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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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第321話 頭の中で語りかける大蛇

 左右の集団へは、グライフスシュタインの雷攻撃が続く。

 こちらは、まんべんなく攻撃ができないため、どうしても何人かは逃げおおせることができた。

「奴らを狩れ」

 グライフスシュタインが、トールではなく、騎士達の方を向いて命令した。

 騎士達は、我に返って、逃げる敵を追尾する。

 それを見送ったグライフスシュタインは、何もできないで固まったままのトールを置き去りにして、大蛇の方へ歩いて行った。

「よう。シュラーゲンシュタイン。遅かったじゃないか?」

 シュラーゲンシュタインと呼ばれた大蛇は、九つの鎌首をゆっくりと後ろに向けた。

「おお、グライフスシュタインか。どうしても、地を這ったり、土の中に潜ったりするから、貴様のように走る速さでは動けん」

 閉じた口の先から、割れた舌がチロチロと出たり入ったりしているだけで、しゃべっている様子はない。

 どうやら、(ブラン)ファミーユの白フクロウのオーギュスト=エマニュエル・ドゥ・ガロアのように、相手の頭の中へ語りかける方式で会話をするのだろう。


 トールは、初対面の大蛇を呆けた顔で見つめていた。

「ところで、そこにいるのが、人間のトールとやらか?」

 彼は、大蛇に頭の中で話しかけられてハッとした。


「そうだ」

「ほほう。はじめまして、というところか。俺は、魔王ヴァルトトイフェル様の幹部の一人、シュラーゲンシュタイン。見ての通り、体がでかすぎて、謁見の間には一度も入ったことがない。だから、会ったことがないだろう?」


「ああ」

「それに、この格好で動き回ると、簡単に見つかってしまう。だから、いつも土の中にいることが多い」


 ここで、グライフスシュタインが会話に割り込んできた。

「ところで、シュラーゲンシュタイン。こいつが逃がした北の軍勢を殲滅してはもらえないか? どうも、奴らはあれから集結して、態勢を立て直しているらしい。さっき、ドラゴンから聞いた」

「ああ、いいとも。で、残りはどんな感じだ? 水晶の魔王と(あお)の魔王の軍勢で越境してきた奴らは、あとどれくらいだ?」


「残り千人ってとこだな。この西の先に散らばっている。俺と、こいつとで奴らを狩るから、北の軍勢を殲滅したら魔王様へ報告してくれ。『うまくいった』、とな」

 グライフスシュタインは、『うまくいった』と言いながら、トールの表情を確認するように振り返った。

「まだ終わっていないのに、か? 気が早いな。まあ、いいだろう」

 シュラーゲンシュタインは、再び、ズルズルと土の中へ潜っていった。


「ここの残党狩りが終わったら、西へ行くぞ」

 そう言うグライフスシュタインに、トールは待ったを掛けた。

「ちょっと連れがあるので。すぐ戻る」

 彼はそう言い残すと、首をかしげるグライフスシュタインを無視して、大剣を魔方陣の中へ戻した。

 そして、ヴィヴィエンヌの元へ馬を飛ばした。


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