬時にコピーしたのだ。


 彼女は、2つの剣先を二人の巨人の顔に向けた。

「これでも2対1みたいなものだけど。いいわよ。そっちからかかってきたら?」


「「行くぞ」」

「かけ声も、ハモるのね」


 ヴィヴィエンヌの左右の巨人が同時に斬りかかった。


 カキイイイイイン!


 広場に響き渡る、硬い金属音。

 剣の摩擦で飛び散る火花。

 彼女は、怪力の腕が振り下ろす2本のシミターを、両方のサーベルで果敢に受け止めた。

「何? この程度?」

 彼女が振り上げるサーベルは、シミターを腕ごと軽々持ち上げる。


「「つ、強い!」」

「そこまで、ハモらないの!」


 今度は、ヴィヴィエンヌの前後の巨人が同時に斬りかかった。

 瞬時に体を90度回転させる彼女。

 再び広場に響き渡る金属音。飛び散る火花。

 2本のサーベルが、2本のシミターを難なく弾き返した。


 互いに顔を見合わせた巨人は、目配せをして、四人同時に斬りかかった。

 彼女は、瞬時に足元に出現させた正三角形と3つの丸を組み合わせた輝く魔方陣を蹴って、宙を舞う。

 4本のシミターが、彼女の微香を残す空気を切り、石畳に食い込む。

 その時、跳躍の頂点に達した彼女は、放物線を描きながら、二人の巨人の間へ。

 彼女の腰が巨人の肩口辺りの高さまで落下した時、左右のサーベルが、輝く2つ軌跡を水平方向へ描く。

 片膝を突いて、サーベルを広げた羽のように振り上げて着地する彼女。

 遅れて、巨人の2つの頭部が、石畳の上に重量感のある音を立てて転がる。


 ヴィヴィエンヌは、素速く立ち上がって残りの巨人の方へ向き直り、仁王立ちになった。

「あなた達、それでも剣士? 四人がかりなんて、情けないわよ」

 味方を瞬時に二人も失った巨人は大いにたじろいだが、一人が勇気を振り絞った。

 彼は、盾を捨てて、シミターだけ持って突進してきた。

「それでこそ、男よ。1対1なら、剣は一つでいいわ」

 彼女は、左手のサーベルを投げ捨てた。

「これで対等に勝負ね。でも、永遠にさようなら(アデュー)

 巨人は両手でシミターを握り、大きく振りかぶって渾身の力を込めて、薪割りの斧のごとく振り下ろした。

 だが、彼女は右腕1本で、左から右へワイパーのようにサーベルを振るだけで、シミターを弾き飛ばしてしまった。

 それから、また右腕1本で、右から左へサーベルの輝く軌跡を描く。と同時に、左へ体を避ける。

 勢い余って前のめりになっていた巨人は、首が落下し、続いて鮮血を吹き上げる体もドオッと倒れ込んだ。

 同時に、落下したシミターが、石畳の上で乾いた金属音を立てる。


 最後に残った巨人も盾を捨て、シミターをめちゃくちゃに振り回しながら突進してきた。

 ヴィヴィエンヌは、剣を頭の右に構え、鋭い切っ先を雄牛の角のように巨人へ向ける。

 (ブフ)の構えだ。

「剣士じゃなくて、乱暴者のやり方ね。そっちがそうなら、こっちもこうするわよ」

 彼女は、その構えで巨人に向かって、大きくジグザグを描きながら突進した。

 巨人はそのジグザグに惑わされ、右にいた彼女に剣を突き出し、左半分ががら空きになった。

 その瞬間、彼の視界の左側に飛び込んだ彼女の姿。

 雄牛の角は、心臓をまっすぐに捕らえ、背中から突き出た。


「ちょっと時間を掛けすぎたみたい。さあ、急がないと!」

 彼女は、倒れた巨人を一瞥すると、サーベルを持ったまま栗毛の馬にまたがり、瓦礫の山を飛び越えていった。


   ◆◆◆


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
cont_access.php?citi_cont_id=229234444&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ