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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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第317話 白いドラゴンの群れ

 トールは、着地したドラゴンの背中から飛び降り、騎兵達に徹底抗戦を伝えた。

 彼らの士気は大いに上がった。

 ここでトールは、包囲網突破を提案したのに彼らが無言だった理由を、やっと理解したのだった。


 トールの提案により、村人を土に埋めることにした。

 魔物が彼らを食らう可能性があったからだ。

 胸の位置に深紅に輝く直方体の魔石があるが、それを破壊すれば、体が消滅する。

 しかし、一人一人にそれをするには時間が掛かる。

 なにより、自分達が村人を殺しているようで気分が悪い。

 とにかく時間がないので、皆で手分けをして臨時の穴を掘り、村人を埋めた。

 墓石の代わりに、近くにあった丸い石が置かれた。


 ヴィヴィエンヌの方は、まだ意識が回復せず予断を許さないが、治療中の犬顔の騎兵によると順調に回復しているとのことだった。

 彼は、ウサギ顔の騎兵を呼んで、ヴィヴィエンヌのそばで警護に当たらせた。これから彼女を連れての戦闘は、非常に危険だからだ。


 そろそろ敵が動き出しているかも知れない。

 二匹のドラゴンが周囲の偵察のために飛び立った。

 ところが、彼らは、1分もしないうちに慌てて戻ってきた。

 北の集団がこちらに向かって動き出しているらしい。

 さらに、彼らよりも大きい、白いドラゴンが五匹混ざっているという。


 ほどなくして、北の方角から土埃が見えてきた。

 先頭集団は、横一列になった百騎ほどの騎兵だ。

 土埃の中から、フワッと白いドラゴン達が宙に舞う。

 確かに、でかい。

 奴らは羽を大きく羽ばたかせ、先頭集団の頭上を通過し急接近する。

 攻撃の口火を切るようだ。


 トールは、まだ意識を取り戻さないヴィヴィエンヌの治療を部下二人に任せ、颯爽と馬にまたがった。

「ドラゴンは俺が倒す! それから、合図をしたら突撃! 目標は先頭の騎兵! ただし、深追いはするな!」

 彼はそう言って、馬上でエクスカリバーを取り出り、敵に向かって突進した。

 そして、十分接近したところで馬を下り、両手で柄を握りしめ、剣先を中央のドラゴンに狙いを定めた。

爆破(シュプレングンク)!!」

 彼が気合いを込めて魔法名を叫ぶと、剣先からビームのような強烈な光線が発せられた。

 それは、瞬時に中央のドラゴンを直撃する。

 爆発音とともに、巨大な火の玉のような炎が膨れ上がった。

 同時に、ドラゴンの体が粉々に飛び散る。

 その爆風で、両側にいた四匹のドラゴンが大きく飛ばされた。

爆破(シュプレングンク)!!」

 すかさずトールは、左端のドラゴンを爆破。すぐ右隣にいたドラゴンが、爆風の衝撃で体を損傷し、落下した。

 同じ要領で、彼は右端のドラゴンも爆破。すぐ左隣にいたドラゴンまで巻き込まれた。

 焼け焦げたドラゴンの肉片や、ドラゴンそのものが振ってくるので、真下にまで進軍していた先頭の騎兵が、大混乱となった。


「突撃!」

 トールの号令で、軽騎兵中隊が一斉に突撃を開始した。

 勇猛果敢な騎兵の攻撃で、敵の騎兵は総崩れとなり、我先にと逃走した。

 後続の密集した歩兵も、踵を返し、競争するように逃げ出す。

 混乱は拍車が掛かり、将棋倒しになる者や、味方を踏みつけて逃げる者で、完全にパニック状態になった。

 軽騎兵中隊は、敵兵の最後尾にいた二百人ほどを斬り捨てたところで、深追いを止めて撤収した。さらなる恐怖に陥れるには、それで十分であったのだ。

 敵兵達の後ろ姿は、もうもうと上がる土埃の中へ消えていった。


 その時、味方のドラゴンが、トールへ急報を告げに舞い降りてきた。

「今度は南の軍団が動いたぞ!」

「わかった! 西の方は!?」


「まだ動きがない!」

「よし、今がチャンスだ! 全員、南の敵を迎え撃つ! 我に続け!」

 トールと騎兵達は、南の方角で徐々に湧き上がる土煙を目指して猛進した。


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