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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第238話 魔法のオーバークロック

 野獣はトールを見つけると、恨み骨髄に徹すとばかり、何倍も強力な突風魔法をぶつけてきた。

 しかし、オーデコロンで防御力を高めているので、サラサラヘアや服が強くなびく以外は何も起こらない。

 倒れないので、野獣は、連続して突風魔法を発動した。


 ジャクリーヌは、すっかりトールに目を奪われている相手の右腕めがけて跳躍する。

 そして、眼前に迫った前腕に向かって、大きく振りかぶった剣を目にもとまらぬ速さで振り下ろした。

 悲鳴を上げて狼狽える野獣は、ジャクリーヌに縦長の瞳孔を向けて、激しく悔しがる。

 四年前は、この剣が同じ位置を襲い、一太刀で折れた。

 今度は、右腕の同じ位置が切り裂かれたのだ。


 それを見たイゾルデは、玄関から地面へ飛び降りる。


絡まるツタ(ユングフェルンレーベ)!」


 彼女は、着地時の腰を低くした姿勢のまま魔法名を叫び、両手で地面を力強く叩いた。

 すると、野獣の両側に、緑色に輝く幾何学模様と古代文字の魔方陣が出現した。

 そして、それぞれの魔方陣から10本以上の太いツタが、シュルシュルと風を切る音を立てて野獣の両腕めがけて伸びていき、きつく縛り上げてしまった。


 彼女はさらに、その魔法を2回繰り返した。

 たちまち、野獣の両足、首、腰が縛り上がった。

 動きを封じられた野獣は、もがきにもがき、苦悶に満ちた表情を浮かべる。


 イゾルデは、そばにいた全員に200メートル以上離れるように伝えた。

 トールが、どでかい魔法を発動するから、と。

 彼らは、ツタが切れないように攻撃を中断し、遠くへ避難した。

 ジャクリーヌ達も全員、宮殿から脱出し、仲間の跡を追った。


 その間、トールは水薬(ポション)でフル回復し、口紅で唇を塗った。

 口紅は、1分間、魔力の限界値を引き上げる魔法のアイテムである。

 つまり、フル回復して、さらに限界を超えた魔法を繰り出そうという作戦だ。


 PCのCPUのオーバークロックみたいなことをやってみようという発想だったのだが、可能かどうかはわからない。

 もちろん、成功したら、自分の体がどうなるのかもわからない。

 相手は彼にとって、そんなリスクを試したくなるような『超弩級の敵』ということだ。


 仲間の避難は、ほぼ終わったようだ。

 その時、野獣を縛るツタが、1本、また1本と切れ始めた。

 一刻の猶予もない。

 彼は野獣の足下に近づき、空高く跳躍するため、足下に黄金色に光輝く幾何学模様に古代文字の魔方陣を準備した。


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