表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

242/369

第242話 勇者の誕生

 ここでまた、トールの周りで大きな拍手が起こった。

「そうだ、そうだ」と言う声も。

 指笛も、歓声も。

 踏みならす足音までも。


 集会場全体が、歓喜の声に包まれた。


 魔法組合(ギルド)のみんなが、魔法を使わない町のみんなが、ガルネの勇者(エロー)を最大の敬意を表して称えたのだ。


 トールは、イヴォンヌが昔伝えてくれたことを思い出した。


「フランク帝国最高の予言者が、あなたの未来を占った」

「あなたは、今すぐ冒険者(アバンチュリエ)勇者(エロー)になるという未来が見えた」


 確かに、その予言通りになった。

 もちろんそれは、異世界に転生した彼の、たっての願いでもあった。

 歓喜の声が彼を包む。

 栄光の頂点に立つ瞬間。


 だが、真の勇者(エロー)となったものの、彼の気持ちは晴れなかった。


 やはり、自分は弱者に対して優越感を抱きたいのだろうか?

 自分だったら『人に迷惑を掛けておいて、「当然の権利」だと鼻息荒く、金を独り占めする相手』には、激しく嫌悪感を抱く。そんな相手に自分自身がなりたくないからなのか?


「誰だって、そりゃあ、1枚でもルゥ・ドゥオール金貨は欲しいさ。ただ、弁償するって金貨の山を置いて行かれると、こっちだって『こいつ、金で人の気持ちを買う奴だ』って思うだけ。そんなことをするより、一緒に町の復興に汗水流してくれる方が、よっぽど信頼されるぞ。だから、また弁償なんて言い出したら――」

 ここでジャクリーヌは、長く煙を吐く。

「永遠に軽蔑するからな。いいな? 人を顎と金で思い通りにできると考えないことだ。行動で償え」


 とその時、どこからともなく白い鳩が飛んできて、トールの右肩に止まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
cont_access.php?citi_cont_id=229234444&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ