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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第四章 魔界騒乱編

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第251話 最凶の賞金稼ぎ

 ヴァルトシュタインとゲルダが天空の魔王との謁見を終えた頃、トール達は食堂から広めの部屋へ移動し、そこでクラウスから素速く繰り出す魔法の特訓を受けていた。

 その間、メビウスはフクロウ便を使って、トール、シャルロッテ、マリー=ルイーゼ、ヒルデガルトの実家に「魔法の特訓のため、しばらくの間、こちらの研究所で預かる」という趣旨の手紙を一斉に送付した。

 もちろん、特訓は口実で、賞金稼ぎの一味に命を狙われているので(かくま)うのが目的である。


 クラウスは、無詠唱で素速く相手を攻撃する魔法を4パターン教えた。

 しかし、所詮は付け焼き刃の特訓なので、ヒルデガルトが2つ、トールが1つを習得した以外、誰も習得できなかった。

 さらにクラウスは、相手の大技の魔法でも弾ける強力な防御結界の張り方も教えた。

 これも、ヒルデガルトとトールは習得できたが、他は駄目だった。


 クラウスは呆れ顔で全員を見渡す。

「よく考えたら、君達は、まともな防御結界も張れずに、大技の魔法一本でよく戦ってきたね」

「ええ。自分の力を過信していましたから」

 トールは頭をかきながら、自慢めいた言い訳をした。

 クラウスは、深くため息をついて腕を組む。

「過信は禁物だよ。今まで遭遇した相手が油断して、たまたま勝てたと思わないと。今度の賞金稼ぎどもの話を聞いていると、今までと勝手が違うみたい――」


 とその時、メビウスが大声を上げながら部屋に入ってきた。

「その賞金稼ぎの正体がわかったぞ!」

 彼の右肩には灰色のフクロウがユラユラと揺れていて、ずり落ちないように爪を立てていた。

「四人組で行動していることと、連中の髪の色で調べたら、こいつらしかいなかったぞ」

 彼はそう言いながら部屋の明かりを半分消して、白い壁に向かって立った。

 すると、フクロウの両目からプロジェクターのような光が出て、にわかスクリーンとなった白い壁に人物の写真が投影された。

「どうだね? こいつらだろう?」

 次々と映し出される四人の大写しを見て、トールは「そうです。こいつらです」と声を上げた。


「お前さん達。スカルバンティーア大公国の中でも最も凶悪な連中に目をつけられたな。最初の写真に戻るぞ。まず、この金髪の男は、サボー・フリジェシュ。魔剣の遣い手」

 映し出された男は、面長で碧眼。鼻が高い。見る者へ向ける視線は射貫くように鋭い。

「奴の魔剣は、防御結界をも貫く。斬られると傷口が魔力で広がるから、軽傷のはずが重傷になる」

 トールは、先ほど習った防御結界が不安になって、手が震えてきた。


「お次の銀髪の女は、エステルハージ・モニカ。洋弓の遣い手だが、この矢がくせ者。追尾型で、標的が逃げても軌道を修正する。防御結界を貫き、体に刺さると魔力を注入されて、時間が経つと全身に毒が回った状態になる。こいつは、同時に3本の矢を射るから気をつけよ」

 大写しの女は丸顔でウサギのような赤い目をして、笑顔が不気味な少女という風貌。

 トールは、矢が紫の炎を纏っていたことを思い出し、咄嗟の雷撃魔法で吹き飛ばしていなかったら、どうなっていたことかと思い、ゾッとした。


「そして、赤髪の女は、コルダ・エンマ。火器の使い手で、1秒間に20~30発打ち続ける銃、射程距離が1000メートルの銃、手のひらに隠す小さな銃など、銃専門の物騒な奴。しかも、弾丸はすべて魔弾。当たったら、エステルハージ・モニカの矢の場合と同じ状態になる」

 四角い顔で糸のような目をした女は、舌打ちした後のようで不機嫌そう。

 トールは、彼女が再度銃を構えた時にこの顔だったの覚えているので、それが眼前に迫ってきて、ビクッとした。


「最後に、黒髪の女は、コチシュ・イレーン。錬金術師で賢者の石を探しているという噂だが、どうも万病を治すことより、人殺しに興味を持ち始めたらしい。戦っているところをあまり目撃されていないので、情報が少ない。陰で毒を盛っているのかも知れん。また、仲間の魔力を強化したり、攻撃を補助する役割を担っていると思われる」

 大写しの女は面長ですました顔をしている美人だが、その仮面の下は魔女以上に恐ろしい性格なのだろう。


 クラウスはトールの肩をポンポンと叩く。

「まあ、防御結界を破ると言っても、魔力同士のぶつかり合いだからね。魔力が勝れば、剣だって矢だって魔弾でさえ、弾き返せるさ。さあ、もう夜も遅いから、今日の訓練はここいらで休もうか? それとも続けるかい?」

「「「まだ続けます!」」」

 トール達六人は、真剣そのものの顔でハモった。


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