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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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第289話 イゾルデの新魔法

 トールは、キルヒアイスの命令からツェツィーリアの動きを読んでいた。

 キルヒアイスの言葉が終わると同時に、彼は「イゾルデ、お願い!」と叫ぶ。

 そして、石版を力強く蹴り、空高く飛び跳ねた。

 ツェツィーリアの剣は、トールの立っていた位置の空気を斬る。

 どうせすぐに降りてくるだろうと上を見上げた彼女は、上昇する彼がぐんぐん小さくなっていくことに驚愕する。

 彼はすでに50メートルの高さに達していたのだ。

 まだ見上げる彼女は、棒立ちになった。

 今がチャンス!


バラの(ローゼン)(ツヴァイク)!」

 イゾルデが魔法名を叫びながら、右手を高く上げ、左膝をついて、左手で地面を勢いよく叩いた。

 すると、ツェツィーリアの足下で黄緑色に輝く魔方陣が現れた。

 と同時に、ボコボコと音を立てて地面に複数の穴が開き、何本ものバラの枝が伸びてきて彼女を襲う。

 しかし、ツェツィーリアは、棘の付いた枝が伸びる途中で跳躍し、辛うじて脱出。

 すると、バラの枝は、獲物を追うように伸びる向きを変えた。そして、転がるツェツィーリアに飛びかかる。

「しつこいんだよ!」

 ツェツィーリアは、剣で8の文字を描いて、バラの枝を切り落とした。


ハエ(ヴェーナス)トリ(フリーゲン)ソウ(ファル)!」

 さらにイゾルデは魔法名を叫びながら、同じ姿勢で地面を叩く。

 今度は、ツェツィーリアの手前の地面に魔方陣が現れ、そこから5メートルの高さのハエトリソウがヌッと出現した。

 棘を持つ二枚貝のような葉がいくつもあって、それぞれ獲物を探してキョロキョロする。

 葉の大きさは、人が一人すっぽりと入ってしまいそうなほど。

 そのうち一つが、見下ろした先に獲物を視認すると、反射的な速さでパッと開いて飛びかかった。

 さすがのツェツィーリアも、本物とは違う動きに腰を抜かし、哀れ女神の(ヴェーナス)蠅取り機(フリーゲンファル)の餌食となった。


 トールが着地して、イゾルデにねぎらいの言葉をかけようとした、その時。

「ブリザード!」

 キルヒアイスが魔法を繰り出した。

 彼の右手の先に現れた直径2メートルもの魔方陣から、猛烈な風を伴う雪が吹き出す。

 それがイゾルデ達五人を、小枝のように吹き飛ばした。

 これでイゾルデの魔法が解け、自由の身となったツェツィーリアは、再び剣を握り直して、トールを襲う。

 今度は、トールは逃げなかった。

 彼女が振り下ろした剣の刀身を、なんと、右手だけでつかんで受け止める。

 そして、指に力を入れることで、バラバラに折ってしまった。

 金髪灼眼になると、こうもスケールが違う。


 仰天して立ち尽くすツェツィーリアへ、彼は左手でアッパーカットをお見舞いする。

 彼女は、頭3つ分、宙を浮く。

 そして、足が地に着いた時に、右、左のストレートを両頬に。

 彼女の頭が、大きく左に右に揺れる。

 反撃する彼女の拳は、彼にとっては取るに足らない、赤子のパンチ力だ。

 仕上げは、ストレートをみぞおちに。

 彼女は、体をくの字にして10メートルも吹き飛んだ。

 そして、地面の上を2回弾むと、さらに遠くまで転がっていった。

 ここまでで、彼は全力を出していない。出していたら、彼女の体はバラバラになっていただろう。


 とその時、

「ブリザード!」

 背中でキルヒアイスの魔法名を聞いたトールは、振り返る間もなく猛烈な風と雪を浴びた。

 不覚にも背後を衝かれた彼は、手足をばたつかせながら風に乗って、ツェツィーリアの近くまで吹き飛ばされた。


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