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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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第280話 女剣士と首謀者の敗北

 めまいが回復したゲルダは、右手の槍を果敢に突き出して、マリー=ルイーゼを後方へ退ける。

 そこへ、槍に照準を合わせたトールが割り込み、長剣を思いっきり振り下ろした。

 槍は、柄の真ん中から真っ二つ。

 すかさず、左の槍がトールの胸を狙う。

 これは、二段突きで来るはずだ。

 彼は大きく後ろに跳んだ。

 予想通りの二段突き。

 槍が伸びきったところで、彼は素速く、槍の柄の真ん中を長剣で折る。

 折れてしまえば、棒きれでしかない。

「野郎! 忌々しい!」

 彼女は、柄の残りを投げ捨てた。


 これでゲルダは、大小の剣と斧だけになった。

 リーチが長い大剣は、左右に2本。

 トールは、長剣のリーチを活かし、即効でその大剣を全て折る。

 攻撃が素速く、力強くなってきたことに、彼女は驚愕する。

 今更だが、彼の全身が光り輝いていることに気づいた。

「本気出しやがったか、畜生め!」

 彼女は、折れた剣を投げ捨てた。


 残りは、斧が2本、小型の剣が4本。

 だが、彼の長剣の動きが素速いので、リーチが短い武器では、なかなか踏み込めない。

 守勢に回っていた彼女は勝利を焦り、一発逆転を狙って彼に飛びかかる。

 大声を上げながら剣や斧を振り回したが、振り下ろす先には、すでに彼の姿がない。

 すべて交わされる。

 それでも、一縷の望みを託して、武器を振り回す。


 だが、ゲルダよりもトールの方が力が勝っていた。

 彼の長剣に当たった武器は、ことごとく折れてしまった。

 全ての武器が折られて愕然となった彼女は、放心状態になり、両膝を折った。

「嘘だろ……。あたいの自慢の剣が、斧が、槍が全て折られてしまった……。なんて恐ろしい魔剣の力だ……」

 戦意が消失した彼女は、兵士によって5つの手錠が掛けられた。

 そして、ヴァルトシュタインから遠ざけられた。魔力を供給させないように。


 トールは、今度は、ヴァルトシュタインに襲いかかる。

 それまでヴィルヘルミナや兵士達と交えていた剣とは格段に違う剣の力に、ヴァルトシュタインは青くなった。

 しかもゲルダは、遠ざけられている。思い切った力を出すことができない。

 柄から伝わるトールの長剣の衝撃に、手が痺れる。

 終わらない剣の打ち合いに、次第に根負けしそうになる。

 行き詰まる剣戟の末、

 キーン!

 甲高い悲鳴のような金属音が響くと、ヴァルトシュタインの剣の上半分が、むなしく宙を飛んだ。

 トールはヴァルトシュタインの鼻先に剣を向ける。

 そして、ヴァルトシュタインを取り囲む討伐隊からも、一斉に剣先を突きつけられる。

「貴様を、少女の拉致、ならびにトール・ヴォルフ・ローテンシュタインの殺人未遂、および不敬罪の容疑で拘束する!」

 ヴィルヘルミナの宣告を受け、観念した彼は、折れた剣を捨てた。

 そして、両手を挙げ、両膝を折って降伏。


 こうして、今回の蜂起を計画した中心人物は、捕縛された。

 四天王の共謀とは言え、彼が首謀者と言って良い。


 十三名の兵士が、ヴァルトシュタインとゲルダを連行し、森の外へと向かった。

 すると、周囲の茂みのあちこちで、ザワザワと音を立てて人影が揺れ、一目散に逃げていく。

 近くに潜んで機会を窺っていたエルフ族の兵士達らしい。

 また四天王とその部下が捕らえられたのを見て、第7魔法分隊の力に恐れを成したようだ。

 這々の体で逃げていく彼らが伝えた事実は、たちまち森の中を恐怖とともに広がっていった。


 残るは、後二人。

 四天王のキルヒアイスと手下のツェツィーリア。

 最終敵を追い詰める討伐隊十二名プラス一匹は、大いに奮い立った。


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